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白黒少女が創った世界とお説教

横になっていたシロクロちゃんがパチリと目を覚ます。

「ただいまー!いやーっ!たーのしかったーっ!」

シロクロちゃんは心から楽しかったようで子供がいっぱい遊んだ後みたいに目を爛々と輝かせていた。


ええ?ディスプレイで見た感じたと、今さっき剣士さんに胸を貫かれて死んだばっかりだと思うんだけど…!

シロクロちゃんは自分の世界からは私と一緒に来たから実際の所今さっき初めての死を体験したばかりだと思うんだけど…。

シロクロちゃんにとっては死んだ事はたいした問題ではないみたいでそれよりも現世(ウツシヨ)での出来事がとても楽しかったようだ。


「シロクロさん。おかえりなさい。無事でしたか?」

「うん!コトちゃんただいま!無事も無事!全部計画通りですっごく楽しかったよ!」

「そうですか。それではひとまず起き上がってそちらに座って下さい。」

「わかった!」

うぉう…。

コトさんが今まで見た事がない表情をしている。

…まあそうだよなあ。流石に今回のコレはどう考えてもやりすぎだ。


「それでは他の皆さんは少し席を外してください。シロクロさんと2人で大切な話がありますので。」

「えー!みんなで話そうよ!みんなでお話しした方が楽しいと思うな!」

「残念ながら。これからシロクロさんとするお話は楽しいお話ではありません。」


シロクロちゃんは無邪気に楽しそうな表情のまま首を傾げる。

これから始まる事が理解できていないようだ…。


「来たばかりという事でお話ししていなかったここでのルールやシロクロさんの今後についてのお話です。」


ミヨさんとロクスケさんは部屋の入り口あたりにいたはずだがいつの間にかいなくなっている。

そろそろ私も席を外すかな…。


「えっ?もしかして私お説教される感じ?えええ?なんで!私一応これでもみんなのために…!ママァ!待って!置いていかないでえ!」

うーん。一応聞くだけ聞いておくかぁ…。

「コトさん…私も同席した方がいいですか…?」

「いえ。僕1人で十分ですのでメルナさんも席を外してください。」


「…わかりました。それじゃ一言だけ。」


「シロクロちゃんが突然いなくなって私もみんなもすっごく心配したんだから。私からも後でお説教ですからね。」




─────────────────────────────


「よう。問題児。こってりと説教されてきたかぁ?」

「うえーん!ロクスケちゃん!私は良かれと思って!みんなの為に!なのにさ!コトちゃんもママもさ!」

めそめそと半べそかきながら不満を垂れている。

どうやらよほど堪える説教をされたらしい。


「あっはっは!良かれと思ってやった事が全部許されるわけじゃねえからなあ。まあ実際手順をきちんと踏んでやれば2人とも別にそこまで怒らなかったんじゃねえの?」

「…そもそも…2人ともあんまり怒らなかった…!」

「そうなのか。んじゃいいじゃねえか。」


「よくないよぉ!コトちゃんはずっと真顔で正しいことばっかり言ってさ!私の返事にも全部正論で返してくるし!」

「正しいことを言われるの辛えよなあ。間違ってるのはわかってるから反論しようもねえしな。」

俺も昔よく姉ちゃんに叱られたなぁ。

怒鳴ってゲンコツよりも粛々と正論で責められる方がしんどかった。


「そうなんだよ!メルナママに至ってはさ!怒るでもなく問い詰めるでもなくひたすら「ずっと心配してた。なんでそんなことしたの。ママに相談しても良かったでしょう。」って悲しそうに聞いてくるんだよ!」

「実際かなり心配してたからなあ。流石に一言もなく居なくなったのはまずかったな。」

「くそぅ!ロクスケちゃんも私を叱るのかぁ!」

「いや。俺ぁそんな立派な大人でもねえからなぁ。別に叱りゃしねえよ。まあただあの二人怒らせるのは怖えからやめときなってアドバイスだよ。」


「…そうだねえ。次からはばれないようにやらないとだねえ。」

「あっはっは!ばれた時が怖えからやめといたほうがいいんじゃねえかな。」

「…ばれなければ完全犯罪だよ!」

「あの二人を相手に隠し通せる自信があるのか。それはすげえな。」

「ぐぅ。…まあ。心配かけたのは悪かったなって思う…。」

「そうか。それをちゃんと言うべき相手に言ったか?」

「…言ってない。」

「じゃあちゃんと言ってきな…ついてってやろうかぁ?」

「まあ今回のところは一人で行ってくるよ…!また何かあった時には頼むかもね!」

「そうかい。いつでも一緒に頭下げてやるからな。」


とぼとぼと師匠の部屋のほうに歩いて行った。

まあ後は師匠が何とかすんだろう。

…まああの問題児(シロクロ)の場合は固有(ユニーク)があるからしょうがねえところはあるんだろうけどな。


それでもやっぱりけじめってのは必要だし大将と師匠の両方がぶちぎれてるならきっちり話はしとくべきなんだろう。

師匠はともかく大将はそこのところはしっかりと理解してるはずだろう。


まあ、俺は俺でやるべきことがあるからしっかりとやっておこう。

何となくだが方向性はつかめてきたしな。



─────────────────────────────


「さて。色々と問題はありましたがそれはまあひとまず本人も「反省している。もう二度と勝手に現世(ウツシヨ)に行って好き放題はしない」と心から反省している様子でしたのでひとまず解決したとさせていただきます。」

「…シロクロさんが創り発展させた現世(ウツシヨ)ですが…。現在も世界各地で戦争が続いています。」

「もう1万年以上もです…。」

「これまでにも実は戦争ばかりしている現世(ウツシヨ)というのはあったのですが…戦争を始めて終えることなく。世界が続いて戦争をし続けている現世(ウツシヨ)というのは僕も初めて見ます。」

「この世界の国の勢力は大きく分けて3つに分けられていてそれぞれが争っているのですが…どこかの国が負けそうになるとその国が革新的な技術の進歩で他の国の対抗策を生み出す。という流れをずっと続けています。」

「それに従って3つの勢力はそれぞれ独自の方法ではありますが信じられないほど高度な文明へと進歩を遂げています。」

「…もし。このまま。」

「あと1万年ほど経過し。科学の発展を遂げながら。尚且つ全人類が滅ぶことなく生存し続けた場合。」

「侵略者との闘いが始まるわけですが…。」

「このまま発展を続ければ…もしかしたら…対抗し得る世界が。」

「侵略者を打倒し。その後を歩むことができる現世(ウツシヨ)が。」

「もしかしたら出来上がるのかもしれません。」

「もし。このままあと1万年生存し続け。そして侵略者へと対抗し得る文明が出来上がったならば。」

「僕らもこの世界へと赴き。侵略者の打倒へ向けて協力体制をとろうと思います。」

「…正直なところ。シロクロさんがこの現世(ウツシヨ)を作るために大量の魔力を使ってしまったので。もし今回がだめであればしばらくは魔力の補充の為に最低限の魔力で何度か世界を創り魔力をためる必要が出てくるので…。今回のこの現世(ウツシヨ)が長期間にわたって魔力を生み出し続ける現世(ウツシヨ)となってほしいですね…。」

「さて…それではこのままあと1万年ほど待機して様子を見てみましょうか。」



─────────────────────────────


そうして!

私ことシロクロちゃんが創った世界は!

滅びることなく発展を続け!

世界が生まれてからもうすぐ2万年が経過しようとしていたのである!


えっへん!

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