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真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです【書籍化】  作者: 鬱沢色素
三章

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295・これからの指針

 ナイジェルとドグラスの二人と合流し、まずは今日やるべきことを話し合うことにしました。



「市街の様子を知るべきだと思うんです」



 昨日の赤影は、市内に出現しました。

 みなさんの活躍もあって、死傷者は出ませんでしたが、放置するわけにはいきません。


「うん、そうだね。現状、赤影について、僕たちはほとんど持っていないんだ。僕たち自身の目でもっと見れば、なにか分かるかもしれないし、街の人々に聞き込みすべきだと思う」


 私の意見に、ナイジェルも賛同してくれます。


「ドグラスはどうですか?」

「おう、もちろん賛成だぞ。無論、赤影が出現したら、我らでやっつけるんだろう? 腕が鳴る」


 ドグラスは早くも気合十分なのか、好戦的な笑みを浮かべて、手首をポキポキと鳴らします。


 決まりです。

 私とドグラス、ナイジェルでまずは街の様子を観察しにいきましょう。


「では、行きますか」

「うむ、そうじゃな」


 城の外に向けて、歩き出します。


 ……ん?


「今、誰か他の声も聞こえたような……」

「ここにいるぞ」


 声のする方に視線を動かすと……。


「ミ、ミツハちゃん?」


 そこには──ミツハちゃんが腰に手を当てて、堂々と立っていました。。


「どうされたのですか? もしかして、伝え忘れていたことが……」

「余もお主らに同行する」


 質問すると、ミツハちゃんからは予想だにしていなかった答えが返ってきました。


 ……はい?


「ミ、ミツハちゃん。赤影の調査は、私たちに任せておけばいいんですよ。それに、姫であるあなたが街中に出たら、騒ぎになるんじゃ……」

「そのために、今は変装をしておるじゃろ?」


 そう言って、ミツハちゃんは両腕を広げます。


 よく見ると、昨日の豪華な衣装ではなく、庶民が着るような服に身を包んでいます。

 ミツハちゃんだと知らなければ、街中の子どもだと聞かされても納得するくらいです。


「昨日も言ったじゃろう? 余もお主らの力になりたいと」


 一転、ミツハちゃんは真剣な顔つきになり、こう続けます。


「エリアーヌたちが頑張っておるのに、余だけが城でお留守番しているのは耐え難い。頼む、余も連れて行ってくれ。街の案内も必要じゃろう?」

「それは……」


 確かに、私たちはアマツの土地勘がありません。

 ミツハちゃんが来てくれると、助かるのは事実。

 それに、こんなに真剣な顔のミツハちゃんを前にしてしまえば、簡単には断れません。


「ナイジェルはどう思いますか?」

「僕は別にいいけど……他の人はどう思っているんだろう? 執政官のサネモリとかは、なんて言ってる?」

「余の好きにしろ、と言っておる。サネモリは母上が亡くなって以来、余に甘いからな。あとで小言も言われんじゃろう」


 それにしても甘すぎる気もしますが……。

 お母さんを亡くしたミツハちゃんに、優しくしてあげたいというサネモリさんなりの親心でしょうか。

 それに意思を固めたミツハちゃんは、頑として動きそうにありません。


「……はあ。分かりました。ですが、私たちから離れないでくださいね。これが譲歩です」

「承知した」


 ニカッと笑って、ミツハちゃんが頷きます。


「ドグラスも──」

「くだらん」


 ドグラスにも意見を聞こうかと思うと、何故だか彼は酷く不機嫌そうな顔をしてから、背を向けます。


「我は子どものおままごとに付き合う気はない。そいつは王としての使命感から言っているかもしれないが、我らにとっては足手纏いだ。我は単独行動をする。そっちはそっちで勝手にしろ」

「ちょ、ちょっと、ドグラス!」


 呼び止めようとしますが、ドグラスは意に介さず、私たちの前から去っていきました。


「気まぐれなドラゴンですね……」


 先ほどまで、あれほど楽しそうだったのに、急にどうして心変わりしたのでしょうか?


「まあ、いいんじゃないかな? ドグラスだったら一人でも大丈夫だろうし、二手に分かれるのは効率もいい。ドグラスの好きにさせてあげよう」

「ですね」


 ナイジェルにそう頷きます。


「す、すまぬ……余のせいで仲違いをしてしまったのか? そんなつもりはなかったのじゃ……」

「いえいえ、謝らなくてもいいですよ。ドグラスがああなのは、今に始まったことではありません。仲良しなままです」


 申し訳なさそうな顔をしているミツハちゃんを、私はそうフォローします。


 なにはともあれ、ミツハちゃんも同行してくれることになりました。

 これで調査も捗るはずです。

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