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似合いますよ

「ああ、気持ちいい!」勇希の体の汗が流されていく。練習の疲れと先ほどの出来事で感じた疲労感も一緒に流されていくようであった。


 この浴室で響樹がいつも入浴しているのだと考えると、なんだか急に恥ずかしくなった。


 体の汚れをすっかり落としてすっきりした顔で、髪をバスタオルで拭きながら勇希が浴室から出てきた。

 彼女は響樹が渡したTシャツを上半身に羽織っていた。


「ああ、生き返った。 このシャツ、ちょっと大きいけどいい感じ・・・・・・・」勇希はシャワーを浴びて頬が紅潮しており色っぽい感じであった。 いつもの制服・空手道着とは違う彼女の姿を見て、響樹は本当に綺麗だと思った。


「よ、よく、似合いますよ。 ・・・・・・それ」精一杯、響樹は賛辞を送った。


「そ、そうかな・・・・・・有難う」勇希は恥ずかしそうに微笑んだ。


「ええ、とても・・・・・・」響樹は勇希の姿から目を逸らした。


 なんだか気まずい雰囲気で少しだけ二人は沈黙していた。


 先に沈黙を破ったのは勇希であった。


「そういえば、・・・・・・さっきの女の子は知り合いなの?」唐突に勇希の頭の中に、青い少女の姿が浮かんだ。 その顔は、性悪そうにけたたましく笑っていた。


「さっきの・・・・・・女の子・・・・・・ですか? なんの事ですか、俺は知りませんけど」考えてみれば響樹は意識を失っていたので、青い少女の姿を確認していない。


「そう・・・・・・でも、知らないにしては、親密な感じだったわ・・・・・・」勇希は、またあの口づけを思い出し、自分の唇を尖らして拗ねたような顔を見せた。


「はあ・・・・・・・」一体この先輩が何を怒っているのか響樹は全く解らなかった。

 しばらく取り留めの無い話で時間を潰してから、響樹は勇希を彼女の家の近くまで送った。


「有難う!」勇希は嬉しそうに軽く手を振る。


 道場での彼女と違う一面を沢山見て、響樹は少し得をしたような気分になった。

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