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モンスター襲来

引き続きアーノ姫のターン。

現在魔女とロイド山を登山中。

九合目に差し掛かったところで何かが迫って来るのが見えた。

鳥? 違う。

もっと巨大なもの。

翼を広げてやって来たのはまさかのモンスター。

魔王様の手下が集団でお出まし。

どうしたのでしょう? 肝心の魔王様の姿が見えない。


「きゃあ怖い! 」

つい声が…… 見慣れたモンスターでも姫様にとってほぼ初めてのこと。

恐怖で竦み何もできないのが当然であり自然なこと。

ですが魔王様としては毎日のように見る景色。

急に顔を近づけない限り問題ない。それに姫としてクマルは見慣れてますからね。

ただ彼らはあくまでもモンスター。魔王命によって動いている従順な手下。

ここに魔王様はいない。抑えを失くした凶暴なモンスター集団でしかありません。

慎重に。不用意に近づいてはダメ。

話が通じる相手ではない。それが可能なのは幹部クラス。


「姫! 隠れて! 」

そうは言いますが九合目では隠れる場所などない。

仕方ないので伏せることに。ぼうっと突っ立ってるよりはマシでしょう。

「まだ? まだなの? 」

「もう大丈夫。でも今動かない方が…… 」

伏せたまま五分が経過。ようやく脅威が去る。


「奴らも恐らく伝説の不老不死の実を求めてやって来たんだろうさ。

急ぐよ。なぜあの木の実の存在が知られているのか…… 」

不思議がる魔女。それはそうよね。ボクだって想定外。

これは魔王様が余計なことを言ってしまったから。

姫が婚礼品として要求したとか何とか。

あの時はうまい言い訳を考えたなと思った。

でもこんな事態を引き起こすなんて。


魔王様がいない今暴走しても何らおかしくありません。

最悪なのは魔王様に気づかれずに囚われること。

功を焦った手下たちによってすぐに魔王様に献上されてしまう。

結果的に姫と魔王は出会うことに。

そうなればこの世界は終わってしまう。何としてそれだけは避けなければ。

今までの苦労がすべて水の泡に。

不用意な魔王様の一言が姫を窮地に追い込む。

充分予想できたこと。それでも危険に変わりはない。



魔王様一行は馬車でロイド山を目指す。

うん騒がしいな…… もう着いた?

「どうした? 」

「それが魔王様。突然馬車が止まりまして…… 」

不吉な予感。しかし我々はモンスターで恐れ多くも魔王様だ。

まさか何か仕掛けてくるはずもない。

考えられるとしたら先の戦いで嫌気が差し伝説の剣で命を狙っているぐらい。


「あの…… 囲まれました」

ベテランの爺さんが泣き言を。

「それがどうした? 早く進め! 日が暮れてしまうだろうが! 」

有無を言わせない。せっかく高い金を払ったのにこれでは何の意味もない。


「ボグ―! 」

怒りの咆哮を上げる。

「魔王様! 怒りをお沈めください」

お供は冷静だ。

何も考えずに行動すれば失敗と言うか相手がとんでもないことに。

これがモンスターなら何の問題もないが…… 愚かな人間なんだろうな。

まったく世話の焼ける奴らだ。


ひひひ……

狂ったように笑うおかしな奴とそれを止めようともせず放置する間抜け。

魔王様の餌食に。

どうやらここを縄張りにする窃盗団らしい。

仕方なく姿を見せてやることに。

驚いてビビらせ思いっきり後悔させてやるか。


「何だおかしな格好して…… 」

異変に気付いたようだがさすがにそこまで気が回らないか。

どうせ頭の悪い奴らばかりだろう。

馬車は進路を塞がれ通り抜け不可。戻るにも簡単に向きは変えられない。


「ほらお前たち金目のものを置いっててもらおうか」

こちらの正体に気づかない愚か者。

いやここで気づかないはずないので知らない振りをしてるだけ。

恐怖に震えてるに違いない。

とは言え悪者なら悪者らしく最後まで振舞うべきだろう。


「おいおい。まさかこの状況で逃げるつもりじゃないだろうな? 」

哀れな奴らだ。まだ歯向かおうとしている。立場を弁えろっての。

睨んでやるがまったく効果がない。愚か者はどこまでも愚か。


「まさかあんた魔王? 」

「そうだ! まだ邪魔をする気か? 」

馬車の周りを十人以上で囲んでの狼藉。謝って許されるような問題じゃない。

「よし歯向かう者はやっちまえ! 」

「おう! 」

恐怖のあまり現実を見ようとしない。

うっとうしいので一喝することに。


「ボグー! 」

「おかしな叫び声だしても怖くねえぞ! やっちまえ! 」

命知らずの愚か者。なぜここに来てもまだ攻撃しようとするのか? 

まったく理解できない。

「仕方がない。少しだけ痛めつけてやれ。気を抜くなよ。

絶対に殺すんじゃないぞ。後が面倒だからな」

所詮は人間。とは言え魔王軍もバカではない。


うおおおお!

一気に突っ込む作戦らしい。無策と言っていい。

ふうう!

口から吐き出して一瞬で消し去る。

これで半分はいなくなった。さあまだ戦おうとする者は?

さすがにいないか。


「大丈夫だ。消えた奴らは飛ばされただけだ。近くで発見されることだろうさ」

「お前たち…… 人間様の領域に無断で入って行きやがって…… 」

訳の分からない怒りをぶつける。明らかにおかしい。


「おいお前! 道を開けろ! さもないとお前たちを永久に葬り去ってやるぞ」

まさかここまでバカだとは思わなかった。

「ヘイ喜んで! 」

こうして先に進むことに。


馬車に戻り再びロイド山を目指す。

多少トラブルがあったものの余興にはちょうどいい。

順調な滑り出し。


                続く

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