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魔王と哀れなピエロ~終章~

遂に絶体絶命のピンチに追い込まれちゃった私!

観念して新人類をすべて元に戻すスイッチを差し出したのにどうやら困っちゃってる様子?

ええ!どうして?このボタンを押せばあなた達への脅威は全部いなくなるっていうのに!


新人類をすべて滅ぼし私の完全敗北で自爆スイッチ起動!で有終の美を飾ろうと思っていたのに!

…もう一個の最終兵器は結局間に合わなかったしなあ。

いあいあ!どちらにしても間に合いはしなかったしまあいいか!


あれあれ?3人が話し合いを始めてこちらに背を向けちゃったよ?

どうやら私を放置してみんなで魔王レプリカのところへ行くらしい!

ええ!放ってかれちゃうの私!せっかく敗北宣言したのに!

私これからいったいどうなっちゃうの~!




─────────────────────────────



思考がまとまらない。

スイッチを押すのはまず論外だ。

巨大な魔王を止められるが押せばみんな消えてしまう。

外の世界から来ただけの私達がそんな身勝手なことをしていいはずがない。


かと言って私にはあの魔王をどうにかする手段は思いつかない。

倒しても倒しても復活するしずっと見境なく住民や街を破壊し続ける。

…どうやら彼らには意志というものはないので私の『魔王』も意味をなさない。


壊し続けたとしてもあれらはきっと再生を続けるだろう。

しばらく足止めすることはできるがあれを行動不能にする方法は…私には思いつかない。


私がこんなにも無力だとは思わなかった。


やっぱりあのスイッチを押すしかないのか。

でも私は…まだみんなとお別れしたくない。

お別れするにしても私がみんなを砂に変えて…。

私がみんなを殺してお別れするということは…。


無理だ。


やろうと思えない。

やってできるとは思えない。

それしか手段がなかったとしても私にはあのスイッチは押せない。


私は…。何をするために戻っているんだろうか。

私が戻ったところであの巨大魔王を少しの間足止めするくらいしかできないのに。


「お姉さん。変な顔をしてどうしたんでですか?」

「…変な顔なんてしていましたか?」

「していましたよ。むすっとしたように少し泣きそうな色々考えてるけど何にも思いつかないみたいな顔をしていました。」


「…そんな複雑そうな顔をしていましたか?」

「ええ。私にはわかるんです。」

「ああ…『鑑定』ですか。」

「え?知っているんですか?」


あっ。しまった。

え?でも言っちゃまずかったんだっけ?

