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白と黒

「それで?ここが白黒城かよ。」

「ああ。ここはまだ城下町だけどね。奥に見えるだろう。あれが白黒城だ。」

なるほどな。

なんというか…城は白と黒で不気味な作りをしているし町も人っ子1人いねえからか建物自体は洒落た雰囲気なのにかなり陰気な町になっている。


「お前らはここに来たことあんのか?」

「私は何度かあるよ。仕事でね。」

「僕はここに来るのは初めてですね。」

2人はこの町に来るのは嫌だっつってたな。

雰囲気は陰気で不気味だがそれだけが理由って訳じゃなさそうだ。


「っつーか。この場所に来るのに俺ら3人でいいのかよ。」

「ええ。問題ないでしょう。」

「この場所はね。そもそも戦えるような人間はほとんどいないのさ。」

「だから誰も出てこねえのか。…いやそれにしても静かすぎねえか?」


「そうだね。…流石に普段はもう少し賑わっているはずだが。我々が来ることを知って隠れているのかもね。」」

「敵対する意思はねえってことか。それで。どうすんだよ。」

「城へと向かうさ。この町を統治する人物がこの城にいるはずだからね。」

「もしいないということならばむしろ我々にとっては都合がよいのでそのまま支配下に置いてしまいましょう。」


なんか。最後の攻勢だっつうのに拍子抜けだな。

町の中を歩いていてもかすかに人の気配がするくらいで誰も襲い掛かっちゃ来ねえ。

俺も師匠についてって嬢ちゃん探してたほうが良かったかな。


いや。油断は禁物か。何がどうなるかは最後までわかんねえしな。

スカラは1人でなんとかなる場合なら1人で行く。

俺とブランを連れて来たってことは何かしらの危険はあるはずだ。


「さあ。城に入るよ。ロクスケは十分に周りに気を付けてくれ。スカラは我々のそばを離れないように。」

「敵がいるのかよ。」

「まだ下層にはいなかったはずなんだけどね。これだけいつもと様子が違うんだ。警戒するに越したことはないだろう?」

「なるほどな。スカラは俺とブランの間に居ろよ。あぶねえと思ったら頭抱えてしゃがみこんでろ。」

「僕もある程度は戦えますが。」

「ある程度じゃ難しいのさ。なにせ機械兵と合成獣(キメラ)がうようよといるからね。前に来た時は大人しいものだったが今回もそうとは限らない。むしろ全員が襲いかかって来てもおかしくないからね。」

