表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/306

14・病気の原因

 その後。

 思う存分ラルフちゃんの毛並みを堪能した私達は、一旦ナイジェル達と謁見した場所まで戻ることになった。


「国王陛下。ラルフちゃんのかかっていた病、なにか心当たりはないのですか?」


 私は国王に質問する。


 すると国王は「むう……」と渋い顔をして、


「分からぬ。初めは軽い風邪だと思っていた。しかし徐々に衰弱していき、それを癒す薬も魔法もなくてお手上げ状態だった。一体なにが起こっているやら……」


 と戸惑いを隠せないようであった。


 私も聖女として、今まで何人もの人や動物を癒してきた。

 その中でも今日ラルフちゃんに見えたオーラは、今までに見たことのないものであった。


 でもあの濁った色をしたオーラ、一つだけ心当たりがある。


 呪いだ。


 ——呪い。

 他者への強い怨念が、それを可能とする。

 

 それをかけられた者は呪いの内容によって様々な症状が現れ、今回ラルフちゃんに出たものもその一つだ。


 この病気が呪いに関わっているものとするなら、困ったことになる。

 なんせ呪いはただの治癒魔法では治らないからだ。


 呪いを解くためには二つの方法があると言われる。


 まず一つ、解呪師かいじゅしという珍しい専門職の方。

 そしてもう一つは、女神からの加護を受けた聖女……つまり私だ。


 解く方法はあるのだけれど、どちらも数は少ないことから一度呪いにかかってしまえば、なかなか厄介なことになる。 


「陛下」

「なんだ?」

「これはまだ私の推測でしかないのですが……」



 私は国王にラルフちゃんを癒した時に、感じたことを全て伝えた。



「むぅ……呪いか」


 当然国王も呪いの厄介さを知っているようで、顔を歪ませる。


 呪いは出る症状が多岐にわたるため、そもそも判別することが難しい。

 私だって、まだ推測でしかものを言えないわけですし。


「もちろんまだ確定ではありませんが。一つの可能性として考えておく方が良いかと思われます」

「分かった、ありがとう。それにしても呪いか……早急に捜査しなければならないな」


 国王が渋い顔をする。


 いくらペットとはいえ、国王のペットに呪いがかけられたのだ。

 国王に敵意を抱く者の仕業……でないとも限らない。


 しかしそうだとしても、どうしてそれなら国王に直接呪いをかけず、ラルフちゃんを狙ったのだろう?

 人にかけるには、まだ未完成の呪いだった?


 ……いやこれ以上は憶測になる。

 あとは国王に任せておくのが無難ではないだろうか。


「さあて、暗い話はこのあたりで終わりにしようではないか」


 国王は手を何回か叩いて、話を変える。


「エリアーヌ、今日はここに泊まっていくといい。市内に住むところを準備するのも、少し時間がかかるものでな」

「良いのですか?」

「もちろんだ。もっともあまり広い部屋は用意してやれんかもしれないが……出来る限りもてなそう」


 市内の適当な宿屋に泊まろうと思っていたけど、正直これは助かる。

 王国から持ってきたお小遣いは、ごくごく僅かなものだ。計画的に使わないといけませんからね。


「ナイジェル様もよろしいんですか?」

「僕もエリアーヌなら大歓迎だ。是非泊まっていくといい」


 ナイジェルも国王の提案に賛成のようだった。


「でしたらお言葉に甘えさせてもらいます」


 私は深く頭を下げるのであった。

【作者からのお願い】

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

シリーズ累計145万部御礼
Palcy(web連載)→https://palcy.jp/comics/1103
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000355043

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新7巻が発売中!
hev6jo2ce3m4aq8zfepv45hzc22d_b10_1d1_200_pfej.jpg

☆新作はじめました☆
「第二の聖女になってくれ」と言われましたが、お断りです
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