魔力が回復した団長の暴走と黒歴史
木下くんの黒歴史を暴露します。
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それから3日過ぎると、すっかりレオン団長の魔力は回復した。
「絶好調だな!今なら古龍でも倒せそうだ」
そんな伝説上の存在が現れてしまったら、世界が滅ぶレベルだが、もしかしたらレオン団長なら、倒せてしまうかもしれないという思いも捨てきれない。
「レオン団長。私怒っているんですからね?」
「えっ……何を?……まさか隠れて神絵師にリリアの肖像画描いてもらっているのがバレ……」
「新情報ですけど。あまり知りたくなかったです」
「うわ。墓穴掘った?!」
リリアが怒っているのは、レオンが熱がまだあるのにトーナメントに参加してしまったことだ。
「もっと、自分を大事にしてくれないと、私……悲しいです」
「は。全力で自分を大事にします」
「………本当に?」
「闇魔術の誓約をしましょうか?」
「結構です……」
リリアは、全く理解してないレオン団長のそばに寄り添った。
「レオン団長、あの部屋寂しいです。木下くんの部屋は、ラノベやゲームで溢れてたのに」
「あー、うん」
「中二の時、騎士団長に俺はなる!って言ってたの忘れられない」
「えっ、まさかの黒歴史暴露?!」
「でも……そのおかげで私、神殿でなくて騎士団に入ること決めたんだよね」
それじゃ、黒歴史もいいものかもしれないと、レオン団長の呟きが聞こえた。
「じゃあ、あの部屋リリアが好きに飾ってくれていいよ」
「え?」
「まあ、王国の重要機密が置いてあるけど、リリアなら構わない」
「重いです……」
明らかにレオン団長は、へこんでしまう。リリアはクスッと笑った。
「本当にいいんですか?」
そういうと、レオン団長が瞳を輝かせてリリアを見つめた。
「じゃ、毎日来てくれる?」
「それは、難しいのでは」
「約束通り書類もきちんと終わらせてる」
「ちゃんと寝てます?」
……静寂が訪れた。
(あ、これ寝てないやつだ)
「そんなに書類多いんですか?」
「まあ、終わりはないけど、寝れないのはそのせいじゃないから安心して」
(全く安心できないけど?)
「この世界に来てから、眠りが浅いんだよ」
「レオン団長……?」
レオン団長はいつものように困ったように笑った。
「――心配した?リリアがこの間みたいに一緒に寝てくれたら、よく寝れる気はするけど」
「……えっ?!」
「でも、あんな風な体勢で寝て、リリアが風邪ひいたら困るな。……今度は」
「えっ?!」
リリアの唇に指先で触れて「冗談だよ」とやはり困ったようにレオン団長は微笑んだ。
そのほかに黒歴史には、魔法が使える素振りをする。技名を叫ぶ。団長っぽく振る舞う。などがありました。
リリア「え?……ほぼ叶えてる?!あとは、技名を叫ぶだけじゃない?」
レオン「そのくらいで許していただきたい。」
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