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箱と箒とカレーライス

死者を悼むための箱とそこに砂を集めるための箒。

これらは裟箱(さばこ)志箒(しほうき)と呼ばれているらしい。

大体人間一人の砂が入るくらいの大きさで普通の人なら7割ほどまで砂が入る。

スカラさんが目を付けたのは大きな魔王は沢山いても小さな魔王は全く見なかったことらしい。

切り落とされた部位の砂はほとんどが再生のためだけにつかわれていて再生のためには本体と合流する必要があった。

そしてサイズが大きければ切り離された砂は魔王へなったがサイズが小さければ魔王へとは変わらない。


「つまりは小分けにして密封することでただの砂になるのです。」

「なるほど。しかも再利用させないために…。」

「ええ。ええ。死者の砂はこの箱に詰めて石へと加工することができるので流石に石へと加工した状態でまた動き出すことはないでしょう。」


私とロクスケさんはでっかい魔王を真っ二つにして2人の魔王に変えた後それぞれに魔王を削ぎ切りにしていった。

そうして出来た砂を魔王へと合流させずにスカラさんやノエルさんミヨさんやこの世界の人たちが手際よく箱詰めしていく。

実際のところ魔王自体はそこまで強いわけではなかったのでこうなってしまったらただの作業でその後淡々と魔王は小さくなっていき最後の砂は箱へと詰められた。


「それにしても。種さえ割れちまえばなんてこたなかったな。」

「そうですね。まあ私達はバラバラにしただけですしこの作戦を思いついたスカラさんが一番のお手柄でしたね。」

「ああ。そうだな。それにしてもバタバタして聞いてなかったがなんで戻ってきたんだ?あの魔王達を砂にする為に白黒城に行ったんじゃなかったのか?」

「そうなんですけど…砂にする装置は使えないことが分かったので戻ってきたんですよ。」

「へえ。嬢ちゃんの『鑑定』でも間違うことあるんだな。」

「そういうわけじゃあないんですけど…。ああそうだ。作業もひと段落ついたしみんなでまたあそこに行きましょうか。」

「あぁん?」

「一応、一通りの問題は全部解決しましたけど。まだ聞かなきゃならないことがあるんですよ。」




─────────────────────────────



「というわけで戻ってきました。ブライトさんお元気ですか?」

メルナちゃんが何故か沢山の仲間を連れて地下最奥のこの部屋ヘもどってきたよ!

なんでだろうね!こわいね!私は大体の事はわかるくらいには賢いけどメルナちゃんが何考えてるのかは全然わかんないよ!

「いあいあ!メルナちゃんおかえりなさい!どうしたの!ボタンを押しに来たの!でもボタンを押すんだったらメルナちゃん一人で十分だよね!」


「そうですねえ。ああ。そうだまずあのボタン使えなくしてください。」

「ええ!もったいないじゃん!一生懸命作ったのにさ!」

「まあ確かに作ってしまったものを壊すのは申し訳ないですが…もう必要ありませんので。」


そういうと少女と大柄な男がたったかとメルナちゃんが指さした先のスイッチを壊し始めちゃった!

一応壊すにも手順を間違えたら作動するように作ってはあるのにするするすぱすぱとバラバラにされていって気が付いたら私でももうすぐには完全に戻せないほど壊されちゃった!

うーん!これはもうわたしもバラバラにされちゃうな!


「うわーん!うわーん!メルナちゃんが私のかわいいかわいいスイッチちゃんを壊しちゃったよ!」

「えっと…ごめんなさい…これは…あるといろんな人が困っちゃうので…。」

「そうだね!しょうがないか!なんにしても私は負けた身なんだから何の文句も許されないよね!」

「おあ…。えっとその…今日はですね。ブライトさんに用事があってきたんですよ。」


「用事…?えーなになに!今メルナちゃんの後ろで着々と準備してる何かが関係してるのん?」

入ってきてからずっといろんな人たちが何かの準備をしてる!なになにわたしなにをされちゃうの!

まあそうよねえ!ずっと敵対を続けてあれだけ嫌がらせみたいなことをずっとずっとずっとやってきたわけなんだから!

私なんてきっとめちゃくちゃにされてひどい目にあわされてあの何でもわかる少女に責め苦を味わいつくされるんだ!きっとそうだ!

「そうですね…。今みんなにはあなたの為に一生懸命準備をしてもらっています。」

さっきからずっと不思議なにおいがしてる!嗅いだことないにおいだけどなんだろうこれ!


「私はみんなで話し合いをする為にここに来ました。カレーライスを作ってきましたのでみんなで食べながら話し合いをしましょう。」


かれーらいす!なにそれ!知らないものだ!私なにされちゃうの!




─────────────────────────────



私が作ったカレーライスはこの間ルミナスさんと一緒に食べたカレーライスだ。

お肉ごろごろの食べやすいフルーツカレー。

きっと初めて食べる人にも食べやすい味だろう。


「それじゃあみんなに配ってあげてください。」

「ああ。俺もうずっと腹ペコだよ。やっと食えるか。」

ここへ来たメンバーは私とロクスケさんとスカラさんにノエルさん。

他にも施設の職員を何人か引き連れてきた。

ミヨさんには用事をお願いして席を外してもらっている…というか流石に連れ回しすぎてお疲れの様子だったので残ってもらった。


さて。全員へ食事が行き渡ったようなので親交会開始の音頭を取ろう。

「皆様に行き渡りましたようなので!みなさん手を合わせてください!」

他の人は慣れたもので一斉に手を合わせたがブランさんの姿をしたブライトさんは戸惑っている。

隣に座ったスカラさんが「なにをしている。早く周りに合わせろ。」と声をかけたらおずおずと周りの真似をして手を合わせた。


「では。いただきます!」


「「「「いただきます!」」」」

「…いただきます!」


さあ。楽しい食事の時間の始まりだ。



前回と同じとは言っても今回はじっくりと煮込む時間はなかったので具は予めオーブンで火を通してある。

オーブンで火を通しながらルーを煮込んでいきオーブンの具に火が通ったらルーに混ぜ込む。

カレーや煮物などは火を止めてしばらく置いておく時に1番味が染み込む。

持ってくる間に具にしっかりと味が染み込んでいたようで想像以上に美味しいカレーになっていた。


「あっはっは!戦った後の師匠のカレーはうめえな!なんか今日のはいつもよりうめえんじゃねえか?」

「メルナさまの料理はいつだって最高であるとそう前提をした上で確かにこの馬鹿の言う通り今日のカレーはいつも以上に大変に美味であると。ええ。そう言わざるを得ませんね。何をしているブラン。早く食べろよ。いつもは「私は体が人よりも大きいからね。」と言って大量に食べるだろうが。」


「えっと…」

「ああ。スカラさん。その人は見た目はブランさんなんですけど…実は…。」

「いあいあ!私から話すよ!スカラ!実際に話すのはこれが初めてになるね実は私は…!」

「いいからまずはメルナさまの作られたカレーライスを食べろ。話はそれからだろうが。それ以上に大切なことがあるのか?いや。そんかものはないはずだ。」


スカラさんに早口で捲し立てられたブライトさんは驚きながらもスプーンで私の作ったカレーライスを食べた。


「…なんだか。久しぶりに食事をするきがする。」

「どうですか?美味しいですか…?」

「にゃはは!よくわかんにゃいけど!わるくない!かな!」


そう言いながらブライトさんは嬉しそうに手を動かし続けて口の周りを汚しながら私の作ったカレーライスを食べていた。

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