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【完結】消えた幼なじみが騎士団長になっていた  作者: 氷雨そら
異世界で幼なじみともう一度
5/100

騎士団長に鍛えられる

ご覧いただきありがとうございます。ここからは短編版にはない内容になっていきます。

ブクマや★評価下さった皆さま。ありがとうございます。

「リリア、とりあえず基礎訓練の様子を見せてもらおうか」

「はい」


 昨日の醜態?を感じさせない、レオン団長は今日は鬼団長モードらしい。リリアは、いつものように身体強化を使いながら走り出す。


「はぁ。……なんだソレは」


 パチンッ。と音を立てて、強制的に身体強化が解除された。途端にリリアの体が重く感じる。


「癒し手が、無駄に魔力を消費してどうする。まぁ、退却時などには有用だろうから、今後も修練は必要だが。もう少し魔力のロスを減らさないと実用は厳しいな」


(職権濫用なんて思って、悪かったかもしれない。仕事に対しては、とても真面目なのね)


 そもそも、高校生だった木下くんは、部活には基本的に全力で取り組んでいた。


「早く走ろうと思うな。スピードよりもリリアに必要なのは持久力だ。おそらく瞬発力は、身体強化でフォローできるが、基礎体力がなければ話にならん」

「……はい」


 レオン団長が、かつてのように眉を寄せて笑う。


「リリアが騎士団を辞めないなら、ずっと一緒にいたい。強くなれよ?」

「レオン団長…」


 こんなにもキュンとさせられたのに、その後の訓練でも、リリアは地獄を見た。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「ずいぶん絞られたみたいね」

「うー。みんな鬼団長って言ってた意味が、分かったよ」


 もう、立ち上がることすら難しく、女子寮の共有スペースのソファーでリリアはぐったりとしていた。そんなリリアを見ながら、パール先輩は少し寂しそうに笑う。


「命の危険と隣り合わせの仕事だからね。居なくなった仲間も多いのよ。ましてや、リリアは、団長直属の部隊に配属されたんだもの。過酷な現場ばかりだと思うわ」

「パール先輩…」

「たぶん、一人だって自分の団員を欠くのが嫌なのでしょうね。責任感が強いから、団長は」


 七瀬の幼なじみは、チームメンバーをいつも気遣っているところがあった。多分、そんな部分は今だって変わらないのだろう。


「そういえば。女子寮のメンバーのあと一人を紹介するわ。今、呼んでくるから待ってて」


(どんなヒトなんだろう?)


 しばらくして現れた女性は、二十代半ばくらい赤毛の気の強そうな美人だった。


「私はアイリーンよ。私も団長の直属部隊の一員なの。これからよろしくね?」

「あっ。リリアです。こちらこそよろしくお願いします」


 何故だかリリアをじっと見るアイリーン。リリアは少し居心地悪く感じた。ややあって、アイリーンが口を開く。


「ところでリリアは、団長とどう言う関係なの?騎士団でもだいぶ噂になっていたけど」


(うん。今の私たちはどんな関係なんだろう?)


 あんなに毎日会いたくて、会いたくて仕方なかった木下くん。レオン団長は木下くんと同じかと言われると違うのかもしれない。リリアが記憶はあっても、もう七瀬ではなくなっているように。


「良く……分からないです」

「そう。じゃあ、遠慮しなくても良いのかしら?」

「えっ」


 ふふ。とアイリーンは笑った。その笑みからは大人の女性の余裕を感じる。


(うん?七瀬はアイリーンさんより年上なのにこの色気の落差はいったい……)


 モヤモヤしながらも、疲労困憊だったため、その日は深く考えることもなく眠ってしまった。


 ――――夢の中で七瀬が笑っている。その隣でやはり笑っているのは…。


 その夢を見ても、もうリリアは泣きながら目が覚めることはなかった。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 それからも、毎日団長のリリア強化訓練は続いた。


 限界までしごかれて地獄を見たリリアは、常時ではなく必要な時だけ身体強化を使う術を覚えた。リリアは魔力量が多い方だ。それに甘えていたのだろう。もう、少しだって無駄には使わない。


 パール先輩からあの話を聞いてしまったから、レオン団長が願うように一人でも多くを助けられるよう、いつだって魔力を温存するのだと心に決めている。


「……だいぶ良くなったな」

「レオン団長、ありがとうございます」

「ああ、これなら十分実戦でも生き残れるだろう。それに、……まぁ。うん。リリアは俺が守るから」


 悔しいことに再びリリアの心臓は鷲掴みされてしまった。心臓の音が、相手に聞こえてしまいそうで本当に困る。


(ずるいなぁ。こんなにかっこよくなっちゃって)


 レオン団長は、看護師をしている七瀬の姿を見ていたかったと言ったけど、リリアだって騎士をしているレオンを見ていたかった。そんなリリアの心情を知ってか知らずか、団長が柔らかい笑みになる。


(わかってないよね。これは…)


「ふ……。なぁ、リリア。明日は非番だな。一緒に街に出かけないか?」

「えっ?」

「だって、せっかく会えたのに。前みたいに休みの日も一緒にいたいんだよ。ダメか?」


 急に雰囲気が変わったレオン団長に、リリアは戸惑ってしまう。この感じ、まるで。


「七瀬と一緒にいたいって。リリアをもっと知りたいって。毎日思ってるってわかってる?」


(本当に昔からそういうとこ、ずるいと思う)


「非番なら良いよ。普段は真面目にやるならね」

「はは。相変わらず真面目だな」


 こんな時間がずっと続けば良い。リリアはそう思うと同時に、きっとそれはできないという予感も感じていた。


レオン「せっかくリリアに会えたのに、想像していた毎日と違う!!」

レオン団長はリリアをデートに誘うことに決めた。


最後までご覧いただきありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるととても嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 木下くんの、鬼団長と胸キュンモードの切り替えにドキドキです(≧∀≦) 心臓に負担がかかりますね笑 明日のデート楽しみです♪
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