難航する捜索
勇者・ノアのターン。
現在魔剣探し中。
急いで宮殿内を捜索することに。
どこだ? 一体どこにあるんだ? ボクはどこに持って行ったんだ?
嫌な予感はしてたんだよな。いつかこんな大事件が起きるんじゃないかと。
今お助けキャラの妖精不在で頼れるものがいない。
妖精がいれば魔剣の在り処などすぐに見つけ出せるのに。
仕方ない。切り替えて捜索に当たるとしよう。
まずは同部屋の仲間に話を聞いてみることに。
魔剣を隠したとすればここが真っ先に思い浮かぶ。
少なくても手掛かりは見つけたい。
「なあボクは何していたんだっけ? 」
聞き方が非常に難しい。どう聞いても怪しまれるのは間違いない。
自分でも何を言ってるんだと情けなく感じるもんな。
「おいおい。まさか夢遊病にでもなった? 」
からかう男。今まで彼の助けもあってどうにかこうにかなったからな。
「実はそうなんだ。最近特に酷くてな。まったく思い出せないのさ」
正直に告白してみる。
「ははは…… 本当ですか隊長? まさか俺たちをからかってないよな? 」
中々信じてもらえない。信頼の置ける仲間だと思ったのに。
「それでどうだ皆? 」
しつこく繰り返す。もう怪しまれてるよな? でも今は魔剣を見つけるのが第一。
多少怪しまれたからって何てことはない。後でどうにでも言い繕えるさ。
何と言っても隊長なのだから。
「おいお前たち? 今日隊長を見かけたか? 」
だが全員が首を振る。これは時間がかかりそうだぞ。
見かけなかったと言うことはどこかに持ち出したとも考えられる。
内ではなく外の可能性があるから厄介だ。
いくら広い宮殿内でも隈なく探せば見つかるもの。宮殿内ならいいのだが。
クソ! これでは手がかりはないに等しい。
どうする? 迷ってる暇はないよな。
まず自分が立ち寄りそうな場所に行ってみるとするか。
ただ宮殿内で立ち寄るところ? そんなところ本当にあるのか?
中庭を捜索中に幼馴染のブシュ―とばったり。
「あれお前帰ったんじゃなかったのか? 」
「失礼ね! 誰が離れるもんですか! あなたが振り向くまで粘るんだから」
ブシュ―の戯言は聞いてられない。
「まあいい。ちょっと聞くがボクは何をしていた? 」
「まさか覚えてないの? もう最低! 」
待てよ。そう言えば彼女と約束したような…… ダメだちっとも思い出せない。
二人で一体何をしていた?
「愛の告白をしていたんでしょう? 本当に覚えてないの? 」
ダメだ。口から出任せばかり。本当に困った奴だ。
嘘を吐くにしてももう少し分かりにくい嘘を吐けよな。
これで残すは外か……
外となると絞り切れない。どこかに仕舞ったか隠したかしたのだろう。
「おい! 何をやっている? 」
元隊長の鋭い目。もしかして何か知ってる?
「いや…… 」
「目ざわりだからこれ以上俺に見せるな! 」
元隊長の男が訳の分からないことを言いだす。
「目ざわり? 一体何のことだ? 」
「惚けやがって。お前が魔剣の切れ味を試してやると騒いでいたんだろうが」
どうやら元隊長の彼に自慢していたらしい。
だがそれで一体魔剣はどこに行ってしまったのか?
現在魔剣が行方不明中。
少なくても今日中に。遅くても明日までには見つけ出さなければ。
その頃アーノ姫は核心へ迫る。
魔女を使って異分子をあぶりだす。
例の男はボクたち同様現世からやって来た。
二人に分裂した片方を探すがどうも手がかりが見つからない。
ボクで言うところの勇者で隊長と魔王様。
対象がこれだけ個性的でメインなら探しやすいし目立ちもする。
それが村の地味な村人だからな。探すのに一苦労。
ドンドン
ドンドン
「どうだった? 目当ての人は? 」
「それがまったく。どうもこの村にはいそうにない」
諦め気味の魔女。彼女の力を持ってしてもどうにもならない現状。
ここは一旦諦めて戻るべき?
最悪放っておいてもどうにかなる気も。
ただ気がすると言うだけで実際にはどうにもならないだろうな。
「魔王軍との接触は? 」
「それは多少。ただこっちをただの村人だと勘違いしてくれたよ。
だから疑われることもない」
「それで不老不死の実について何か分かった? 」
魔女はそれが目当てでこの山奥のロイデン村までやって来た。
その実がどれだけの価値があるのやら。
ただもう間もなくに迫った消滅の前には何の意味もなさないが。
「そこまでは。魔王様は崖の近くの家に招待されていたね」
どうやら見られていたよう。もう不老不死の実はいらない。
探さなくていいと言っても無駄でしょうね。
勝手にするだろう。魔女にとってあの実が魅力的なのは確か。
さあ相談でもしてみますか。
不老不死の実と現世からの迷い人。
これが現在ボクたちが追い求めるもの。
不老不死の実は魔王様がその信ぴょう性を検証した。
どうやら不老不死などではなく願いが叶うと言うもの。
もう一方の現世からの迷い人。
こちらの方が厄介で誰一人心当たりがないと首を振る。
女神様が間違えでもしてない限り見つけるのは至難の業。
「ねえ一度戻りましょうか? 」
手掛かりもなしに闇雲に動いても疲れるだけ。
一旦戻って態勢を立て直す方がいいのでは?
「姫…… これは全人類にとっての宝。諦めるのはまだ早い」
無理やり丸め込もうとする魔女。
「分かってます。それでも手掛かりもなしに動き回るのはボクが危ない」
魔王様だけでなく魔王軍に見つかったら囚われてしまう。
「ではあと三日…… いえ二日だけでも」
魔女は懇願するが首を振り続けることに。
「ねえ不老不死の実はあなたにとってどれだけの価値があるの? 」
魔女の希望も叶えてあげたい。
「喉から手が出るほど。でもそれだけではない。人類の宝にもなり得る。
ぜひともこの手で」
やはり魔女は何だかんだと理由をつけて色めき立っている。
「分かりました。とにかく寝ましょうか」
今日は疲れたとそのまま横になる魔女。
これ以上は明日に。
それではおやすみなさい。
続く




