王都への帰還と竜騎士団
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ほぼ全てロンが活躍したお陰だが、レーゼベルグの森を無事平定したレオン団長を王都の民は凄まじいお祭り状態で迎えた。
「すごい人出だな……先の戦争の凱旋パレードでもここまでいかなかったけど」
おそらく、英雄や聖女への期待がそうさせているんだろうな、と少し苦々しい顔でレオン団長が呟くのをリリアは聞いた。
そんな表情をしたレオン団長を、リリアは何回か見たことがある。やはり、聖女の資格を剥奪された母親とのことが影響しているのだろうか。
しかし、次に見た時にはレオン団長は満面の笑顔だった。
「リリア、さあマダムシシリーの新作を着て買い物のターンだな!」
「――――流石に、王宮への報告をしてもらえるか」
「ちっ、一歩出遅れたか。ルード、いつのまに来た」
「レオンは本当に……。飛竜なんて連れてくるから王宮も大騒ぎだ。それになんで飛竜にアイリーンが乗ってるんだよ!」
アイリーンは、あれからずっと飛竜との訓練に精を出している。
まだ、飛竜と飛ぶことはできないが、乗せたまま歩いてくれるようになったのだと、先日嬉しそうに報告をしてくれた。
「やっほー。ルード!見てみて、可愛いでしょ?竜騎士団を作るのよ!」
「はあ……。まあ、それすらレオンの元では夢物語ではないのか」
そう言ったルード副団長は、アイリーンが乗っている飛竜の瞳を覗き込んだ。
「――――ルード?」
「思うところがある。飛竜から降りろ、アイリーン」
アイリーンが、軽やかな身のこなしで降りると、代わりにルード副団長が飛竜に乗った。
その瞬間、飛竜が羽ばたき空へと飛び立つ。
「えっ、何やってるのルード」
アイリーンが呆然と呟く。リリアは目を擦ってみたが、たしかに飛竜に乗ったルード副団長が空を飛んでいる。
「やっぱり、ルードはルードだな」
レオン団長のあまり意味をなさないつぶやきは、だが同意するしかない事実だった。
「まあ、あれを見たあとなら、俺でもできそうだと思えるが」
「レオン!レオンは俺の背中以外に乗ったらダメなんだぞ!リリアもな!」
レオン団長の背中に掴まったままのロンが、少し怒ったように叫ぶ。背中に乗せてくれるつもりらしい。ロンは本当に可愛い。
数分後、地上にルード副団長が降り立つ。
「まあ、仮説通りだな。飛竜の翼は体に比べ小さい。魔力制御で飛んでいるんだ」
「翼を魔力で制御するのか」
「お前ならできるだろうけどな?」
「まあ、答えを教えて貰えば。でも、ロンがいじけるからやめておく」
その横でアイリーンが震えている。
「ルードだけには負けたくなかったのに!竜騎士団は私が率いるんだからね!」
後日、ルード副団長に指導されて血と涙滲む努力の末、アイリーンと他の団員たちも飛竜と共に飛ぶのだが、それはまた先の話なのだった。
ルード「魔力制御が甘い!もう一度だ!」
レッド「くっ、これ何百回目だ?!」
グリーン「魔力制御、自信あったのに」
ブルー「さすが、我らがイエローだ」
アイリーン「二番手だけは譲れない!」
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