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四十八話


「ふう……潜伏生活になるはずがとんでもない事になったなぁ」


 やっと下水道内の死体掃除を終える事が出来た。

 今、俺はウェインさんの家の広間で休んでいる。


「……お疲れ様です。色々とありがとうございます」

「町の職員達も目に見えて変化を実感して来ているらしいわよ。ラットを全然見なくなったって」


 ルリカさんが経過を聞いてくれたらしい。

 それは何より。


『あのネズミ共が病の媒体になって居たのも事実。この町もある程度清潔になったと我は思うぞ』


 そうだと良いな。


「ムー!」


 ムウが俺にマッサージとばかりに椅子に乗って肩揉みをしてくれる。

 ああ、ありがとうな。


「後はギルドに報告に行けば良いだけよ。あとは事前に聞いて欲しいって言われたんだけと、進入禁止はいつまでやっておけば良いか? だそうね」

『まだ小娘の料理が動きまわっている所を見るのでな……二週間位は様子を見るべきだろう』


 ちなみにアルリーフさんの料理は傷む……と言うか自然劣化と言うのかな?

 石が長年の雨風で削れたり粉々になったりするのに近い感じで動かなくなっても形状が維持される。

 料理故に柔らかいから、あくまで魔力的な何かで動くらしく、寿命と言った方が正しいかな?


「二週間くらいは注意しないと死者が出るかもしれないかな」

「わかったわ」

「それでアルリーフさん。かなりLvが上がったみたいだけど上位職になるの?」


 確か俺が出かけている間にどんな職業になれるか確認してくると言って教会へ出かけていたはずだ。


「そうしたいのは山々だったのですが……教会で確認したら上位転職可能職業がどれも転職禁止職業でして」

「へー……どんな職業が出てたの?」

「暗黒錬金術師、ダークウィッチ、イビルシャーマン、ジェノサイダー、イビルドルイド、ダークマリオネッターです。転職を選ぶと警報が鳴り響くので有名な職業ばかりです」


 なんかどれも邪悪そうな職業名ばっかりだ。

 これだけ酷い物だと迫害されそう。


「これも全部ヴェノの所為だな」

『効率的な依頼達成を提案しただけではないか!』

「まあ……そこの生態系を根こそぎ皆殺しにした様な物だからじゃない?」


 ルリカさんが出てきた職業がどうして邪悪系なのかの理由を説明する。


『身の丈に合わない力を得ているとも言えるからかも知れんな。しっかりと実績や力を身につければ良い職業にも至れるだろう』

「そうだと良いのですけど」

「とりあえず上位職になるのは保留して別の基本職に転職して実績を積む?」

「それが良いと思います……けど呪術医でほとんど学ぶ事無く転職する事になっちゃいますけど」

『待て。それは勿体無いと我は思うぞ。汝の倍近くのLvが上がった小娘が居るなら利用しない手は無い。どこかで底上げを施してから小娘の転職をした方が良いと我は推奨する』

「別に転職したら目に見えて能力が下がる訳じゃないんじゃなかった?」


 転職しても能力はある程度、蓄積するのでLv1の職業に転職しても半分……Lv30相当の能力値で落ち着くって話をヴェノやアルリーフさん達から聞いた覚えがある。


『だが、今はLv60相当の仲間がいるのも同然。汝が小娘の料理で幾ら能力値が上がっているとしても、その領域にまではさすがに来ておらんだろ? 少しは利用するのが手ではないか』

「えーっと……ユキヒサさんが強くなるお手伝いが出来るのでしたら私は喜んでやりますよ。もうLvが上がらない訳では無いのですから」


 それなら良いのか?

 今回みたいな例外で無ければパーティーを組んで居れば経験値と呼ばれる魔素は俺にも流入する訳だし。


「Lvが上昇したお陰で色々とセンスも開花しましたし、難しい魔法も使用出来る位に魔力も上がっています」

『何か知りたい技能なんかも発現しているのではないか?』

「そうですね……ナイフセンス、スタッフセンス、ダートセンス、薬の加護、魔法操作アシスト等の技能が出てます。他にアンデッドサモナーセンス……儀式魔法センスとか怪しげな物も出てますけど」


 呪術医って確かシャーマン的な側面があるから邪悪っぽい技能や才能が出るのも当然か。

 でも呪いを司る魔法は使えないんじゃなかったっけ?


「マスクマスタリーって技能も出てますが……仮面で何か上がるのでしょうか?」


 瘴気の濃い所だとアルリーフさんはガスマスクを着用するよね。

 そう言った意味では良いのかもしれない。

 だけどなんだろう……どんどん技能的に見て、どこかの原住民っぽい人が思い浮かんでくる。


『おそらくアーマーマスタリーと同じく、その装備を着用する事で他の者よりも性能が上がる物だろう。ガスマスクを付ければ瘴気の耐性を引き上げられるだろうな』


 呪術医……確かにそんな職業なのは間違いなかった。


「それは便利ですね」

『まじないに使われる仮面を我は見た事がある。アレを使えばもしかしたら何か職業固定の魔法が使えるようになるかもしれん。我の知る魔法に該当するものもある……邪悪に属しかねんが覚えるか?』

「どんな魔法なんですか?」

『人形に命を吹き込み襲わせるフィティッシュエンチャント、死者に仮初めの魂を与えるクリエイトアンデッド――』

「あ、もう良いです……」


 どう見ても邪悪な魔法なのは一目でわかる。

 そんな魔法を覚えて使っていたらあんまり良い印象は覚えないよなぁ。


『世間の目を気にせねばならないのは困りものであるな。潜伏が難しい』

「選定センスが壊滅的なのがわかってるのか?」

『他だと魔法操作アシストから連想して、魔法で形作られた生物を使役して敵に襲いかからせる魔法だ。燃える蝙蝠、水で形作られた肉食魚、風で形作られた蜘蛛の群れ等が使えそうか』


 それならパッと見は悪くなさそうだ。


「まだそっちが良いかもな?」

『ふむ……少し難しい魔法式を授けて見るか……無論、基礎魔力が上がっておるからファイアブリットでも良い攻撃になると思うがな』


 アルリーフさんを魔法援護専門にするなら良いかもしれない。


『ダートセンスと言う事はダーツや吹き矢辺りを上手く使いこなせるようになると言う事だ。そこまで難しい武器では無い。ついでに覚えるのも良いだろう』


 やる事が多いな。


『なに……すぐに覚える必要は無い。覚えやすい物から習得して行けば良いのだ。それに吹き矢などは汝が毒を染み込ませておけばいざという時に役立つ』


 まあ、そう言った運用方法が無難だよな。


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