癒し手とドラゴン
ドラゴンはリリアのペットになります。
誤字報告ありがとうございます。
いつも本当に助かっています。
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目が覚めると、ピーコックブルーの瞳が不安に揺れながらこちらを見ていた。
「レオン団長、私……?」
「リリア!」
目が覚めるとすでにリリアはレオン団長の腕の中だった。いつもの2人の待ち合わせ場所のようだが、ここまで歩いてきた記憶がない。
でも、ぼんやりとだが七瀬とレオン団長が一緒にいるのを見ていた気がする。
「もう、あんなことするな!寿命がいくら有っても足りない」
「あんなことって?」
リリアは、もうすぐレオン団長と会える日を指折り数えていた。そこまでは覚えているのに。どうやってここまで帰ってきたのか、なぜここにいるのかさっぱり分からない。
「もし、待ちきれずに迎えに行ってなかったらどうなっていたことか。……そうだよな?あのドラゴンはやはりステーキに……」
「ん?待ちきれず迎えに?」
今、聞いてはいけない言葉を聞いてしまった気がする。団長業務を放り捨てて、リリアを迎えにきたとでもいうのだろうか?
「それにドラゴンって?」
チラリとレオン団長に隠れて、しっぽが見えた。のぞいてみると、そこにはぬいぐるみのような可愛らしいドラゴンがいた。
「わ。可愛い!小さいドラゴンだ!」
思わずリリアはドラゴンを腕の中に閉じ込めた。なんだか震えているのが気になるが、ぬいぐるみみたいでとても可愛い。
「ステーキは嫌。ステーキは……。可愛い落とし子の中にはあの女が。可愛い落とし子は超強力な魔法を放つ。可愛い落とし子の後ろにはあの男。……怖い、怖すぎる」
「わ。しゃべるのね。声が小さくて何言ってるか分からないけど?このドラゴン、レオン団長が捕まえたの?」
冷たい目線でドラゴンを見据えたレオン団長が頷きながら答えてくれた。
「ああ、リリアのペットにしていい。……魔法で俺たちに逆らえないからな」
(後半聞こえなかったけど、ペットにドラゴンってすごいことじゃない?)
「ふーん。ドラゴンって何食べるのかな?」
その瞬間、ドラゴンが尻尾を振った。
「魔力だぞ!落とし子の魔力は絶品だ!」
「どうやって食べるのかな?」
リリアは癒しの魔法をドラゴンに使ってみた。
「甘い、うまぁ!これが食べられるならこの環境も悪くないかもしれん」
「喜んでくれて良かった」
ドラゴンが、上目遣いにリリアのことをみあげる。
「お前、本当にあの女が落ちてきて生まれたのか?」
「あの女って……もしかして七瀬?」
「ひっ……あの女の名を言うな!」
「七瀬をあの女と言うな。上手に焼き上げるぞ?」
(2人と1匹の間に何かがあったみたい)
「そう言われると、ドラゴンのステーキ。ラノベでは定番だよね」
「ひっ。やっぱり、同じ魂だな!」
ドラゴンは、レオン団長の後ろに再び隠れてしまった。
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