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8・ナイジェルはみんなから慕われていました

 こうして私達はリンチギハムに到着した。


 私は自分の馬車を降り、御者の方に別れを告げる。


「ここまでで大丈夫です。騎士団長によろしくお伝えください」

「もちろんさ! まさかお嬢ちゃんが治癒魔法を使えるとは思っていなかった。良いもん見せてもらったぜ!」


 ここからはナイジェル達の馬車に乗せてもらおう。


 ちなみに……彼の帰りも心配だったので、念のためにこっそり結界魔法を張っておいた。

 これだったら、王都に帰るまでは彼が魔物に遭遇することもないだろう。


「じゃあエリアーヌ、行こうか」

「はい」


 ナイジェルに連れられて、私達はリンチギハムに入ろうとした。


 正門前に馬車を止めると……。


「ナイジェル様! ご無事でしたか!」


 と門番らしき方が、ナイジェルを見かけるなり駆け寄ってくる。


「ああ。無事に戻れたよ」

「良かった! なんでもこの辺りにベヒモスの目撃情報がありまして……みなさん、ナイジェル様を心配していたんですよ」

「実は途中でそのベヒモスに遭遇したんだけどね」

「え!?」

「なあに、大丈夫。なんとか逃げ通せたから。治癒士の彼女のおかげで、誰一人大きな傷を負ったままの者はいないしね」


 ナイジェルが私に視線をやる。


 あれから私は……道中で自分のことを『治癒士』と名乗っておいた。

 そちらの方が、色々と都合がよさそうだったからね。


「それは良かった……! さあ、みなさんお待ちです。どうか中にお入りください」

「ありがとう」


 ナイジェルが礼を言って、私達はリンチギハムの市内に入る。


 やっぱり……門番の方の反応を見る限り、ナイジェルはかなり高貴なお方らしかった。

 そうでなければ、なんの証明書も見せずに市内に入ることなど不可能だろうから。


「どうしたんだい、エリアーヌ。僕の顔になにかついてる?」

「い、いえ……! なんでもありませんわ!」


 ナイジェルが私の顔をじっと見てきたので、反射的に視線を逸らす。


 本当に私、どうしたんだろう……こんな照れるような感情、クロード王子の時にはなかったのに。


「あの……ナイジェル様のお家はどこにあるのですか?」


 気まずくなって、話題を変えた。


「街の中央にあるよ。そんなに離れていない。疲れていると思うけど、もう少しだけ我慢してくれるかな? 少々騒がしくなるとは思うんだけど」

「……? 分かりました」


 普通街の中央に近付けば近付くほど、地価というものは高くなっていく。


 そこに住んでいるということは……ナイジェルって何者なの?


 私達が馬車に乗って、ナイジェルの屋敷に向かっていると……。



「ナイジェル様が戻ってこられた!」

「ナイジェル様、いつもありがとうございます!」

「相変わらずカッコいいわ……!」



 と市内の人々が、次々に私達を……っていうか、ナイジェルを賞賛している光景が目に入った。


「すごい……!」


 その光景に、思わず私は驚いてしまう。


「はは……いちいち、止めてくれと言ってるんだけどね。騒がしくなって申し訳ない」

「そ、そんなことありませんわ」


 これだけ市民に慕われるナイジェル……。

 よほど市民を大切にしている貴族といったところか。


 重税を敷いて、しかもワガママばかりで市民から嫌われていたクロード王子とは大違いだ。

 もっとも、彼は自分が嫌われていることにすら気が付いていなかったけど……。


「あの高い建物はなんですか?」


 馬車から顔を出すと、ここからでも高い城のような建物がそびえ立っているのが見えた。


「あれはリンチギハム国の王城。国王陛下がお住みになられているところだね」

「へえ~、そうなんですね」


 それにしても……どんどんお城に馬車が近付いていくんだけど?

 ナイジェルのお家は、お城の近くで構えているのだろうか? もしかして……国王からも一目置かれているほどの貴族?

 お城に近付いていくほどに、だんだん私の疑問は強くなっていった。


 ん?


 あれ?


 もしかしてこれ……?


「着いたよ」


 馬車がとある建物の前で止まる。


「ここって……」

「ここが僕の家だ」

「え、えーーーーーー!?」


 驚いて、つい大きな声を出してしまう。


 それもそのはず。


 私達が止まったのは、先ほどナイジェルが説明してくれたお城の前だったのだから。

本日は夜にあと一回更新予定です。


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