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陰キャラと淫キャラ

「一人くん?」


 なぜだ?なぜうちに……「赤城瑠璃」がいるんだ。

 クラスの名前を覚えていない俺でも知っている。クラス1の美少女。


  「おーい、一人くん?」


 俺は受話器越しに戦慄しながら、何とか悟られないように平然を装う。  


 「な、なんですか?」


 「ちょっと相談があるんだけど……」


 お、俺に?!無理無理無理無理、絶対に嫌だ。…でも、このチャンスを逃せば一生……

ああ、どうすればいいんだ!

 俺は受話器を手に必死に頭を抱えた。そんな優柔不断な俺を見兼ねてか、陽子が俺の受話器を奪い取る。


 「家に入っていいですよ」


 「ばっか!お前何言って…」


 「は〜い!」


 元気な声が受話器から聞こえて来る。……終わった…


 「おい〜!何してんだ?!」


 「彼女作るチャンス!ガンバ!」


 その言葉だけ言い残し「じゃあ私部屋いるから」と俺に丸投げして去っていく陽子。

 考える暇はなく玄関の扉が開き、赤城瑠璃が入ってくる。俺は息を呑み覚悟を決める。

 よし!不本意とはいえ陽子がせっかく作ってくれたチャンスだ。絶対ものにしてやる。


 「お邪魔します!」


 き、きた。俺は玄関へ行き「どうぞ」とリビングに案内する。

てか、間近で初めて見るがさすが美少女だ。女子に疎い俺でもわかる。

 黒色に澄み切った綺麗なロングヘア、真っ白でキメの細かい肌。出ているところは出て引っ込んでるところは引っ込んでる。こんな美少女が俺と同じ学校に通っているなんて想像もできない。 


 「ど、どうしたの?何か付いてる?」


 「いや、何も…」


 つい見惚れてしまった。やばい。目が合う度、脳が震える〜〜!じゃない、脳が停止する。

 

 「部屋綺麗だね」


 「そ、そうか?初めて言われた…」


 ついでに、家に人がくるのも初めてだ。

 赤城を椅子に座らせ俺はコーヒーを入れる。緊張か動揺か手がかくついてコーヒーを入れるのにも一苦労する。


 「それで話って?」


 コーヒーを置き赤城と対面に座る。


 「ありがとう。その、話なんだけど…」


 「……ゴクリ」


 「その…私と付き合って!」


 「え?」


 えええええええええええええええええ!!!


 相談ちゃうやん!思わず関西弁がでた。東京出身なのに。


 「あ、間違った」


 「だ、だよな…びっくりした……」


 いきなり告白はさすがの俺も引く。


 「実は、川又くんに告白されて…」


 「川又和也」噂だけは聞いたことがある。サッカー部のエースでスクールカースト最上位者の超陽キャ。短期で乱暴だが端正な顔立ちに身体能力が高く、よく女子が集まる。そのせいか、 学校の美少女たちを取っ替え引っ換えで付き合ってるとか、他校の生徒と4又してるとかとにかく悪い噂が立たない。


