解決編にてピエロはかく語りき
「さてさて!お腹いっぱいになったところでお待ちかねの答え合わせタイムといきましょうか!真犯人から全ては語られるってね!」
「そもそもの始まりは100年位前かな!私がまだうら若き乙女だったころ!私は神のあまりの理不尽に耐えかねて神様を殺すことにしたんだよ!」
「この世界には神様がいるはずだ!ってあたりを付けて「それじゃあその為になにをしよう」を100年ずっと考えて生きてきたんだよ!」
「まずは神様から身を守ることを考えた!神様って私達を理不尽に攻撃してくるじゃない?」
「雷嵐地震に山火事!火山の噴火に流行り病!攻撃手段は枚挙に暇がないよね!なんで私達は何にもしてないのに神様ってそんなひどいことをしてくるんだろうってずっと考えていたんだよ!」
「そのために身を守る建物を作ることは必須だったし病に負けない強い身体を作る必要もあったんだ!」
「災害はあまり広い地域で起きないということを知ったから移動手段も必死に作り出したさ!」
「並行してさっき言った災害についても調べることも続けていたんだよ!」
「そうしたらね!驚くべき真実が分かったんだ!」
「私達を攻撃していた災害は特別な力で起こされたものじゃない!自然にあるものが連鎖的に引き起こしているだけに過ぎない!ただの自然現象だったんだよ!」
「あれも!これも!それも!どれも!全部!神様のせいじゃなかったんだ!」
「笑っちゃうよね!全部全部もれなくすべからく余すところなく1から10まで徹頭徹尾ただの逆恨みだったんだからさ!」
「でもでも!それだけを支えにずっと頑張ってきたんだからさ!そう簡単にはやめらんないよね!だって私の人生の全部は神様のためにあるんだもん!」
「もしかして神様っていないのかなあとはもう考えるだけ無駄無駄!だから私はずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっといないはずの神様を探す為だけに人生を費やしたんだ!!楽しかったよ!」
「神様ってどこにいるんだろう!別の世界かな!来るならどうやって来るんだろう!来るならどこから来るんだろう!いつ来るんだろう!いっぱいいっぱい考えたんだ!」
「無駄な努力をしてるかなとも思ったこともあるよ!!それでもやめることはできなかった!」
「そうしたらね!ある日突然見つけちゃったんだ!予兆ともいえないほどの世界の揺らぎをね!世界が始まった場所があるとしたらここだろうってあたりを付けていた場所に!」
「うれしかったなあ!ときめいちゃったなあ!年甲斐もなくはしゃいじゃった!恋ってこういう感情なのかなって!これはもうきっと運命だよねって!だからこの日の為にそろえた総戦力でもって襲い掛かったんだ!」
「黒の街のブラン!白の街のノエル!灰色のスカラの三人だね!」
「ブランは強いしノエルは最悪だしもしだめでもスカラが情報を分析して持ち帰れば次の一手も打てる!我ながら最高の布陣だったと思ったんだけどね!」
「でもダメだった!スカラはすぐに捕捉されちゃったしノエルは連れ帰った相手に即砂にされたしブランは一人だけ捕まえたけどすぐに寝返った!」
「100年の月日をかけておいて数日でもうほぼ完全に敗北だよ!笑えてくるよね!」
「しかも沢山ある街はどんどん侵略されて白と黒は青になっていく!もう意味がわかんないよ!」
「挙句の果てに負け惜しみの嫌がらせで出した魔王レプリカも完全無欠に攻略されちゃった!」
「にゃはは!神様に挑んで完膚なきまでの大敗北!しかも最後の最後に持ってたほんの一握りの敵意も今や愛へと書き換えられた!」
「これこそが!哀れなピエロであるこの私の壮大な計画と壮大な大失敗の全貌さ!」
「にゃはははは!ご清聴ありがとうございました!何か質問などございますでしょうか!」
