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2・プロローグ(下)

 レティシア。


 なんでも伯爵家の一人娘らしく、とあるダンスパーティーでクロード王子と知り合ったらしい。


 確かに外見はとても可愛らしい容姿をしている。

 道を歩けば、十人中十人の男が振り向くだろう。

 クロードもその頭空っぽの男どもの一人だ。


 そもそもこいつ、私と婚約してからでも何度も他の女に色目を使っていたみたいだしね。

 最初から気付いていたけど、クロードに愛情の欠片もなかったので見逃してあげていただけだ。


「レティシア。君を悲しませたのは申し訳ないことだと思う。優しい君には少々辛い場面だよね」


「うっ、うっ……」


 レティシアは涙を流し、クロードの胸に顔を埋めた。


 しかしそこで見てしまった。


 ニヤリ。


 そうレティシアが意地悪そうな笑みを浮かべていたことを。


「エリアーヌ。君がレティシアにどのような仕打ちをしたのかも、彼女から聞いている」


「仕打ち?」


「なんでも事故を装って彼女を池に落としたり、私物を使いものにならなくしたそうではないか」


 なーにを言ってんだ、この人。


 そもそも私がこんな小娘に構うわけがない。


 だが、私がレティシアの隣を通り過ぎようとした時、彼女はわざとらしい声を上げて自分から近くの池に落ちた。

 私物だって、自分で壊しているのを見かけたこともある。


 全てこいつの自作自演なのだ。

 私の評価を下げ、クロード王子を振り向かせるための。


 そんなことも見抜けないなんて……クロードのバカさ加減に、今度は頭まで痛くなってきた。


「それに偽の聖女であるエリアーヌがいなくとも、真の聖女であるレティシアがいる。彼女がいれば、この国は安泰だよ」


 そうだった。


 レティシアは「自分こそが真の聖女である」とクロードにうそぶいたのだ。

 正直、ちょっと治癒魔法が使えるくらいのレティシアが『真の聖女』だなんて……とんだ笑い話なんだけど、周りの男達はそれを信じた。


 彼女、嘘を吐くのはとてもお上手なんですよね。


「本当はお前など即刻処刑にしてやりたいところだ。しかし優しいレティシアがそれじゃあ可哀想だと言うから、国外追放で許してやる。早くこの王国から出て行け!」


 あちゃー、国外追放か。


 まあここまで話を聞いていれば、予想はついていたけど。


 レティシアが私のことを「可哀想」と思っている件だが、嘘に決まっている。

 現に今でもレティシアはクロードの視界に入らないところで、ニヤニヤと楽しそうに笑っているのだから。


「殿下。念のために最後にお聞きします。聖女である私がいなくなれば、この国は終わりです。それでも……本当に私を追放してしまっていいのですか?」


「ええい! 往生際が悪い! これは決定事項だ! 今更なにを言おうが、覆ることはない!!」


 はいはい、そうですか。


 まあ聖女という役割にも疲れ果てていたことだ。

 それでも、代々受け継いできたことだから……と我慢して王子のおままごとに付き合っていたが、そっちから言うんだからもう良いですわよね?


「分かりました。今すぐにでもこの国を出て行きましょう」


 と私はクロード達に背を向ける。


 後ろから彼等のせせら笑う声が聞こえた。


 まあいいや。

 せっかく追放されたんだから、これからは自由気ままに生きさせてもらおう。


 それにこの国はもう終わりだ。

 明日にでも大騒動が起こるんだろうし、それに巻き込まれたくないからね。

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