第1話 青年の目覚め
みなさん、初めまして♪
これからの挨拶は、やっハロー♪で定着させていこうと思っています。
もし、皆さんからこんな挨拶にしたら?とか、こういう挨拶も面白いんじゃないか?って案を頂ければ、取り入れてみようと思います(笑)
では、これからもどうかよろしくお願い致しますにゃん♪ ฅ^•ω•^ฅ←蘭丸です笑
第一話 目覚めた世界
「はぁ…はぁ…。なんなんだよアレ!」
まだ夜更けだというのに、夜明けだと勘違いしそうな程、淡く青白い光が針葉樹林一帯を優しく包み込んでいる。
『って、俺が今居る場所の説明なんかしてる場合じゃないだろ。』
この時点で、大抵の人は何故だと疑問に思われるかもしれないーー。
だが、今はそんな悠長な事を話している場合ではない程、青年は生死をかけた危険な状態にあるのだ。
なぜならーー。
背後から襲い来る死の恐怖から、かれこれもう1時間近くも逃げ惑い続け、目がかすみ、息もきれぎれで、呼吸もままならない状態にあるのだ。
悪く言えば、全身が疲労困憊で悲鳴をあげ、気絶寸前のところまできている。
それでも尚、決して立ち止まることなく、持てる限りの全力で走り続けているのだからーー。
なぜこの青年は死の恐怖に襲われているのか。
それを説明するには、およそ1時間前へと遡る事になるのだが、この青年は一体どこから来たのかも、なんのためにこの。
「そんな事はいいから、早く時を戻してくれー! ほんっとに殺されるー!」
おっとそうだった!
では、早速時を戻して青年の話を楽しんでもらいましょうーー。
この日はいつにも増して、風流のある綺麗な満月が、まるで闇を払う光の様に眩しい夜の事だった。
「はっ!」
1人の艶のある黒髪と滑らかな白肌の青年が、仰向けの状態で、突然、目を見開き息を吹き返す様に目覚めた。
まるで死者の蘇生術でも施されたかの様だったーー。
青年は、夜空に浮かぶ大きな光の一点を見つめた際に、周囲に生えているいくつもの先端の尖った杉の木々が生い茂っているのが見え、針葉樹林の中だと断定出来た。
だがーー
「ここは……どこだ? 俺はどうしてこんなところに。つッ、なんだ? 身体も動かない!」
青年は、どうしてこんな場所で眠っていたのか、一体ここがどこなのかさえ見当もつかずに動揺していた。
それもそのはずーー。
この青年は、いつも通りの自室のベッドで欠伸をしながら起きるというありきたりな情景ではなく、全く見知らぬ光景が目の奥に飛び込んできたのだからーー。
おまけに身体の自由も、なにか甚大な被害を受けた後の様に、思い通りに動けないうえに、身体中が軋んで痛みが走る。
まったく、出来ることなら目覚めたついでに、身体中も治癒されていて欲しかったと切に思っただろうーー。
それでも、どうしてこんな森で眠っていたのかを思い出そうとしたその瞬間、思いもよらない事が起きたのだ。
「つっ!」
「なんだ……今の。」
いきなり頭の中に、いくつかの見覚えのない海に浮かぶ島国の光景が急速に流れ込んできたのだ。
その後、側頭部を雷の矢で、貫通された様な衝撃が走り、一瞬酷い頭痛で表情がひきつり、無意識に激痛のする頭を素手で押さえていた。
「とにかく、さっさとこの森の出口探して、どこか人の住んでいる所に行かないとな。」
いつまでも、こんな訳も分からない場所に、仰向けで倒れているより、歩き回って少しでも場所や状況の把握に、徹した方が得策だろうと思った青年は、いうことのきかない身体をズルズルと起き上がらせた。
「はぁ……。」
『さっさと身動き取れる自由な体になりたいぜ』
青年がそう思った矢先、今まで感じていた身体の痛みも、瞬間的に全く気にならない程の景色が、目の前に広がっていた。
「なんだよコレ……。 なんて綺麗な森なんだ!」
青年が目覚めた時は、星屑の広がる夜空に、大きな満月が見えた筈なのだ。
だが、明け方だと見間違える程に、木々の幹や切り株に、ダイヤやサファイアが埋め込まれて光輝していた。
さらに、青白く光るテントウムシや金色のカブトムシ達などの発光虫達まで、優雅に飛び交う神秘的な森が、広々と横たわっていたのだーー。
「キミの身体を癒してあげる……。ネェ……こっちだよ……。」
「俺の……身体を……癒してくれるのか?」
涼しげな心地のいい風が、彼の身体を優しく撫でるかの様に吹いた直後、耳の中に小さな囁きが聞こえてきた。
その瞬間、淡く青白い光に包まれている深い森の奥へとなにかの催眠にかかった様に誘われて行った。
現実とは似ても似つかぬまるで別の世界に飛ばされた様なこの森でーー。
暫く放浪していると、静かな流水音が耳の中で優しく奏でられた時、青年は寝ぼけまなこで呟いた。
