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六道

「そもそも六道とは何か。という質問でしたか。いい質問ですね。あなたにしては。」

「人体には合計12のケイラクという道がありそこを力の源である(オーラ)が流れています」

「ええ。12です6ではありません。そしてその12の道というのは裏側に6と表側に6とあります。」

「それらの表裏6つずつのケイラクを統合し複合し融合し身体が本来持つ機能を増幅させる。そういった技術だと言われていますね。」

「インチキ臭いですか。そうですねわたくしもそう思います。しかし必要なのは理屈ではなく感覚です。」

「身体を流れる12の道を理解しそれらを6つの道として使用する。そう。必要なことは理解することなのです。」

「わたくしとしては無駄な時間であると思っていますのでできる限り早くに諦めていただけたほうがありがたいんですけれどね。」

「総大将の御意向ですので。勿論無碍には致しません。あなたが六道を識りたいというのならわたくしは全力で以ってあなたに知識も感覚も経験も叩き込みはしましょう。」

「ですがあなたがどうしても嫌だどうしても無理だどうしてもやりたくないというのならばわたくしは忸怩たる思いであなたへの訓練を中止することができるのです。」

「さあ。それでは引き続き手合わせを始めましょうか。痛かったら教えてください。より強く痛みを与えればきっと理解も深まるでしょうから。」



「あっはっは。ぼろぼろでござるなロクスケ殿!大丈夫でござるか?いやあ彼女も遠慮がないでござるからなあ!」

「ああ。全く問題ねえよ。確かに遠慮はねえけどなぁ。毎回ボロクソに負けるからな。」

「よくそれで心折れないものでござるな。あっはっは!ロクスケ殿は強い心をお持ちのようでござる。」

「そりゃどうも。なにせ諦めが悪いことだけが取り柄でね。サルタヒコも暇なんだったら稽古つけてくれよ。」

「あっはっは。ロクスケ殿は努力家でござるなあ。ひとまず今は体を休めるでござるよ。」


ボロボロの体を引き摺りながら今日も医務室へと向かう。

いまだに六道っていうのはよくわかっちゃいねえが基本的になんでもできるらしく『六道を使った治療』というものもあって連日稽古でぼこぼこにされている俺はここへ通うのも日課になっている。


「ああ。またきたんだね…相も変わらずボロボロだなあ。今日もミドウさんにやられたのかい?」

「そうだな。稽古つけてもらってたんだがあの女途中から稽古付けてるんだか俺を痛めつけてるんだかわかんなくなるからな。」

「あはは。彼女はいつだって大真面目だからね。与えられた仕事は全力で全うするのさ。まあそこに座りなよ。」

「大変おありがてえことだ。お陰様で六道ってのも全くわけがわかんねえもんだったのが多少は理解できてきたよ。」

「この短期間で多少なりとも理解できるってのはやっぱり才能があるんだろうなあ。僕は他のみんなほどの才能はないからね。」

「何言ってんだ。他の奴らに聞いたらリンドウとは絶対にまともに戦いたくないって口を揃えて言ってたぞ。そもそもこれだけの治癒能力持ってるのもお前くらいのもんだって聞いたぞ。」

「確かに治癒に関しては他のみんなにできない事はできているね。ただそれだけだよ。僕と戦いたくないっていうのもきっと弱いものイジメはしたくないってだけの話さ。」

「あんまり謙遜すんなよ。俺としてもあんたには一度しっかり稽古をつけてもらいたいもんだけどな。」

「あはは。それでロクスケ君をボコボコにしてその怪我を僕が癒すのかい。そんな無意味な事はしたくないのさ。僕は平和主義者だからね。さあ。治療は済んだよ。あとは部屋に戻ってしっかり休むといい。」

「ああ。ありがとうな。だいぶ良くなったよ。」

「お大事にね。…言っても無駄かもしれないけどあまり無茶はしないようにね。」

「善処するよ。」


治療も済んだことだし与えられた部屋へと戻り寝る事にする。

…ここ最近は毎日ぼろぼろになってんなぁ。

昔を思い出すぜ。

まさかダイミョウの連中相手にも誰一人勝てねえとは思わなかった。

ミドウは刀を使う居合中心の剣士だが聞いたところによると目が見えないらしい。

しかしどこから何を使ってあの女に攻撃をしたところでまるで全部見えているかのように刀で切られる。

実際の所稽古で使っているのは木刀なので俺は毎日毎日全身を木刀でぶん殴られている事になる。

まさか剣士相手にボコボコにされる日が来るとはなぁ。


サルタヒコとも一度手合わせを頼んだが動きが速え上にセンゴクの戦士特有の謎の挙動をするから全く動きを補足できていない。

多分あいつは手で掴んだり殴ったりが得意なんだろうが俺相手には手加減してんのか足技で適当に小突いて来ただけだった。

なんとか裏をかいて木刀を頭に当てる寸前までいった時に木刀を掴ませたが木刀は掴まれた瞬間ピタリと止まった。

比喩でもなんでもなく全力で振り回した木刀がピタリと止まったところを見るにあれもきっと六道とやらを使ったカラクリがあるんだろう。


ゲントクに関してはあれから何度か手合わせしちゃいるが何も分からねえ。

こっちがまるで赤子か何かになったみてえに適当にいなされる。

あやされるって言った方が正確なのかも知れねえな。

果たしてあれに勝てる日が来るのかはわかんねえがなんとかやるしかねえ。


毎日毎日ボロボロになりながらでも少しずつ六道ってもんに関しては手応えを感じ始めてはいる。

これは試練だ。乗り越えさえすりゃ俺は必ず強くなれる。

気合いを入れ直した俺は全身に治療の反動の痛みを抱えながら眠りにつく事にした。

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