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真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです【書籍化】  作者: 鬱沢色素
二章

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176・王子は彼女の笑顔に気付く

「レティシア、さっきからずっと笑っているな」

「はあ?」


 エリアーヌたちが去った後。

 クロードにそんなことを言われて、わたしは思わずそう聞き返してしまった。


「なに言ってんのよ。笑ってるつもりなんてなかったけど?」

「……ん、そうか? ボクには君が笑っているように見えたが……」


 不可解そうにクロードが首をかしげる。

 慌てて自分の頬に手を当ててみるが……やっぱり笑っていない。それはエリアーヌたちがいる時も変わらなかったはずだ。


(笑ったりしたら、浮かれているように思われそうで恥ずかしいからね。気を付けていたはずだけど……)


 とレティシアは内心、不思議に思った。


「ここ最近のレティシアは笑顔も多くなって、ボクも嬉しいよ。昔の君はそうでもなかったから……」

「──っ」


 それを聞いて、言葉を失う。


 エリアーヌがまだいる頃、レティシアは偽りの仮面を被っていた。いつも笑顔でいることを心がけていた。そうすれば、バカな男どもが寄ってくるからだ。

 しかし仮面を脱ぎ捨て、楽な表情のままでいよう──そう決めてからは、本当に楽しい時にしか笑った記憶がない。

 レティシアのことをよく知らない大人たちは「いつも不機嫌な顔をしている」と陰口を叩いていることも、彼女は知っている。


(それなのに……こいつだけは『昔に比べて、笑顔が多くなった』と言ってくれている)


 しかも自分のそんな感想を、全く疑っていなさそうで──。


 レティシアはクロードに、なんと言葉を返していいか分からなくなってしまった。


「レティシア。ボクは君を幸せにする」


 そう言ってクロードは歩を進め、レティシアの両手を握る。


「結婚しなくても、君への愛は変わらない。しかし結婚式という一大行事は、一つの節目になるだろう。だからレティシア──これからも君には笑顔でいて欲しい」


 クロードの顔が、ゆっくりとレティシアに迫っていく。


 思えば──レティシアのことを真に理解してくれるのは、クロードだけだった。

 彼はレティシアの顔が酷い有り様になっても、正体が呪術師だということが分かっても、変わらず自分に愛を囁いてくれた。

 直接言葉に出すことは少ないが、そんなクロードに──レティシアは救われたのだ。


(わたし、この人と一緒になれて──)


 クロードの唇がレティシアの唇に触れようかとする瞬間。


「な、なーにやってんのよ。こういうのは、結婚式当日まで置いておきなさい!」


 むぎゅっとクロードの顔を手で押した。


「な、なに言ってるんだ! 結婚式当日までなんて我慢出来ない! 君への好きという気持ちが、このままでは爆発してしまう!」

「もーう! 結婚式当日ってもう少しじゃない! そういうとこは、ナイジェルと一緒なんだから!」

「ボクがナイジェルと一緒……? ま、まさか! ナイジェルも君のことを好──」

「そうじゃないわよ!」


 無論、ナイジェルもクロードも、パートナーへの愛情を恥ずかしがらずに表に出す部分──だ。


 レティシアは顔を真っ赤にして、クロードを叱る。

 しかしすぐに表情を元に戻して。


「……いつもありがとね」

「ん? レティシア、なにを言った……」

「なんでもないわよ!」


 近くの枕を持って、クロードに投げつける。枕はクロードの顔に直撃。しかし彼は怯まず、レティシアに先ほどの言葉を問い質すのであった。

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