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くるま…とはなんでしょうか?

ひとまずコトさんへ相談をしなければいけない。

それにしてもスカラさんから話を聞き出すには時間がかかる。

ミヨさんがいる場所の心当たりも聞こうかと思ったが聞き出していたらいつまでかかるかわからないのでロクスケさんをこの場に残してコトさんへの相談を優先することにした。


「ああ。メルナさん。待ってました。どうなりましたか?」

「はい。ひとまずはロクスケさんの保護には成功しました。多少怪我はしてますけどぴんぴんしています。」

「ロクスケさんは無事だったんですね。よかった…。」

「ただ…まだミヨさんがどこにいるのかはわかっていないです…。ここからひとまず現地の人達に…」

「メルナさん。ミヨさんがいるだいたいの場所はこちらで把握できました。」

「ええ?本当ですか!?」

「はい。現世(ウツシヨ)での出来事は隔世(カクリヨ)から見ることができるので探し続けて…何とか見つけました。」


すごい。よく見つけられたなぁ。

あれって座標を指定した場所を見ることができるだけのものだしいろんな場所を全部確認していかないといけないわけで…かなり大変だったんじゃないかな…?

「えっと…この場所からすぐに行けそうな場所ですか?」

「いえ…かなり遠いですね…。今メルナさんがいる場所から…東にまっすぐ…かなりの距離がありますので…どうしたものか…?」

「そんなに遠いんですか?」

「そうですね…メルナさん一人でも…徒歩の移動ではかなり日数がかかると思います。」

「…でも…行くしかないんですよね?」

「えっと。…そうなんですが。」

どうにもコトさんの歯切れが悪い。

何か言いたいことがあるらしいが…。

「メルナさんに聞きたいのですが…。メルナさんは車って知ってますか?」

「くるま…ですか?えっと…。」

「ああ…やっぱり…ご存知ないですよね…どうしようかな…?」

「今の話の流れだと…速く移動するために必要なもの…って感じですかね?」

「はい。その通りです。」

なるほど。歩いて移動する以上に速い移動手段がこの世界にはあるらしい。

私がいたところにはそういったものはなかったがこの世界には見たことがない物がたくさんあるのでそういったものもあるのだろう。

「色々な場所を探したときに確認したのですが…そちらの現世(ウツシヨ)には車や鉄道という移動手段があるので…現地の方に協力してもらう必要があるのですが…。」

「ああ。それでしたら協力者を複数人確保していますのでその人達から情報を集めましょうか。」

「流石はメルナさん!もうすでに協力者を確保しているとは!」

「はい!50人程拠点に連れてきてあるのでみんなから話を聞いてみますね!」

「え?50人も拠点に連れてきたんですか…?」

「ロクスケさんを取り戻すときに必要だったので50人ほど捕まえたんですよ!今は牢獄に入ってもらってます!話を聞いてきますね!」

「え?」

「移動手段についてですね!ええ!私に任せてください!」

「はあ…牢獄…え?メルナさん…?なにしたんですか?」

コトさんが何か言っていたがひとまず通信を切って話を聞きに行こう。




─────────────────────────────


「なるほどな。というかお前普通にしゃべれるんじゃねえか。」

「ええ。あくまでも僕が饒舌に言葉を重ねて話すのはメルナさまと話すのに万全を尽くしているだけですからね。」

色々な話を聞き出すにあたって俺一人で残ったが師匠と一緒の時と違って普通にいろんなことを聞き出せた。


「はっ。まぁ俺にはそういうのは必要ねえな。」

「あくまでもメルナさまの為に情報提供しているという事を忘れるなよ。お前に対してはむしろメルナさまの近くにいる虫くらいの感情でしかないんだからな。」

「ひでえ言い様だな。まあ俺としても別に仲良くしてもらおうって気はねえよ。」

「…ああ腹立たしい。どうしてそこに立つのがお前なのか。僕であればお前なんかよりもずっと助けになれるはずだというのに。」

「そうかよ。俺はお前の事別にそんなに嫌いでもねえけどな。」

「……………………チッ」

「舌打ちすんじゃねえよ!」

こいつほんと師匠相手じゃねえと態度わりいな!


「お二人とも気付かないうちに仲良くなったみたいでよかったです!ところでスカラさんに聞きたいことがあるんですが…今大丈夫でした?」

「おう。来たか。」

「ああ。メルナさま。一日千秋の思いでお待ちしておりましたとも。ああ。愚かなる不肖(このスカラ)…」

「こいつ俺とだと長々としゃべらねえで普通にしゃべるぞ。」

「ええ!そうなんですか!…私にも短く…普通にしゃべって欲しいですけど…ロクスケさんじゃないとダメですか?」

「えっ………!?!?」


あごが外れるんじゃないかってくらいにスカラは驚いている。

しかしすぐに何事もなかったかのようにキリッとした表情で立ち直った。

「ええ。もちろん。メルナさまが仰るのならば。…短くしゃべれるように気をつけましょう。」



─────────────────────────────


「それでですね。くるま?ってものについて知りたいんですが。」

「え…?車…と言いますと…自動車…の事ですか…?」

「えっと。私たちの仲間を探しに行きたいんですけど。いる場所がとても遠い場所らしいんですね。なので…移動手段である…くるま…について教えてもらいたいんですけれど。」

