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黒い女性

深夜の街は暗く静寂に包まれている。

黒の街は建物も黒い為普通以上に暗く見える。


ビルの一回は警備のために駆り出された『黒い影(機械人間)』が沢山いる。

あの『黒い影(機械人間)』は初日にはいなかったが日に日に増えて行き今では数えきれないほどいっぱいいる。

さすがにあれだけの数で守っていれば私も侵入は難しそうだ。


さて。私は今ビルの屋上にいる。

ロープを下から投げて引っ掛けて登ってきたのだ。

ビルの間取りなどが書いてある地図を広げてざっとルートを確認する。

「…上からならかなり近いな…結構すぐにたどり着けそう。」


屋上には『黒い影(機械人間)』は一台しかいなかったので雷の魔石を使ってサクッと無力化した。

人間相手なら加減が難しいけど機械相手なら沢山魔力を籠めればいいだけなのでかなり楽だ。

「さて、それじゃあ行きますかね。」


準備が整ったので突入していく。

できる限り音をたてないように侵入してこう。

…初めて入る場所ってなんだか緊張する。

知らない場所で知らない人がいるところに無断で入るというのは…まあドキドキしてしまうのもしょうがないだろう。


目的の部屋の前に着いた。

一番奥まった場所にある部屋で「社長室」と書かれている。

ここにロクスケさんをさらった黒い女性がいてその奥に牢獄があるだろうという話だった。


ドアに鍵は…かかっていないようだった。

不用心だなと思いながらも静かにドアを開けてまずは中を窺う。

…見える範囲には誰もいないようだったのでひとまず部屋に入り急いで物陰に隠れる。

黒を基調にした…かっこいい部屋だなあ。

家具類はシックで重厚感があるし照明が薄暗く照らしているのでムード満点といった感じだ。


…いや私は部屋の中を見に来たわけじゃないんだけど…建築が趣味なので内装などはどうしても気になって見てしまう。

前にロクスケさんが私の部屋を見て「趣味が完全に魔王なんだよな」とか言っていたので今度模様替えをしようと思っているのでオシャレな部屋を見つけるとついつい内装を眺めてしまう。


