プロローグ
シルバーウイーク企画
短期集中連載です。
令嬢のみが通う秘密の交友倶楽部がある。
あて名のない手紙を部屋の中央に置かれている宝石箱の中に置くと自分以外の誰ががそれを持っていき返事をくれる。
相談事であったり、恋の話であったり、愚痴であったり。
手紙の内容は様々。
フィーリングが合えばその後双方に専用の私書箱が出来て交流が始まることもあるし、一度で終わる時もある。秘密の交流会なので名前はイニシャルや偽名、本人を特定することは御法度。勿論出入りできるのはそれなりに身元のしっかりした会員の令嬢のみで、例外はお使いのために登録されたその家の使用人一名。
自分がどんな相手と手紙のやり取りをしているのか分からないスリルと相手が自分の事をしたらない曖昧さの上でモヤモヤした胸の内を吐き出してスッキリする。
そんな場所。
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こんにちは、名も知らぬ貴方へ
今日私は、婚約者の男性が見知らぬ娘と会っているのを見てしまいました。
別人かと思ったのですがどうやら本人のようです。すごくムカつきました。
ミミ
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初めまして、ミミ様
そんな奴、振ってしまえばよろしいかと。
しかし一回の過ちを許すのも女の懐の大きさかと。
まあ、世の中には素敵な殿方が沢山いますわよ。
それより美味しいケーキ屋さん知りませんか?
出来れば王都で探しています。
Y
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Y様
王都ならカノンという店のシュークリームが一番です。甘すぎずそれでいてクリームがたっぷり入っています。あまり知られていないので穴場です。お薦めです。
そう言えばアイツに
女の懐が大きいところ見せてあげようと思います。
ミミ
6回連載予定。
毎日更新17時。
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