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英雄連合

侵略者が現世に来て侵略を始めるまでと言うのは毎回多少の前後はあるらしく厳密にこの日この時間であると言うのはコトさんにもわからないらしい。

一応大体この日以降には来ることになると言うのは判明しているらしくひとまず統一された三国同盟軍『英雄連合(ラグナロク)』は侵略者との戦いへ向けて着実に力を蓄えていた。


ひとまず三国全てに農耕や畜産の技術は伝わり、各国首脳陣の頑張りもあって三国に生きる人達から飢えはほとんど失われたと言っていい。


みんなが一生懸命に働き、そして美味しいものを食べる。

それだけの事がこの現世の人達にとってはこれまで当たり前に得られるものではなかったが今や頑張れば誰もが満腹になるまで食べられると言う事を理解した。

これまで食糧というとは頑張っても僅かしか得られない事が当然であり更に多くを得る為には他人から奪うことしかできずその為に他の国の人から奪うと言うのが常識だった。

しかしその常識は変わったのだと、そう理解した国民達は爆発的に働き、そしてみんながお腹いっぱいにご飯を食べた。


中には戦う事でしか喜びを得る事ができず、他人から奪う事が出来ないことに不満を漏らす人達もいた。

そして『英雄連合(ラグナロク)』はそういった人達を積極的に勧誘し日々訓練のために戦わせ、優秀な成績を残した人を『英雄』として祭り上げた。

『英雄』達は恵まれた待遇報酬に加えて名誉をも得られる立場であると三国に住む腕自慢達はこぞって『英雄連合(ラグナロク)』の入団試験へと集まり入団試験だと言う建前を得られたゲントクさんとロクスケさんにボコボコにされていた。


そうして日に日に兵力を拡大していく『英雄連合(ラグナロク)』の人達の中で、まことしやかに噂されている事があった。


「なあ知ってるか。この『英雄連合(ラグナロク)』が結成される事になった理由をさ。」

「あん?理由も何も…統合される事になった国に不要になった俺たちみたいな戦うしか能がないような連中を集めた魔物や自然災害から市民を守る治安維持団体…って言ってただろ。」

「表向きはな。だが実際の所は真の目的があるらしい。」

「真の目的?なんだそりゃ?」

「おかしいと思わねえか?そもそも俺たちが生まれる前からずっと戦争を続けてきてたってのになんで急に仲良く同盟を組む事になったんだ?」

「そりゃあ食いもんをたらふく食べられるようになったからだって…」

「それにしたっておかしいだろうがよ。何故か三国それぞれで一気に普及して今やいつでも腹を空かせてるって奴はいなくなったくらいだけどよ。そもそもそんな手段が出来たならそれを奪い合ってまた沢山の人が戦争で死ぬ事になっただろうよ。」

「…結局何が言いたいんだ?戦わなくなった何か隠されてる理由があるって言うのか?」

「ああ。今『英雄連合(ラグナロク)』ではみんな噂してるさ、俺達は一体何と戦う事になるんだろうって話さ。」

「何と…まさか。」

「ああ。知ってる奴はみんな知ってる。俺達は…」


「『魔王』と戦う為に集められているんだよ。」


そう。またしても私である。

いや私は魔王ではないんだけど…。


ちなみにこの噂はコトさんが主導になって情報操作を行い流布したらしい。

侵略者が来るからという話をした所で信じる人はいないがもう噂として浸透している魔王であれば噂として信憑性があるからと言う話らしい。

私は猛烈に反対したがほとんど無視される形で「魔王討伐」の噂は三国全てに流される事になった。


「メルナさんには申し訳ないですがこれも侵略者との戦いの勝率を少しでも上げる為に必要な事ですので…」

…そう言われてしまえば私には反論する事はできなかったのだが…。

「いいじゃねえか。師匠も強くなるし『英雄連合(ラグナロク)』に人も集まるし一石二鳥ってもんだろ。」

ロクスケさんはそう言ってニヤニヤしていた。

滅ぼしてやろうかと思ったけど今のロクスケさんは化け物のように強くなっているので今の所は勘弁してやろう。


こうして決戦のための準備は着々と進んでいた。

ようやく三章のプロローグである「三国編」が終了し次回から三章本編「夜空に輝く一等星」がスタートです!

次回更新は少し間を空けて11月19日(日)を予定してます!

またその時に今後の更新頻度など報告させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします!

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