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たくさんのお菓子と軽食とカレー

この現世にきてもうすぐ半年が経とうとしている。


「おはよう。マコトくん。」

「おはようございますプレジデント。」

「今日ワタシは何すればいいんだっけ?」

「はい。プレジデント。それについて貴方に大切なお話があります。」

「大切な話?なんだい勿体つけて。ワタシと君の仲だろう。なんだって言えば叶えるともさ。」

「そうですか。それでは…」


「今日から僕があなたの代わりにこの連合国の最高責任者である工場長へと就任します。」


「え?」

「つきましては前々から計画しておりましたギルドとの対戦および同盟の件を進める為貴方は僕と共にギルドの本拠地へと同行してもらいます。」

「えええ?今なんて?」

「残念ながら全ての根回しは済んでおります。すみませんね事後承諾になってしまって。」


「…今ここで不運にも君が事故死してしまったとしたら?」

「そうですね。そうなれば貴方はこれからも引き続きプレジデントです。試してみますか?」

「…まあ。勝機は薄いかもしれないがせめて足掻かせてもらうよ。ミハイル!グレゴリー!」




─────────────────────────────


コトさんからの連絡が来た。

どうやらあちらは全てが済んだらしい。

「メルナさん。コトです。こちら全て完了しました。今日僕はヨハネと一緒にそちらへと同盟の締結の為に赴く事になります。そちらの準備はできていますか?」

「おお!流石はコトさんです!はい!こちらも準備完了してますよ!それにしてもすごいですね!まさか半年で完全に連合国を落としちゃうなんて!」

「あはは…。まあかなり幸運に助けられましたからね…。それでは約束の時間に空からそちらへ向かいますので。」

「はい!お待ちしてますね!」

さて。コトさんが来るのだから私もしっかりと準備をしなくては。


今日私の友人が訪ねてくる事はグィネヴィアさんを始めギルドのみんなにちゃんと伝えてある。

ギルド特産の美味しいお菓子をたくさん作ってコトさんとヨハネさんを歓迎してあげないといけない。


…ギルドの調理技術に関しては私が来るまではとんでもなく低い水準だった。

手に入った食料をまとめて鍋に入れて大量の水でクタクタになるまで煮るのがご馳走だったことを考えるともはや原始的だったと言った方が正確かもしれない。


私がシロクロちゃんの科学とギルドの色んな人達との魔法で生産した大量の食糧を調理するのにまず必要だったのは様々な調理器具を作るところからだった。


ギルドにあった調理器具はほぼほぼ鍋とナイフとスプーンだけだった。

信じられない事だが事実である。

この国には煮る以外の調理法は存在しなかったのである。


私はまずオーブンを作った。

石とレンガで組み上げた簡素なものだったがそれを見たグィネヴィアさんはまるで魔法でも見るみたいな不思議そうな目線を向けていた。魔法使いの癖に。


そして色々なお皿やフォークなど食器類を充実させた。

塩以外の調味料をたくさん作った。

ギルドの森にはハーブとして使えそうな植物が沢山あったのでそれらを使った料理をどんどん作ってレシピを公開した。


最初は戸惑っていたギルドの面々ではあったが私が作った料理を食べるとみんな揃ってこれを作るにはどうすればいいのかを聞いて来た。

そして次第に農耕の技術と共に調理の技術もギルド全土に広がっていった。

まだ全員がお腹いっぱい食べれているわけではないらしいけどきっとそうなる日も近いだろうとグィネヴィアさんも言ってくれていた。


よし。スコーンとクッキーとケーキとパンと軽食のためのサンドイッチと…念の為にカレーも作ったし完全に準備は万端だ。

「あらあら。美味しそうな匂いだねえ。…また今日は大量に作ったもんだ。あんたの友達が遊びに来るって言っていたねえ。」

グィネヴィアさんはいつも私がご飯を作っているとふらふらとどこからか現れる。

忙しい人のはずなんだけどなあ。

「グィネヴィアさん。つまみ食いはダメですよ!ちょうどよかった!グィネヴィアさんにも同席して欲しいんですよ!私の友人を紹介したくって!その時に一緒にこれ食べましょうよ。」

「あたしも忙しいんだけどねえ。ま、世話になってるあんたのためだ。同席しようじゃないか。」

グィネヴィアさんは私と話している間もずっとお菓子から目を離さない。

どうやらどうしてもこのお菓子達を食べたいようだ。


「それじゃあ応接間にこれ運んじゃいましょうか。運んでいるうちに来ると思いますので。」




─────────────────────────────


メルナさんはちゃんと転送装置をこのギルドに設置していてくれていたようだ。

人通りの少ない森に設置してある転送拠点の近くにボクとヨハネさんは姿を現す。

「…ほ、本当に大丈夫なのかい?こんな所に2人だけで来てしまって…軍隊を引き連れて来た方が良かったんじゃないかい?」

「大丈夫ですよ。話は通っていますから。それに軍隊を引き連れて来ちゃったらそれはもうただの戦争ですよ。僕らは戦争をたまに来たんですから。」

「…君はそういうけれど、本当に戦争を止められると思うのかい?ずっとずっと続いた戦争をだよ?それに相手はあの野蛮なギルド達だ…ワタシには到底できっこないと思うがね…。」

「…そんな怖がってないで行きますよ。足震えてるじゃないですか。」

「だってさ!ありえないだろう!ワタシ達武器も何ももってないじゃないか!」

「はいはい。それじゃあ僕は行きますのでここで待っててください。」

「いくよ!いくさ!君の友人のところにだろう!だから待ってよ!置いてかないでよ!こんなところでさあ!」


ここからグィネヴィアさんがいる場所への道はメルナさんに聞いてある。

できるだけ人目につかないように移動する事にしよう。



─────────────────────────────


コンコンとドアを叩く音が聞こえる。

どうやら着いたようだ。

「はいはーい。今出ますよー。」

「あらあら。もう着いたのかい?…それにしては門番達から私に連絡がないようだけど…まあいいさ。」


「おー!コトさん!お久しぶりです!ちゃんとヨハネさんもご一緒ですね!どうぞどうぞ入ってください!」

「メルナさんお久しぶりです。うわあ。とっても美味しそうな匂い。久しぶりにメルナさんの料理が食べれるだなんて嬉しいなあ。」

「うふふ。たくさん作りましたからねえ。お話ししながらみんなで食べましょう。ではどうぞどうぞお二人ともお入り下さい。」


私とコトさんが和やかに会話しているとグィネヴィアさんとヨハネさんの2人はお互いを見て固まっていた。

…あれ?そう言えば私ってグィネヴィアさんにヨハネさんが来るって話はしたかなあ?

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