「なるほど…。ちなみにですがメルナさまは車について…どの程度ご存知でした…?」

「恥ずかしながら…移動手段であるという事しか…。」

「はい。わかりました。それではわたくしスカラが車について解説させていただきます。」

「…手短に頼むぜ?」

「……チッ」

「私からもよろしくお願いします。」

「ええ。ええ。もちろんですとも。」


スカラさんは私に要点をまとめた説明をしてくれた。

本当に長々と話さなくても説明はできるらしい。


なるほど…だいたい理解できた…と思う。

車というものは燃料というものを使って長距離を高速で移動できる箱…?で中に乗り込んだ人がその箱を操作して目的地まで移動する…この現世(ウツシヨ)では割と一般的に普及している移動方法らしい。

「ちなみに私達がその自動車を使いたいと思ったらどうしたらいいですかね?」

「ええ。そうですね。…話を聞いた限りだとブランもこの場所に来ているのですよね。彼女に相談してみるのが一番いいかと思います。」

「そうなんですか?」

「ええ。ただ彼女がおとなしくいう事を聞くかどうかというのはわからないので…もしよろしければ僕も付いていってもいいですか?」



─────────────────────────────


「ああ。もちろんだ。全面的に協力しよう。何台用意すればよかったかな?」

「えっと…どれくらい必要なものなんですかね…?」

「大きな車が一台あればいいかと。」

「ふふふ。一台でいいのかい?というよりスカラ。君は何故メルナの隣にいるんだい?」

「必要とされているからですよ。ええ。メルナさまは僕を必要としてくれているのです。」


…驚くほどすんなりという事を聞いてくれた。

これスカラさん連れてくる必要なかったんじゃないかな…?


「つーかお前ら…やっぱり知り合いなんだな。」

「ええ。残念ながらこの女と僕は…協力関係にあります。いえ。ありました。」

「そうだね。まあ実際のところほとんど話したこともなんだけれどね。」

「知り合いではあるし。ある種の協力関係ではありましたがお互いに友愛だとか信頼だとかそういった感情は持ち合わせていない。と認識していただけましたら。」

うーむさっきからまったく目を合わせようとしないなこの二人。

というか私の方ばかり見ている。

会話している相手の顔を見ましょうよ。


「…仲良くはないんですか?」

「ええ。その女とはどうにも合わないんですよね。」

「ああ。同感だ。私もこいつに対して好意的な感情を抱いたことはないし今後もないだろうさ。」

うーん。どうやらあまり仲良くない相手のようだ。

仲良くしてくれないかなあ。


「そんなこと言わずに…仲良くできませんか?これから一緒に過ごす仲間になるわけですので…。」

「え?」

「うん?」

「は?おい師匠何言ってんだよ!」

ロクスケさんは急に怒り出した。

そんなにおかしなことを言ったつもりはないんだけど…


「ええ?でも自動車を使って移動することになると思いますが…私達じゃきっとまともに動かせませんよ?私たちが使えるようになるまで練習をしているような時間もないですし…協力してくれる人はどなたか必要になります。」

「…まあ。それもそうか。」

ロクスケさんは嫌そうな顔をしている。

二人とも自動車なるものについてあまり理解していないのでそのあたりは仕方がないと思う。


「でしたらどうやらお二人とも私達と仲良くしてくださるそうですし…それにもう一人の…白い少女についても詳しく知っているでしょうし協力してもらった方がいいんじゃないですか?」

「んー。それにしたってほいほい仲間に加えていいような奴らじゃねえと思うけどなぁ。」

「仲間が捕えられている以上。ある程度手段は選んでいられないですよ。」


ロクスケさんはうんうんと座り込みながら考え込んでいたが…少し悩んで結論を出した。

「…まあ。そうだな。師匠が正しいよ。まあこいつらが急に裏切って暴れたとしても俺達で押さえりゃいいだけの話だ。」

「全面的に協力しますとも。少なくとも僕はメルナさまを裏切ることはありません。」

「ああ。私も協力する。メルナの事はとても気に入っている。裏切る理由がないさ。」


懸念点を上げるとすれば…この好意が本当の物であるかという証明が私にはできないという事だ。

私は私が持っている『魔王』という能力についてスカラさんが言っていることが全面的に正しいとはとても思えないし。

それを根拠にした作戦を立てることについて少なからず不安はある。


ただ…多少のリスクを冒してでも…ミヨさんの事は早く助けてあげたいと思う。


だって…コトさんが今までにないほど取り乱している様子だったから。

あんなに取り乱したコトさんを見るのは…初めてだった。

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