いや…問題ないはずだけど…。


「知っています…。詳しくは知らないですけど…。」

「なんで知っているんですか?」

「えっと…。私があなたのお友達だから。ですよ。」

「…そうですか。」

「まだ…。記憶は戻らないですか?」

「戻らないです。」

「…そうですか…。」


ああ。どうしよう。いろんなことが解決していないのにどんどん問題ばっかりが増えていく。

コトさんには頑張るって言ったけど。

どうしたらいいかわからない事ばっかりが起こる。

巨大魔王はどうしたらいいかわからないしあのスイッチはあのまま残しておくのはまずいと思うし2人の記憶も取り戻さないといけないし。

その全部をどうしたらいいか全然わからない。

走り回れば解決するかと思っていたけど何も解決はしないしむしろどんどん問題は増えていくような気もする。


「あの。」

「はい!なんでしょう!大丈夫ですよ!全部私が何とかしますからね!」

「いえ…そうではなくって。」

「はい?」

「全部ひとりで解決する必要はないと思いますよ。」

「えっ…でも…。」

「白の街に残った2人…あの人たちなら…多分何とかしてくれるんじゃないかなって。」

「ええ?そうなんですか?ああ!何とかする方法が分かったんですか!」

「いえ…それは私にはわかりませんけど…。でも。」

でも。なんだろう。


「彼らは…何とかしてくれそうな気がしました。これは『鑑定』したわけではなく…ただの勘ですが。」




─────────────────────────────


さて。啖呵を切ったスカラとそれに乗った俺達2人だったが。

今現在俺たちは町を離れ逃げ回っている。

スカラを左の小脇に抱えて

巨大魔王達はどんどんと合流していき今や山みたいな大きさになっている。

でっかくなったので機敏さはなくなったが今や歩き回るスピードは尋常ではなく走って逃げきれねえ速さになった。

今現在はまだ何とかこちらを脅威だと感じてくれているようで踏みつぶされないようにちょこまかと走り回っている。

こいつらはどうやら自分で考えるということをするわけではなく何もなければ街や新人類を襲い。

自分達を脅かす脅威がいればそちらを優先して襲ってくることをスカラが突き止めた。

そして近くにある砂を吸収するので複数体集めたあたりで砂にしてやると合流して同一個体になることが分かった。

スカラには他にも色々分かっているらしいがまだまだ討伐方法を見つけるには至ってないらしくひたすら逃げ回りながらいろいろ試している。


「おい!どうすんだ!もうどうにもならねえくらいでっけえぞ!」

「今考えている。くそ。これだけでかくなったら自重で止まるかと思ったが…なんで動けるんだ。常識外れにもほどがある。」

「いっぺん足切って倒すか?」

「…そうだ。いや。倒さなくていい。一度削ぎ落としてみてくれ。」


「了解だよ指令殿!おらあ!」

右手だけだから多少は振りにくいがそぎ落とすくらいはできる。

大体スカラ一人分くらいの砂を足から切って削いだ。


「その砂の近くに僕を降ろせ。そのまま僕を護衛しろ。」

「はいはい!注文多いな!」

「うるさいな。しばらくはお前は絶対服従だ。」

「わーってるよ!仰せのままに!」


削いだ砂の近くにスカラを降ろすとスカラは荷物から何か取り出した。

「おいそれって!」

「僕はこちらに集中するからちゃんと守れ。そうでなければ僕もすぐに砂になってあいつに吸収されるぞ。あっはっは。」

「あっはっはじゃねえよ!笑えねえ!お前は別にどうでもいいけどお前が砂になったら師匠ぜってえなくから下手なことして砂になんじゃねえぞ!」

「そうか。メルナさまが悲しむか。それではちゃんと生き延びなければな。」

「そうしろ!つーかはやく作業済ませろ!」

「ああ。終わった。このままアレを放置してしばらくこのあたりを逃げ回れ。」

「あいよ!また抱えんぞ!」

「チッ。」


全くこいつは!なんでこんな偉そうに抱えられてんだよ!

スカラを抱えながらこちらを踏みつけてくる足をよけて逃げ回る。


「あはははははははははははははははははは。やったやったやったやった。やったぞ。」

しばらく逃げ回っていたら急にスカラが高笑いを始めた。

「どうした。急に笑って。おかしくなったか?」

「お前のような馬鹿(ロクスケ)と一緒にするなよ。ようやく。見つけたんだよ。あいつを止める方法をな。」

「見つけたか。そんでこっからどうする?」


「こいつを連れて白の街に戻るぞ!」

「はいはい。合点承知だよ!」




─────────────────────────────

私達が急いで白の街へ戻ると…ロクスケさんは巨大魔王相手に戦っていた。

「あれ?師匠なんで戻ってきたんだよ。こいつら無力化しに行ったんじゃねえんかよ。」

「え…?そうなんですけど…。ちょっと問題がありまして…。いやなんですかそれ。」

「ああ。こっちはこっちでこいつを何とかしようって色々やってたんだけどさ。なんとかなりそうだ。師匠も手伝ってくれよ。」


「ええ…!」

「あっはっは。何をぽかんとしてるんだよ。スカラの阿呆が思いついたんだよ。とりあえず俺は作業に戻るから詳しくはスカラに聞いてくれ。」

「すごいすごいすごいじゃないですか!?」

「ああ。それじゃな。すぐに師匠も合流しろよ!」

「はい!すぐにでも!」


「もどりました!スカラさん!事情があってあの巨大魔王を無力化できなかったんですが…」


「ええ。ええ。なるほど。そういう事情でしたか。愚かなる不肖(このスカラ)あの出来損ないを止める手段を発見しました。ひとまずはあちらをご覧ください。」


スカラさんが指さした先には沢山の箱が置かれていた。

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