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魔王と哀れなピエロ~序章~

「お二人とも…どの程度の記憶がないんですか?」

「えっとぉ。むぐっ。」

「…ちょっと2人で相談させて下さい。」

「え?はい。どうぞ。」


ミヨさん?(ノエルさん)の口をノエルさん?(ミヨさん)が塞いで

そうして2人は離れていくとごにょごにょと相談を始めた。

…仕方ないけどまだ信用されていないなあ。

ミヨさんが私を仲間外れにして内緒話をしているという現状を冷静に考えていたら少し悲しくなってきた。

くそう。負けないぞ…。


「私達に記憶がないのはまあ認めましょう…でもなぜそれを知ろうとするんですか?」

「えっと。私のお友達なんだとしたら…大体3週間ほど前に記憶を失っているはずなので…。」

「えっ?」

「私の目的は…攫われた私のお友達を取り戻したいだけなんです。私は…あなたが私のお友達なのかを確かめたいんです。」


「それでは…私達からの質問に答えてもらえたら私たちもあなたの質問に答えます。」

ノエルさん?(ミヨさん)がどうやら私に対応してくれるようだ。

「はい!なんでも答えますよ!」

よし!少しは信頼してもらえたみたいだ!この調子で頑張ろう!いけるいける!


「あの…あなたって『魔王』なんですか?」


「えっ……とぉ…………。」


いきなりめちゃくちゃ答えにくい質問が来たんですけど!!

なんで!初手で魔王なの!

しかしここで答えないのは印象が良くない。

でも「はい!私は魔王です!」って答えて好印象が得られるはずがないし…!

あぁ…どうしようか…。


「その…正確には私が魔王というわけではありません…」

「えっでも」

「ただ!しかしですね!…私は『魔王』という名前の能力を持ってはいます。不本意ながら。…ええ。持っています。嫌だけど…。あっ!あとは『開拓者』という能力も持ってますよ!ええ!土地を切り開いたりするのは得意なんです!


私の言葉を受けて2人はまた相談を始めた。

ワタシ、マオウ、チガウヨ、シンジテ。

…でも怪しいよなあ。

確かに私が必死で逃げている時に突然知らない人に追いつかれてしかもその人が魔王だったら…。


あれ?冷静に考えたらめちゃくちゃ怖くない?私。

高速で移動する乗り物に走って追いついて天井を斧でくり抜いて登場とかしちゃったけど。

それで「話し合いましょう」って言われても無理じゃない?

あれ?私また何かやっちゃいました?


あそこからここまでしっかり会話してくれているのってもしかしてかなり負担を強いているのでは?

…まあ今更そんなことを考えても仕方ないか。


それよりも。


よく考えたら私の『魔王』を言い当てたということは…ミヨさんの『鑑定』の力を使ったのでは?

もしそうなら…このノエルさん?はミヨさんで確定ということになる。

…そもそもこの乗り物を記憶がない2人で動かしているということはきっとミヨさんがこの乗り物を『鑑定』して動かし方を調べたんじゃないかなあ。


2人はしばらく相談していたが、揃ってこちらにまっすぐ目を向けた。

「ひとまず。あなたはちゃんと答えてくれたので私達もこたえます。」

よかった!ちゃんと通じたみたいだ!

「私達は…確かに3週間くらい前にある部屋で名前以外の記憶を失った状態で目覚めました。」

「そうなんですね!それから2人で逃げてきたってことですか!」


「そうなんですよぅ。すっごく大変だったんです!」

「ミヨさん!私が答えるから!」


「ノエルちゃん。きっと大丈夫ですよ。この人を信じても。」

「えっでも…魔王だよ?。」

「…この人は力ずくで私達に何かをさせるような人ではないです。」

「…そうかな。だって魔王だよ?」

「魔王…ですけど…。食べ物をくれて聞きたくないことを聞いて。それでもこの人は私達の為に色々考えてくれているじゃないですか。それはノエルちゃんもわかりますよね?」

「…うん。…でも本当に魔王を信じてもいいの?」

「はい。信じましょう。」

「…わかった。でも信用できないと思ったらすぐに逃げるからね。魔王だし。」

「ええ。その時は二人で一目散に魔王から逃げましょう。」


「だから!私は魔王じゃないですって!」

私が起こると二人はにやりと笑いながらこちらを見た。

「そうですね。そういうことにしておきましょう。」

「魔王は起こらせると怖いですからね。怒らせないように気を付けないと。」

「もー!」


その後は二人からいろいろなことを聞かせてもらった。

「あの…お二人ともお腹減っていたみたいですけど…食べるものはどうしていたんですか?」

「研究施設で食べるものだけは沢山あったから…それをできるだけたくさん持ち出したりしてました。」

「でもすぐになくなっちゃって…。たまに地上に出て…少しだけもらったりしてました…。」

「…本当に大変だったんですねえ。」


「それにしても…よくこんな乗り物を動かせましたよねえ?」

「ええ…。ノエルちゃんが…動かし方が分かるって言って…。」

「そうなの!きっと前に私この乗り物を動かしたことがあるんだと思います!」

「…そうなんですか。」

あれ?もしかして。『鑑定』の事はおしえていないのかな?

…後でこっそりと聞いてみよう。


「ところで私が近づいたらお二人ともすぐに逃げ出してたみたいですけど私が来るのはどうしてわかったんですか?」

「ああ。それは」

「ミヨさん。まって。あの…それは…私の最後の手段になるので内緒じゃダメですか?」

「ああ。そうですよね。いざという時に逃げれるように。でしたね…。はい…大丈夫ですよ…。」


どうやらまだ完全に信頼を勝ち取ったわけではないようだ。

まあそりゃそうか…。仕方ないよね…。



─────────────────────────────


さあさあさあさあ!クライマックスですよおおお!

いあいあ!楽しくなってまいりました!

準備は万端!あとはやるだけ!

いつやるんだよ!いまだよ!

いままではこのためにずっとずっとずっと頑張ってきたからね!

ああやっと!やっと!最終計画を!始められる!

さあさあ皆様ご立会!やりますよおやりますよお!

やるよやるよやるよ!ああ!ようやくだようやくだ!

よくここまで我慢してきたなあ私!

イッツショータイム!ショーマストゴーオン!

舞台に立ちますは恐ろしき神々と哀れなピエロのご両雄!

ピエロに勝ち目はございません!ピエロは哀れに散るのみでござい!

いあいあ!それでも精いっぱい一花咲かせて見せますとも!

ただでは散らぬがこの哀れなピエロでございますとも!


ではでは再終幕クライマックスの始まり始まりでございます!

皆様どうか最後までお楽しみのうえごかんしょうをばくださいませえ!

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