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真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです【書籍化】  作者: 鬱沢色素
番外編②

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真の聖女である私はトレジャーハンターになりました6

 そして、日数が経過し──。


 とうとう、私たち『真のトレジャーハンター団』は、伝説のお宝がある無人島に足を踏み入れました。


「草木しか生えていないような島だな。本当にこんなところに、お宝があるのか?」


 周りをキョロキョロと見渡しながら、ドグラスが口にします。


「うん。宝の地図によると、この場所で間違いないみたいだ。もっとも、お宝がある島の位置しか書かれてないから、この島のどこにあるのかは分からないけどね」

「手分けをして、探しましょう。そんなに広くない島ですから、さほど時間はかからないはずです」


 ナイジェルと私は、ドグラスにそう言葉を返します。


「じゃあ、わたしはあっちを探してみるわ。見つからなくても、夜になったら船の前に集合ね」

「ま、待ってくれ、レティシア! ボクも行く。ボクを置いてかないでくれ!」


 レティシアはそそくさと草むらの方へと歩き出し、クロードが慌ててその後を追いかけます。


「では、私たちはレティシアたちとは逆の方向を調べてみましょうか。少々、時間がかかりそうですが──」

「なにを悠長なことを言っておる」


 最後まで言い終わるより早く、ドグラスが腕を組んで不遜な態度で、こう告げます。


「我が空から探せば、早いだろう。エリアーヌたちは、そこで休んでいろ」

「……? 空から?」


 首を傾げるバロックさん。


「なにを言ってんだ。どうやって、空を飛ぶつもりで……」

「決まっている」


 ドグラスがそう言うと、体から光が漏れ、徐々にその姿を変貌させていきます。

 そして──あっという間にドラゴンの姿となり、大空に飛び立っていきました。


「ド、ドラゴン!? どういうことだ!? 有り得ないくらい強いとは思っていたが、どうしてドラゴンに……」

「まあまあ、細かいことはいいじゃないか」

「これは細かいことなのか!? こうして付いてこさせてもらっている立場だが、あんたらには謎が多すぎる!」


 朗らかな態度で口を動かすナイジェルに、バロックさんが慌てた声でツッコミを入れます。


「ドグラスが空から探してくれるなら、私たちの出番はないかもしれませんね。ですが──船の中で休んでいるのもドグラスとレティシアたちに悪いですし、私たちは私たちでお宝を探してみましょう」

「賛成なのー!」


 とセシリーちゃんが元気よく右手を挙げました。


 こうして、私とナイジェル。セシリーちゃんとフィリップ。バロックさんの五人で、島の中を探索することになりました。


「バロック……と言ったな。詳しくは聞いてこなかったが、君たちの間では伝説のお宝はどう伝わっている? 俺たちが知らない情報を知っているんじゃないのか」


 歩きながら、フィリップがバロックさんにそう質問します。


「いや……あんたらと、ほとんど同じだと思うぜ。お宝がある島の位置は知ってるが……島のどこにあるかまでは知らない。ほかに、()()()()()()()んだ」


 うーん、残念。

 期待はしていなかったですが、バロックさんが新情報を知っていたなら、すぐに伝説のお宝を見つけることも出来たでしょうに。

 ドグラスも空から探しているとはいえ、簡単には発見出来ないはずですしね。


「確か君たちの島に代々、お宝の伝説が言い伝えられていたんだよね?」


 次に、バロックさんにそう質問するのはナイジェル。


「ああ、そうだ。とはいっても、オレがそのことを知ったのは、つい最近のことだがな。そうじゃなかったら、もっと早くに探しに出かけている」

「不思議な島だね。どうして、君たちの間では言い伝えられていたんだろう? 僕たちは……特殊な立場だから、別だとして」

「さあな。分からねえよ。そんなことより、あんたらの『特殊な立場』って方が気になるけどな。まあ、聞いても教えてくれそうにないから、問い詰めたりはしないけどよ」


 ぶっきらぼうな口調で、バロックさんが答えます。


「そういえば、君の住んでいる島の名前を聞いていなかったね。なんていう島なんだい?」

「オトノネ島だ。海に囲まれた島だが、裏を返せばそれしかねえ。少しでも不漁になったら、食べるもんにも困るような……な」


 声に悲壮感を滲ませて、バロックさんが口にします。


「オトノネ……島……」


 フィリップはなにか引っかかったのか、バロックさんから聞いた島の名前を反芻して、意味深な表情を作ります。


「フィリップ? どうかされましたか?」

「いや……どこかで聞いたことのあるような名だと思っただけだ。とはいえ、エリアーヌたちが来るまで、村の外にはほとんど出なかったしな。きっと聞き違いだろう」


 フィリップは首を横に振って、考えを打ち切りました。


 ……?

 一体なんでしょう。

 特に気にする必要もないかもしれませんが、フィリップの表情を見ていると、妙な引っかかりを覚えました。



 ──私たちは草木をかき分けて、島の奥へ奥へと進んでいきます。



 どこまで行っても自然しかなくて、お宝らしきものの気配すら感じません。


 このまま、見つからないでは?

 そもそも、やはり別の誰かがすでにお宝を取ってしまったんじゃ?


 じわじわと不安が湧いてきていると──。


「……っ!」


 異変に気付き、咄嗟に身構えるナイジェル。


「地震だ! みんな、伏せて!」


 ゴゴゴ……!


 地鳴りを立てて、大地が震えます。

 突然の出来事に戸惑います。


 そして、それは私だけではなく──。


「きゃっ! なの!」

「セシリーちゃん!」


 セシリーちゃんがバランスを崩し、転倒してしまいそうになります。

 私とナイジェル、フィリップはすぐに彼女の元に駆け寄ろうとしますが、ここからでは間に合わないくらいの距離感。

 そのまま、セシリーちゃんが地面に倒れていく様が、やけにゆっくりと見え──。


「おっと」


 ──ですが、その瞬間。セシリーちゃんの近くにいたバロックさんが、彼女の体を咄嗟に支えてくれました。


「あ、ありがとうなの」

「別に礼なんて必要ない。お前は子どもなんだ。子どもを守るのは、オレたち大人の役割だしな」


 そう言って、バロックさんはセシリーちゃんの頭を撫でます。

 無造作な手つきでしたが、心地いい感触なのでしょうか、セシリーちゃんは気持ちよさそうに目を細めます。


 いつの間にか地震も収まっていました。


「バロックさん、私からもお礼を言わせてください。ありがとうございました」

「いいってことよ」

「それにしても……子どもの扱いに手慣れているんですね。もしかして、お子さんがいたり?」

「ん……ああ。娘が一人……な。まあ、それはいいじゃねえか。お宝探しを再開しようぜ」


 これ以上問い詰められるのも嫌なのか、バロックさんは強引に話を打ち切り、島の奥へと歩き出します。


 子どもを置いて、お宝探しに来ているというのでしょうか?

 だったら、バロックさんのお子さんは今頃、お父さんがいなくなって寂しがっているのでは?


 ……いえ、詮索はいけませんね。

 人には人の都合があります。

 バロックさんが喋りたくないなら、私がそれを探るのは行儀がよろしくないでしょうから。



 ──そして、日も暮れ始めた頃。



 その一報は念話によって、ドグラスからもたされました。



『宝を見つけたぞ』

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