「天の川だ……。」
小さな白く放電する雷光虫がいくつか飛び交い、綺麗に透き通った川面は、鮮明に水底まで一切の濁りなく移す。
たまらず、青年も薄ら笑いを浮かべて覗き込むと、見知らぬ顔した艶のある黒髪に滑らかな白肌の顔の雰囲気は"爽やかイケメン”と"虚ろな放浪者”の二人の目が合わさった。
すると、顔をゆっくりと撫で回した虚ろな顔した青年がこう呟く。
「君の顔……なかなかハンサムだね」
「何を言っているんだ? お前の顔だぞ!」
その幻聴を聞いた青年が、口元だけ緩ませた瞬間、彼の身体に不思議な反応が現れたのだ。
なんと、青年の身体のちょうど心の臓に当たる箇所だけが僅かに、だが、洸希なる黄金の暖光が一瞬だけ煌めくと、その後は何の変化も見せず、深い眠りに着いた様だったーー。
「なんだろ……すごく……暖かい!」
今までの呪縛の様な苦痛とは一変して、身体中が裸の女神に抱身されている様な温もりが、細胞全てに伝わってきた。
そうーー。
ここまでは途中で意識が虚ろぐ以外
は、順調に進んでいたのだ。
問題は、再び彼が意識を覚ました、ここからが一番肝心なのですーー。
「あれ? 俺はいったい何してたんだ?」
青年は、森の中で出口を探していた筈が、いつの間にか見知らぬ川の前に立っていたのだ。
さらにーー
「今まで軋んで思う様に動かせなかった俺の身体が凄く軽い。よーし! これで自由だ!!」
そうーー。
俺の身体は、キレのないまるでブリキの様な動きから、天を舞う天使の羽根の様に身軽で素早い身のこなしになっていた。
「でも、なにがあったんだ? んー……まっ、いっか! さっさと出口探して、この森ともお別れしよう」
しかし、思い出そうとしてもまたしても何をしていたのか覚えていなかったーー。
それでも、この森から立ち去る前に、青年が歩いてきた道を振り返ると、大地が微かに揺れ、鳥や発光虫達がざわめき、生ぬるい風まで吹いてきた。
彼は、これが森のお別れの合図なら、もう少し楽しいものでもいいのにと思い込んでいた矢先ーー。
「なんなんだよ……これ……」
およそ半径10メートル範囲の木々や切り株などが全て押し潰され、大地が揺れるように地響きが起こり、煙幕の様に土煙が立ちこめ状況は最悪化した。
その出来事は一瞬の内に起こったのだった。
「まさか、別れの前にこんなに盛大な破壊的伐採を見せるなんてな。まったく何やってんだか」
青年は、あっという間に、壊滅的になってしまった更地を見つめて、呆れ返ってしまったのだ。
突如、目の前を塞ぐ様に現れた、オレンジと真っ黒のぶ厚い巨大な壁に、呆れていると、真上から生臭い水たまりが降ってきた。
「おぅっ……! なんなんだこの臭い……くっせ!」
「危なイ……ヨ、逃げテ……!」
「ん?」
青年は、ふと頭の中に流れ込んできた、テレパシーの言葉を疑問に感じ、顔を見上げたその瞬間、反旗を翻す様に一目散に逃げ出したのだ。
それもそのはずーー。
青年は真上にあるモノを見た途端、この世の終わりや、はたまた世界の滅亡、どちらにせよ世界の終焉が訪れたのだと身震いが止まらず足がすくんだ。
なぜならーー
そこには、誰もが身も凍りつくほどの体長3メートルはある、ふさふさとしたオレンジと漆黒が混ざり合った毛並みに、足が4本生えていて、尾ではなく尖った銀の角が生えており、白い雷光虫達が集まると激しい電撃をも纏うのだ。
さらに、顔は4つに分かれていて、数多の数を死に追い込んできた様な冷徹な目付きをした獅子と狼の交互に巨大な顔を持つ、神獣ケルベロスがこちらを睨みつけ喉を鳴らして威嚇していたのだからーー。
そして時は現在に至るーー。
「やっばいやばい! マジで殺される! なんであんなもんが、この森に居るんだよ!」
青年は、身体中に汗や冷や汗などの大量の水分を流して、背後から迫り来る謎の巨大生物から、必死に生き延びる事だけを頭で理解し走り続けている。
「ハァ……ハァ……。チクショォ! どう考えたっておかしいだろ! いや、確かにありえない事ならいくつも起きてる。でも、こんなのいくらなんでも幻想ってもんの範囲外だろーーーー!!」
こうして、青年は底知れぬ恐怖で顔が涙目と真っ青になり、全速力で迫り来る死の恐怖から、逃げ惑う事になったのだーー。
さて、今回はですね!
第1話という事で、この世に存在しないと思われるものを沢山練り込んでみました(笑)
なので、読んでくださる皆さんも楽しめて、書いていく私も楽しめる!そんなモットーで頑張っていこうと思いますので、応援のほどよろしくお願い致しますにゃん♪
ฅ^•ω•^ฅ←蘭丸です笑