「それは。大人しくしておいたほうがよさそうですね。むしろ3人で来てしまって良かったのですか?」

「下手に多いと足手纏いにしかならないのさ。機械兵も合成獣(キメラ)も通常の物より遥かに強いからね。正直私もどこまでスカラを護れるか不安なものさ。」


こっちもこっちで楽しめそうになってきた。

護りながらの戦いってのはちょっと面倒だがまあ仕方ねえか。

最悪俺1人でもなんとかなるだろうからブランにはスカラの護りに専念してもらってもいいかも知れねえな。


ひとまず刀はいつでも抜けるようにしておくべきだな。




─────────────────────────────


「メルナさん!対象まであと5㎞程です!あと数分で着きます!」


「わかりました!加速します!」


「おねがいします!可能であればできるだけ音をたてないように近づいてください!」


「わかりました!可能な限り気配を消して近付きます!」


「目標地点もうすぐです!」


私は声も出さず可能な限り音もたてず気配を消して近付いた。

目標地点は…あれ?ここのはずだが…。


「メルナさん気付かれたようです!目標その位置から正面に高速移動中!」


「了解!追いかけます。目標との速度差は?」


「現在ほぼありません!とんでもない速さで移動しています!追いつけますか!?」


「いけます。更に加速します。あ!移動音が聞こえました!追跡します!」


「はい!おねがいします!引き続きこちらでも追跡しますがメルナさんの判断にお任せします!」


「了解!全力で捕まえます!」




─────────────────────────────


ブランが警戒しろと言ったから楽しみにしていたのにとんだ期待外れだったな。

「おい。何にもいねえじゃねえか。」

「ああ。そうだね。機械兵と合成獣(キメラ)どころか人っ子一人いない。いや機械も獣もいやしないね。」


「まあ危険な兵器や生物たちがいないというのならいいではないですか。この先の為にも可能な限り体力は温存しておくべきです。」

ま。スカラが言うことが正しいんだろうさ。

実際この後何が出るかわかったもんじゃねえ。

これだけ静かなのは何か嵐の前の静けさなんだと俺の勘は言ってる。


「まあ警戒だけはしておくさ。ロクスケも頼んだよ。何かあったらすぐに全員に知らせるんだ。」

「わかってるよ。お前らこそ師匠がいねえからって手を抜くんじゃねえぞ。」

「言われるまでもない。この計画はメルナさまのための計画なのだから手を抜く理由は全くないだろうが。」

「まあ右に同じくだね。ことこの城の中では警戒して警戒しすぎるということはないさ。」

とはいえ何の気配もまったく感じねえし何にもいねえんじゃねえかな。


「さて。結構上ってきたが…。あとどんくらいあるんだ?」

「もうかなり上まで来ているね。あと2階くらい上がれば最上階じゃないかな。」

「それじゃもうすぐか。…なんでこの建物階段の位置がバラバラなんだ?一か所に集めておけよ。」

絶対に階段は一か所で上り下りできたほうが便利じゃねえかな。


「ああ。この城は居住や拠点という目的もあるが防衛機構としての役割も大きいのだよ。」

「ふうん。そんだけ大事なものがあんのか?」

「ああ。噂によればこの城はDr.WHITEやDr.BLACKが住んでいるとも考えられている。」

そういやそんな奴らもいたが名前だけ何度も聞いたが…全く影も形もつかんでねえしもしかしたらそんな奴らいねえんじゃねえかな。


「噂ねえ。実際のところどうなんだ?そいつらここにいると思うか?」

「まあ。わからないが。個人的にはいる可能性は高いと考えているよ。」

「へえ。なんでだよ?」

「これまで見つからなかったからさ。我々は今はほとんどを征服している。なのに影も形もないんだ。どこにいるかという情報すら手に入れていない。ならば消去法でここにいる可能性が高いと考えたわけだよ。」


「消去法ねえ。まあ確かにここにいなかったらどこにいるんだろうってなるよな。」

「そうだな。もしここにいなくて地下に隠れているんだとしたらメルナが見つけてるだろう。」

「本当は存在しねえとかそういうわけじゃあねえの?」

「…まあ我々は実際に会ったことは一度もないし、ありえなくはない。もしかしたら幻想なんじゃないかと思わなくもないさ。」

「ただ。僕やブランに指令を出していた以上は意志はあるんだと思いますけどね。」


「ま。俺としてはいたとしてもいなかったとしてもどちらでもいいさ。さて最後の階段が見えてきたな。」

「ええ。見えてきましたね。僕は後ろにいますのでお二人はどうか前で警戒していてください。」

「…まあうしろは警戒する必要もねえか。」

「そうだね。まあ最後の階だ。今までが拍子抜けだった分存分に警戒して上がっていくとしよう。」




─────────────────────────────


どうやら乗り物に乗って移動をしているらしい。

結構大きい箱状の乗り物が見えてきた。

…何とかしがみ…付けた!

よし出入口はあるかな…?

うーん。それらしいものは見当たらないな…。

まあいいか。斧で入り口はいくらでも作れる。


えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!

よし。入り口はできた。中に入ろう。


「よいしょっと。」


「う…うわあああ!て…天井から入ってきたぁああ!」

「ああ。やっと見つけた。」


この世界に来てからずっと探し続けていた。

ミヨさんがここにいた。

やっと見つけてあげられた。

考えてみればかなり久しぶりに会うなあ。


「だ!だれですかぁ!あなた!私とノエルさんに何か用ですか!そもそもどうやって追いついてきたんですかぁ!」

「え…?」

「初めて会う人ですが…なんで私達を追いかけてくるんですかぁ!」


「いや…えっとあなたこそ誰ですか?」




─────────────────────────────


「…なあ。これなんだよ。」


「こんにちは。私がDr.WHITEだよ。」

「こんばんは。僕がDr.BLACKですよ。」


「信じられないが…これが…私達に指令を出していたのか?」


「今日は何の用なんだい?ボタンを押して問い合わせてね。」

「本日は何用か?ボタンを押して問い合わせてくれたまえ。」


「これは…ええ。僕はこんなものの為に働いていたのか?」


「白と黒の…機械人形かこれ?」


「ああ。…どうやらこんなおもちゃが我々に指示を出していたらしい。」

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