 「私振りたいけど傷つけるのは嫌なの」


 「だから付き合った振りをして、か」


 「え?!」


 言葉を当てられ赤城は驚いた顔をしている。はあ。やっぱりか……

 川又の名前がでた時点で大体わかったよ。


 「まあ。俺だったら目立たないし扱いやすいもんな…」


 「お願い!」


 「俺みたいなやつが嘘とはいえ、美少女と付き合えるのか…いいかもな」


 今まで人の迷惑にしかならなかった俺がこんな美少女にお願い事をされるとは…利用されるだけだが人の為なら本望だ。


 「ほんと!なら」


 「だが断る!」


 「え?」


 赤城は断られると思っていなかったのか、ええええ〜〜!と大きく口を開ける。


 「この影山一人が最も好きなことの一つは、自分の方が立場が上だと思っているやつに、おもいきりNOと断ってやることだ!」


 赤城は口をポカンと開けている。ふん。所詮お前のようなやつの考えなど俺にはバレバレだ。


 「川又を振り終わった後は俺のことなどぽいっだろ?そうなれば俺はクラスの連中から変な目で見られ、川又とかいうやつからは逆恨みを食らう」


 赤城は口を噤んでいる。


 「俺は目立つことを嫌い、人を嫌う。俺は自分さえよければそれでいいエゴイスト。そんな俺が自ら目立つ行為をなぜしなきゃいけない?諦めて他に頼め」


 いい終わり少し恥ずかしくなる。過去を思い出して関係のない赤城に対して頭に血が上ってしまった。しかも厨二病も全面に出てしまった……はあ。

 だが仕方ない。俺を利用したことには間違いないし、何より人のために自分を犠牲にするのは嫌いだ。


 赤城は何も喋らない。さすがに言いすぎたか、もっと優しい断り方があったはず…少し反省するが、間違いではなかった。


 「な、なんでよ〜〜〜〜〜!!!!」


 突然口を開き、その声に驚いてしまう。


 「なんで私みたいな美少女があんたみたいな陰キャラに下手に出て頼んでやってるのに、そんなに言われなきゃいけないのよ〜〜!」


 キャ、キャラ崩壊……。こんなに早くキャラ崩壊するヒロインなんてめずらしいぞ。

しかも、赤城ってもっと清楚な感じじゃなかったか?今俺の目の前にいるのは…


 「あんたは黙って私に従ってればいいの!どうせあんたなんか3年間無駄にして後々後悔する残念な陰キャラなんだから!」


 目の前にいるのは、清楚なんて言葉は似合わず俺に向け必死に罵倒を並べる性悪で哀れな女だ。

 てかいちいち陰キャラ、陰キャラって……


 「確かに俺は陰キャラだ。でもそれはお前えらが勝手な価値観できめたにすぎない!俺のことを知らないお前がどうやって陰キャラって判断した?」


 「そ、そそそそんなの見た目に決まってるじゃない!」


 「見た目で判断?じゃあお前も淫キャラじゃねーか!」


 「どこがよ!」


 「淫乱キャラ、すなわちビッチ!略して淫キャラだ!」


 「な、なんですって?!」


 俺たちはそのまま罵倒し合いながら互いを睨み合う!


 「おいおい。二人とも落ち着いて…」


 騒ぎを聞かれてか陽子がリビングに入ってくる。陽子は両手で俺たちを制止させると俺を一瞥してウインクしてくる。……任せろ、か。


 「えっと…赤城さんだっけ?その提案のった!」


 「「はあああああああああ〜〜〜!!」」


 いや驚きたいのは俺だ!


 「おい陽子いったい…」


 陽子は俺に近づき赤城に聞こえないよう耳打ちしてくる。


 「これはチャンスだよボッチ兄。フリなんて言ってるけど絶対に脈ありだと思う」


 「いやそんなこと言ったってな……てか聞いてたのかよ」


 「ま、まぁね」


 全く悪い妹だ。


 「でもボッチ兄は私だけは信じてくれるんでしょ?」


 全く憎い妹だ。こういう時だけ妹アピールしてくるなんて…兄の顔が見て見たい。

 だが妹だけは絶対に裏切らない。影山家ルール第1条「兄妹は裏切らず必ず信用すること」それは絶対に破るワケにはいかない。はあ。仕方ない。


 「わかったよ……」


 陽子から顔を離し、赤城に目を合わせる。


 「赤城。仕方ないから付き合ってやるよ」


 「付き合ってくださいでしょ!」


 思わず陽子に目を向ける。陽子は全力の笑顔を俺に向けている。

 (がんばれ)って顔で訴えてくるな。任せろお兄ちゃんに…


 「付き合ってください。これで満足か?」


 「えぇ。よろしくね影山くん!」


 アカデミー賞受賞できるレベルのキャラチェンジだぞ!もしかすると俺は校内1めんどくさいやつに絡まれてしまったのかもしれない。考えるのがめんどくさくなり、杞憂だと自分を諭すが、俺の予感が間違いでないことを後々知ることになる。


 

 


 


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