閑話 ~隔世での楽しい遊び~
「ねえねえミヨちんミヨちん!ミヨちんも私と一緒で居残り組だけどさ!なにかコトちゃんから用事を言いつけられてなかったかな?何言われてたのぅ?」
「ああ。そう言えばそうですね。」
私達2人は向かい合ってご飯を食べている。
今日のメニューは麻婆豆腐だ。
シロクロさんは変わったものを食べたがる傾向にあるので最近は主に中華料理を作っている。
付け合わせのスープや漬物なんかもほんのり中華風に作ってある。
「それじゃあご飯食べ終わったら一緒に遊びましょうか。」
「うゆん?遊び?」
「はい。コトさんにシロクロさんが退屈そうにしていたら遊んであげるように言われていますので…。」
「あっはっは!見くびられたものですねえこのシロクロ姉さんも!もう遊んでもらうようなお年頃ではないのさ!ちなみにだけど何して遊ぶつもりだったんだい!」
「オセロ、チェス、囲碁、将棋などの戦略ゲームだったらシロクロさんにも楽しんでいただけるかなってコトさんは提案していましたけど…。」
「うっひょうなにそれ!戦略ゲーム?わかんないけどなんかめちゃくちゃ面白そう!いあいあ!こっちの研究も行き詰ってたところだし少しくらいなら付き合ってあげてもいいよ!ごはん食べたら一回やってみよう!」
「…そうですね。では食べ終わったら用意しますね。」
「よしよし!食べ終わったねい!このゲームはいったい何だい!」
「これはオセロと言いまして…ルールは…。」
「なるほどわかったよん!多ければ勝ちね!いっちょおやってみますか!」
「ではシロクロさん先攻後攻選んでもらえましたら。」
「こういうのは先攻が強いって定石なのさ!たぶん!先攻もらうよん!」
「はいでは私の後攻ですね。お先にどうぞ。」
「…うん?これどうすれば…?どこも打てなくない?」
「そうですね。ではシロクロさんはパスということで私の手番です。」
「んんん?あれこれ…。」
「シロクロさんは連続でパスですね。ではまた私の手番で。」
「…ぐぅ。負けましたぁ…。」
「はい。私の勝ちですね。もう一戦やりますか?」
「いいや!今度は将棋とやらをやってみようか!」
「はいではルールを説明しますね。」
「にゃるほどにゃるほど。そうやって動かすのね。理解理解。」
「…これどう逃げてももう負けじゃないかにゃ…。」
「はい。詰みですね。」
「ぐぅ…おおぉ…。負け…ました…。」
「はい。チェックメイトです。」
「にゃあああああああああ!負けましたあああああ!」
「ふぉおぉぉぉおおおおおお!負け!負けました!うわぁぁぁあああん!」
「ミヨちん…驚くほど容赦がないねぇ…。なんでさ…なんで勝てないのさぁ…。」
「実はコトさんから指令を受けていまして。」
「指令…?いったい何の…?」
「はい。シロクロさんとこれらのゲームで遊んで…絶対に負けるな、と言われていますので。私の手練手管をすべて使いまして。シロクロさんから価値をもぎ取っています。」
「ええ!今日ルールを知ったばっかりの初心者を相手にぃ?流石に大人げないんじゃないんですかねえ!」
「ふふふ。でもコトさんが言うには…。『そのほうがシロクロさんも熱中するはずだ』っていうことだそうですよ?」
「…。ぐぉぉ!確かに!どんな手を使っても負けない!と豪語する相手に勝利したくてたまらなくなっている!計ったなコトさんめぇ!」
そう。私が言い渡された指令とは。
何かと暴走しがちなシロクロさんを熱中させてコントロールすること。
…鑑定を使って盤面と対戦相手の情報を深く理解できる私にはそうそう簡単には勝てないと思うけど…シロクロさんならいつかは勝っちゃったりするのかなぁ…。