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転生したら幼なじみが騎士団長になっていました  作者: 氷雨そら
異世界で幼なじみともう一度

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60/100

伯爵襲名と婚約

ご覧いただきありがとうございます。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 その日、レオン・レーゼベルグ伯爵の襲名式には多くの人が駆け付けた。その顔触れは多岐にわたる。


 先の戦争での救国の英雄レオンを慕う騎士団関係者、聖女リリアの所属する騎士団の団長であることから神殿関係者、そして将軍閣下の息子として侯爵家の派閥関係者も。


「ふえー、すごいね。本当にこの中でするの?」

「そうよ。リリアは見つかったら大騒ぎになるから隠れていなさい」


 アイリーンは実は伯爵令嬢だった。ストラウス伯爵家の次女。今回はその肩書で参加している。ちなみにルード団長も子爵家の三男ということで参加を許されている。


「みなさん貴族だったんですね」

「今更だわ。これからはそう言ったことも頭に叩き込まないとやっていけないのよ。ふふふ。でも、私が手とり足取り……」


 アイリーンをエスコートして入場してきたルード副団長がため息をつきながらアイリーンのじゃれあいを制する。


「アイリーン、余計なこと言うな」

「ルード……せっかくだから一曲踊りましょうか?」

「今回は遠慮しておくよ。警護に支障が出る」

「冗談よ」


 ルード副団長にエスコートされたドレス姿のアイリーン。すごくお似合いに見える。


 どうしてこの二人が付き合っていないのかが謎なくらいに距離が近いのだが、貴族社会はいろいろあるのかもしれない。


「リリア、ここに隠れているのよ。私たちは周囲を警戒しながら近くで参加しているわ」

「ありがとうございます。アイリーン隊長」


「ここではアイリーン様と呼びなさい。伯爵令嬢として参加しているから、その呼び方なら私と近しい人間ということも周囲が理解するでしょう」

「アイリーン様、かしこまりました。ありがとうございます」


 リリアは貴族の作法にのっとってアイリーンに礼をした。


「リリア様の所作は完璧よ。自信をお持ちなさい」


 背筋を伸ばしてドレスを着こなすアイリーンは本当に美しい。


 騎士服を着た時の凛々しさから、赤薔薇の騎士と呼ばれて社交界の令嬢たちのファンもとても多いらしいが、艶やかなドレス姿も誰よりも輝いているだろう。


 ルード副団長も社交界では本当に人気があるらしい。いつも冷静な、次期騎士団長としての呼び名も高い子爵家の三男。


(よく考えたら、すごい人たちに囲まれていたのだわ)


 七瀬が好きで読んでいた騎士物語の中の登場人物たちに負けないほど、第二騎士団の団員たちはいろいろな意味で目立っている。


 むしろその中でもリリアが最近一番目立っているのだが、リリア本人にはあまりその自覚はないため、周囲はいつもハラハラしながらフォローしているのだった。


 国王陛下から正式な襲名が言い渡されると、周囲から祝いの拍手が巻き起こった。リリアが控えている部屋までその歓声が聞こえてくる。


「リリア、出番だぞ」


 将軍閣下自らが部屋まで迎えに来てくれた。その手にエスコートされたリリアが会場に現れると、それまでの雰囲気が嘘のように周囲が静まり返る。


 おそらく、リリアが将軍閣下にエスコートされこの場に現れた意味を誰もが理解しているのだろう。神殿関係者は心なしか青ざめているようにさえ見える。


「リリア」


 レオン団長の蕩けるように幸せそうな笑顔を見た周囲の人間は、ほとんどがレオン団長の冷徹な仮面しか見たことがない。信じられないものを見た、すわ天変地異の前触れかとでも言いたげな表情を、騎士団関係者以外の誰もがしている。


 騎士団関係者だけは慣れたもので2人の様子を生暖かい視線で見守り続けているのだが。


「本当に妖精が来たかと思った」

「こんな時まで冗談言わないの」

「いつだってリリアをほめるとき、俺は本気だよ」


 将軍閣下のエスコートから、レオン団長のエスコートへ。事前に将軍閣下から話を通してある国王陛下がこちらを見守っている。


「国王陛下。このたび私、レオン・レーゼベルグに伯爵の地位を与えてくださり厚く御礼申し上げます。この祝いの席でもう一つめでたきことを報告させていただきたく」

「許そう」

「私、レオン・レーゼベルグはこの良き日に、聖女リリアと婚約いたしました」

「ふむ。僥倖だな。2人の行く末に幸あらんことを」


 国王陛下からの正式な婚約の許可。この後に手続きがあるとしても、もうそれはゆるぎない事実となった。しかし、国王陛下は口元の片端だけを釣りあげて、周囲に聞こえないほどの声で2人に告げる。


「ふふ。落とし子2人を同時に得た国は今までなかった。我が国にとって吉と出ることを祈っているよ」


(とっくにばれていた!!)


 将軍閣下の方を見ると、珍しいことに苦虫をかみつぶしたような顔をしている。すべては国王陛下の手のひらの上だったというわけだ。


「ああ、だがレオンには申し訳ないことをしたと思っている。俺があの時王になっていたら母を失わせるような真似はしなかった。これからは幸せになれ、戦友の一人として願っている」

「陛下……」


 それだけ言うと陛下は祝辞を切り上げ去っていった。


「主役が踊らねば、始まらないぞ」


 将軍閣下に促されて、2人は会場の中心で踊りはじめる。リリアはダンスはそこまで得意ではない。ダンスの動きについていこうと身体強化を発動していたのがばれて、レオン団長に笑われてしまった。


最後までご覧いただきありがとうございました。1章完結です。


【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブクマいただけるととてもうれしいです。


誤字報告助かってます。ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 祝!第一章完結 無事に婚約できてよかったです♪ 落とし子とばれていたり、色々気になることはありますが、 とにかく二人には幸せになってほしいです*\(^o^)/*
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