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転生したら幼なじみが騎士団長になっていました  作者: 氷雨そら
異世界で幼なじみともう一度

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王立魔術院の異端児

お越しいただきありがとうございます。

ブクマや感想、★評価ありがとうございます♪


誤字報告、ありがとうございます。

本当に助かります。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 ここは王立魔術院。今日もテオドールは紫色の液体を混ぜながら研究に勤しんでいた。不思議な液体からは泡が沸いていて、なんとも不思議な香りが漂っている。

 その液体を見ながら、インテリな雰囲気のメガネが似合うテオドールが何やらノートに数値を書き込んでいく。それはとても、幻想的で不思議と科学的にも見える光景だった。


「そろそろ来るか」


 テオドールは立ち上がり、紫色の液体をポットに注いだ。そしてあまり訪れることのない研究棟に来る客人を出迎える準備を始めた。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「ここが王立魔術院の研究棟なの?ちょっとイメージと違う」


 目の前の建物は、古いレンガ造りで蔦の葉が絡まっている。研究所というより魔女の家といった方が納得がいく見た目だった。


「テオドールはああ見えて前国王陛下の庶子だ。この建物はテオドール専用になっている」

「えっ。じゃあテオドールさまって呼ぶべきなんじゃ?!」


「そんな風に呼ぶような人間じゃない。いや、リリアが呼び捨てにするのは許せないな。…テオドール様呼びで頼む」

「え?よくわからないけど、テオドールさまって呼ぶことにするね?」


 リリアは、重そうな扉を押して中に入ろうと試みた。しかし、まったく動く気配がない。


「はぁ。呼び出しておいて相変わらず面倒くさい」


 どうもレオン団長とテオドールは面識があるらしい。ため息をついたレオン団長が、手のひらから黒い蔦のような魔力を出すと重厚な扉が一撃で吹き飛んでしまった。


「ひ?!こら!物を簡単に壊したらダメでしょ!」

「ん?悪い。でも、そうしろと書いてある」

「は?」


 ――――この門を超える者、己の知識か力を示せ。


「へ?」

「まあ、こういう奴だ。もし、これで意図することと俺の行動が違ったとしても、それは自業自得という

ものだ」


 レオン団長の機嫌がなんだか悪い。


(こ……これは鬼団長モード!あれ以来、朗らかで優しい木下くんに出会ってない)


 そう思っていたリリアの気持ちを知ってか知らずか、レオンがとっておきの笑顔を見せる。


「リリア、今からでも帰らない?俺と一緒にこの間のケーキを食べに行こう?」

「それはとっても食べた……ううん。効果の高いポーションができれば、レオン団長だけでなくたくさんの人が助かるかもしれないんだよ?」

「だって、リリアがほかの男と会うの嫌だ」


(木下くんぽいのに、なんだか朗らかさがない!?)


「ん」


 レオン団長が手を差し出してくる。


「え?」

「手をつなごう。ほかに仕掛けでもあったら困るから」

「……うん」


 2人の手が触れ合うその瞬間、目の前からあまり抑揚のない声がした。


「人のうちの前だから。そのくらいにしてくれる?」


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 そして今、リリアは目の前のカップに注がれた紫の液体とにらめっこしていた。


「それ、新作のポーション。その量でも魔力が少し回復するのと疲れが取れるくらいの効果はある」


 しかし、そのポーションの色は毒々しい紫だ。さらに少し発泡している気もする。


(な、なにをどう混ぜたらこの色が出せるのか逆に興味があるわ)


「さ、飲んでみて。君の心からの感想が聞きたい」

「え、やっ……やめ」

「僕のこの味を知ったら、もうほかを知りたいとも思えなくなるよ」


 ――――チャキッ…


 茶番は、本気の目で抜刀しようとしたレオン団長によって幕を閉じた。


「はは。レオンごめんって。リリアさんがあんまりかわいいからさ。…あ!」


 ――――ゴクゴクッ


「飲んだぞ。これで文句ないな?」

「うわー。全部飲んだの?ほんと人間か?」

「そんなもの、リリアに飲ませようとしてたのか?」


 ――――チャキッ


「あの、やっぱり私もいただこうかしら?」


(流石に今のはテオドールさまが悪いと思うけど、止めないと…)


「ふふふ。面白いね君たち。ま、レオンは相変わらずというか。少し丸くなった?いいよ、認める。ついておいで?僕のとっておきの研究成果を見せてあげるよ」



 ✳︎ ✳︎ ✳︎


(すごい……。難しくてわからないことも多いけれど、ポーションの濃度や効果発現の時間も細かくまとめられてるわ。この国でこういったまとめ方は、初めてみた)


「まだ、研究成果は山ほどある。あと少しで実用化も叶うレベルなんだ」

「これは、たしかにすごいな」

「さあ、僕は全ての知識と研究結果、設備を君たちへ。君たちの切るカードは何かな?」


 リリアとレオンは顔を見合わせて、頷き合った。答えはもちろん決まっていた。

テオドール「僕も味見したけど、最後まで飲みきる猛者がいるとは思わなかった。味音痴なの?」

レオン「料理は得意だ。味がこれだから広まらないんじゃないか?」

テオドール「それか!!」


ポーションが広まらないもう一つの事実が発覚した。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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