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ブライトさんに別室へと案内され2人きりで「さあ解決編だ!」と長文で捲し立てられた。
「え?ええ??色々と聞きたいことだらけではあるんですけど…。」
「なんでもござれ!お姉さんがなんだって答えちゃうよ!」
「えっと…まずは…ノエルさんってもう居ないんですか?」
「いないよ!君達と合流してすぐに君達の仲間の1人にすぐに砂にされた。」
ミヨさんは意外に武闘派だったらしい。
「あの少女なんかとんでもない分析能力持ってるじゃない!ノエルが最悪だっていうのもノエルの悪巧みも即座に看破されてしかも砂人間だからってすぐに核を割られて砂にされてたよ!いやあ!あの時は笑った笑った!」
「えっと…それじゃあ私達と一緒にいるノエルさんは…?」
「ああ!あの2人ね!なんとか睡眠ガスで眠らせて記憶を奪って名前の情報だけインストールして空っぽの本人のコピーを当てがってなんとか無力化させてもらったんだよ!」
「ええ?何やってるんですか…?」
「流石にあの少女がいたら私の企みも全部瓦解されちゃうじゃない?だから仕方なくね!」
「でも…あのミヨさん…顔が全然似てませんでしたけど…?」
「ああ!それは頑張ったんだよ!流石に空っぽとはいえ顔がおんなじの自分のコピーがいたらすぐにバレちゃうからね!たくさん作って顔が似てないのが出るまで何度もコピーしてさ!あれだけ沢山コピーしたのに他はみんな似てたんだもん!困っちゃうよねえ!」
「ああ…そういうことだったんですか…。」
きっと白の街の施設にいた大量のミヨさんはその時に生み出されていたのだろう。
他はそっくりだったのに料理が苦手なミヨさんと同じ顔をしたルミナスさん。
他にもミヨさんとそっくりなようでどこか違う人達。
「ミヨさんの記憶を…元に戻す方法はあるんですか…?」
「うん?記憶を失わせたのは一時的なものよ?流石にもう薬の効果は切れてるはずだからもう戻ってるはず…いあいあ!まだ戻っていないならそれはそれで興味深い!」
「…そうですか。」
どうやらミヨさんの記憶はもう戻っているようだ。
いやでも…じゃあなんで…まだノエルさんのままなのだろうか?
…まあ今考えていても仕方ないか。
他にも気になる事はある。
「それじゃあ次の質問なんですが…ブライトさん。あなたは…何者なんですか?」
「ずいぶんざっくりとした質問だねえ。」
「あなたはもう100年以上生きていると言ってました。でも普通の人間なら…それはあり得ないでしょう?しかもあなたは今ブランさんの身体の中にいて動き喋っている…。」
「ああそうね!にゃるほどその辺りが知りたいのかあ!それじゃあ説明するけど…私の身体ってもうこの世にはないんだよね!」
「え?」
「もうずっと前に死んじゃったのさ!意識だけを機械に移してね!」
「機械に意識を…そんなことができるんですか…?」
「やってみたら案外簡単にできるよん?メルナちゃんもやってみる?」
「いや…私は結構です…。」
「まったく遠慮しちゃって!かーわいー!それでブランの身体を動かしてるのはブラン達『端末』は私のコピーだからだよ!やっぱり元が私だからね!動かすのに都合がいいんだ!というよりかは元々そのつもりで作ったものだしね!本人達は多分知らないけど!」
「それじゃあ…もうブランさんに会う事はできないんですか?」
「えっ?なんで?私が出ていけば別にすぐ会えるよ?」
「ええ???」
「なんなら今から会うかい?席外すよ?」
「えええ???」
するとブライトさんは目を瞑り…少しそのまま固まった。そして目を開いて…見覚えのある表情でこちらを見て…少し照れくさそうに笑った。
「…やあ。メルナ。久しぶりだね。」
「…ええ。もう会えないのかと思ってました…。」