金の竜
そして、ついつい甘い雰囲気に浸ってしまった気がするが、違うのだ。レーゼベルグに急に来ることになったのは、銀の竜が現れたからだったはず。
リリアが眠ってから、三日も経ってると言うことは、ロンはどうなったのだろう。
「レオン団長」
「ああ、金の竜の目撃情報は以前からこの地にあったらしい。だが、今回は魔獣や銀の竜からその金色の竜に救われたという証言が山ほど出てきている」
金の竜?でも、ロンの色はオレンジ色だったはず。それでも、リリアがブレスレットに目をやると、その鱗はたしかに金色で。
(そういえば、別れる前に魔力を全部あげたら、なんだか金色っぽく光ってたかも?)
「その、金の竜って」
「十中八九、ロンだろう」
レオン団長の意見も、リリアと同じようだ。
「人間に興味ないって言ってたのに」
「ああ、あいつ律儀だからな」
レオン団長の作った美味しい食べ物も、リリアの魔力も大好きなロン。なんだかんだ言いながら、いつもレオン団長かリリアの側にいた。
「ずいぶん長く、会ってない気がする」
「そうだな。ロンも待ってるだろう。そろそろ行くか」
「そう、だね」
リリアの目の前に、大きな手が差し出される。
「今回は目覚めたばかりだから行くなって言うかと思った」
「……ずっと一緒にいるんだろ?」
その手をしっかりと掴んで、リリアは立ち上がる。レオン団長が天井を見つめて言った。
「行くぞ?」
「我が主は、俺がいるのわかっててあんな空気かよ。それに人使い荒くないか」
「ふん。俺が弱くなれば、すぐ寝返る危険人物にそうそう気を遣ってられるか」
リリアといえば、ここまでの自分の言動を思い出して赤面する。
「あの、カナタさんどこにいたんです?まさか本当に天井裏に」
「そうだが?くっ。しかしかわいいな?姫は」
「――――っ!!」
その一言が、カナタから発せられた途端、レオン団長からなんだかどす黒いオーラが出た気がした。
「リリアの10メートル以内に近づくな。それでもちゃんと守れよ。命令だ」
「うちの主が、マジで冗談通じない件について!」
この二人は、いつの間にこんなに仲良くなったのだろう。でも、意外と仲間になっていきそうな気もする。リリアはそんな予感がした。
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