奥に重そうな木でで作られた扉があったので多分ここにロクスケさんが捕まっているのだろう。

…中で話している声が聞こえるなあ…。

よし、覚悟を決めて中に入ろう。


…鍵かかかっているようだ。

まあ木の扉だしここまでくればある程度騒ぎになるのは覚悟しているしいいか。


斧を取り出して…ガンガンと何度か叩き切っていく。

ちょっと頑張って私が通れるくらいの穴をあけて…中を覗き込む。

黒い女性が驚いた様子でこちらを見ていた。

少し離れて杖を差し込み狙いをつけて雷の魔法を放つ。

「うごっ!あがっ!」「ぐあああ!」


命中したようなのでドアにあけた穴をまたいで中に入っていく。

黒い女性は…うわすごい、立ってる。

「なんだ!なんなんだ!お前は!」

「どうも。初めまして。そちらにいるロクスケさんの保護者です。」

「なっ!なんだお前は!私に何をした!ふざけるなよお前!」

「えっと…ああロクスケさん。無事そうで何よりです。」

「…思いっきり俺も巻き込まれたけどな。ここに入れられて一番いてえ攻撃が味方からってどういうことだよ。」

「ロクスケさんは体が丈夫ですから大丈夫ですよ。それじゃあ外に出ましょうか。」

「私を無視するなよ…!…逃がすわけがないだろうが。」


黒い女性は動揺していたが少しの時間で落ち着いたようで臨戦態勢を取っている…。

「今度はこちらから行く!」

まっすぐにこちらに向かって殴りかかってきた。

腕を振り下ろして私の方辺りを狙ってきたので杖を使って何とか受け止める。

「受け止めるか!しかしそんな棒切れでわたしを倒せるとは思わない事だ!」

この人かなり強いんだよなあ…。

少し距離を取り回転しながら杖の頭をぶつけに行く。

「さあ!止めたぞ!その細い腕で力比べでもしてみるか!」

ただこの人魔法の知識は全くないんだよね。

魔力を込めて電気の魔石を起動する。

「あああああああがあああああ!」

よし。怯んだ。

さすがに手を離したのでそのまま足元を払う。

「あっ!あがっ!」

倒れたところに念のために追撃の電撃を加える。

「えげつねえな。」

「それが助けられる人の態度ですか?」

「そんでどうすんだ?この檻は鍵かかってるしそいつ多分鍵持ってねえぞ。」

「ああ。ちゃんと持ってきましたよ。」

「あぁん?」

私は背負ってきた物の一つをロクスケさんに差し出す。


「おお。わかってんじゃねえか。」

「それさえあれば脱出とかできるんでしょう?どっちから出ます?壁もそんなに分厚くはないみたいですよ。」

「はっはっは!おお!これもしかして葛丸か?」

「はい。まあ厳密に言えば再現されただけの物らしいですけど。」

「いいね。最高だ。手になじむ。」


ロクスケさんは受け取った刀を手に取りニヤニヤしながら何度か試すように振り回している。

「よし。今そっち行く。」

試すように振っていたように見えたがどうやらもう檻を切っていたらしい。

「無駄だ…機械兵を呼んだ…すぐにここに集まってくる…」

うわ。まだ気を失ってなかったのか。

この人どうしたら気を失うんだろうか。

まあいいかもう動けなさそうではあるし縄でぐるぐる巻きに縛っておこう。

「よし。」

「よしじゃねえよ壁側斬ったけどどうすんだよ。ここかなりたけえぞ。」

「縄有りますんで適当なところに縛ってその斬った所から降りますよ。」

「んー…まあ行けねえことはねえか…。」

「この人連れて行こうと思うんですけど持ったまま降りれます?」

「はあ?なんでだよ?こいつ連れてくのか?」

「ええ。放っておいたら多分私たちのこと追ってきますよ。」

「…俺は無理だな…流石に高すぎる…」

「わかりました。それじゃ私が担いでいきますね。先降りますよ。」



─────────────────────────────


縄を伝って途中までは降りたがどうやら下にも機械兵とやらがたくさん集まってきていた。

師匠は途中まで降りて下に追手がいるとわかった瞬間に壁を蹴りながら結構な高さから飛び降りていたがなんか杖をそこらに引っ掛けたりして何事もなく降りて走り去っていった。


あれ…?これもしかして俺あれに追いつかないと合流できないんじゃねえの?

「あいつマジでふざけんなよ!!!!」

急いで何とか着地できる高さまで降りて壁を蹴って師匠が走り去っていった方向に向かって走る。

後ろから追手が来ているから相手をしてやりてえがもうほとんど見えない位置にいるので目を離した瞬間に置いてかれるだろう。

…あいつこっちが数日拘束されてるってわかってんのか?

体のあちこちがいてえし食事ももう最後に食べたのは結構前だ…。

いや…でもあっちはでっけえ女一人肩に抱えているから…

いや待て速えなんだあいつ!

ごちゃごちゃ考えている暇はないようだ。

「ああっくそっ!走るしかねえ!」

まあ…刀があるから何とかなるだろ。



─────────────────────────────


あれ?そういえばロクスケさんって拠点の場所わからない…よな…?

後ろを振り返ってみたが辛うじて遠くに姿が見える。

ああよかった。撒いてしまっていたらまた探しに出ないといけない所だった。


黒い女性は何度かもぞもぞと抵抗していたがこれくらいならまあ運んでいけるだろう。

…そういえばこの人名前なんて言うんだろう。

口を布で覆っているのでむぐむぐと声を出しているがまあ追手の人達も流石にこれを頼りに追いかけては来ないだろう。


それにしてもこの女の人は一体何者なんだろう。

ロクスケさんは素手だったとはいえそれを相手にして圧倒するなんてとんでもない人だ。

電撃を何度も受けてもまだ動いているし…今も縛られていても結構力は強い。


途中何度か撮り落としそうになりながらもなんとか拠点にたどり着いた。

ロクスケさんは…遠くに走っている気配はあるな。

まっすぐに拠点に帰ってきたら居場所がばれてしまうと思ったのでいつも少し遠回りをして帰ることにしているからロクスケさんもきっとついてくるの大変だよなあ。

…最悪たどり着けなかったらあとで迎えに行ってあげよう。


…黒い女性は力尽きたようにぐったりとしていた。

今日の所はこのままベッドに寝かせておくしかないかな…。

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