三つの勢力
シロクロちゃんが創った戦争世界『ジハード』は大きく三つの勢力に別れた。
工学兵器国家『連合国』
多種族魔法同盟軍『ギルド』
戦闘民族集団『センゴク』
私はコトさんから聞いただけでそのコトさんも全容は把握していないらしい。
だから詳細はわからないが確認の為にもそれぞれの勢力の情報をまとめておこう。
まずは『連合国』
この国のほとんどは人間族によって構成されている。
寿命が短く長くても100年ほどしか生きられない人達はその繁殖力と多様性と適応力を活かし単独種族国家であるにも関わらず人口は最多である。
この国はその数多の人材の多くを兵器開発へと注ぎ込んだ。
その結果連合国は様々な兵器を生み出し工業国家として他二つの国とは一線を画す科学力を手にした。
最も力を入れているのが兵器産業だというだけでその他の技術レベルも非常に高い。
白の街や黒の街と同等か…それ以上の技術力があるとみていいだろう。
しかしそれもシロクロちゃんに言わせれば「どっちも偏りがすごいから比べようがないかな!」とは言っていた。
続いて『ギルド』
ギルドはあくまでも連合軍であり一つの国ではない。
しかし大量の国が加盟し集団となり他2つの勢力と戦い続けている。
ギルドに参加している勢力は人間族以外の人類だ。
その分布は多岐にわたり森人族や鉱人族に妖人族や鬼人族など様々な人種が所属している。
ちなみに人間族は一人もいないそうだ。
…ギルドの人達は科学の兵器を好まない。
住民のほとんどが魔法を使い戦う。
魔法もそれぞれの種族ごとに異なる系統の魔法を操るようで一言で魔法とは言ってもその種類は多岐にわたりその全容を把握することはできないほどらしい。
私も多少は魔法を使うことができるがギルドの人達が使う魔法というのは私が知る魔法とは少し違う…というか私が使っているような魔法はこの世界の人達からすれば原始人が石斧をふるっているようなものらしい。
その技術体系は複雑であり煩雑であり。
そしてその威力や効果も戦闘用に特化した魔法のそれはすさまじいらしい。
そして最後に『センゴク』
…この集団についての詳しい情報は実のところよくわかっていないらしい。
しかし連合国やギルドが他の勢力と戦うために団結しているのに対してセンゴクはそれぞれが好戦的な民族が多く。センゴク内部での争いも日常茶飯事らしい。
だが。連合国やギルドを相手にしてもこのセンゴクが戦力で劣るということは決してない。
センゴクの国同士が揉めて争っているときに漁夫の利を得ようと連合国やギルドが襲い掛かったことも実は数えきれないほどにある。
だがしかし。襲い掛かってきたそれらはほとんどの場合が返り討ちに遭っている。
センゴクの民は兵器も魔法も使わない。
ただ。あり得ないほどに強い。
噂では何か特別な能力を持っている人間がほとんどであるらしい。
センゴクでは大人も子供もなくとんでもない戦闘技術を有している。
…そのあたりはまた現地に到着したらしっかりと調べる必要がありそうだ。
ちなみに人口は連合国>ギルド>センゴクの順番に多くセンゴクには連合国の半分ほどの人口しかいない。
だからと言って人口の多さがイコールでその国の強さにつながっているわけではないというのが不思議なところだ。
ちなみにこれらの3つの勢力の内2つが手を組んで残りのもう一つを倒す。という展開にはまずならないだろうというのがコトさんの予想らしい。
というのもこの3つの勢力はそれぞれあまりにも仲が悪いらしい。
一時的にとはいえ協力や協調は全くできないほどとのことでその中の悪さは1万年以上も続いているとのことだ。
そしてコトさんによると最終的にはこの3つの勢力に対して協力を持ち掛けこの世界の人達全員で侵略者たちに立ち向かう…というのがベストな結果であるらしい。
…めちゃくちゃ仲悪いらしいけどそんなことできるのかなあ。
まあ。私個人の方針としてはコトさんの言うことに従うと決めている。
…ううん。今回こそはうまく立ち回れるだろうか…。
まあ。それこそそんなことを考えている暇はなく私はこの現世でひたすらにやれることをやっていくことになるだろう。
…その予感は…あまりにも的確に正解をはじき出していたようだった。
私は。この世界で今までにないほどの苦労と苦戦を強いられることになるのだが。
今この場ではやれることはないためまずは体調を整えるためにもぐっすりと眠ることにしよう。