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四十五話


 これ……エルバトキシン相手にも使ったら簡単に仕留められたんじゃないか?


『元も子もない事を言うでない。ただ、奴にこの手が効く保証は無い。所詮は食料、食う前に殲滅出来ればどうにかなってしまうのもまた然りなのだ』


 そんな訳でギルドの許可が得られるまでの間に俺達はアルリーフさんの料理補佐をする事になった。

 話によるとアルリーフさんの料理と言うのは毒物として作ろうとすると調合に該当して普通の品が出来てしまう。

 その微調整が難しいとの話だった。


 なのでしばらくの間、アルリーフさんは料理でありながら相手を死に至らしめる猛毒の作成に集中する事になった。

 俺も多少は料理が出来るので色々と実験に協力した。

 その甲斐もあって、今回の切り札であるアルリーフさんの毒料理は完成に至った訳だ。

 ちなみにその毒料理とはこれだ。


 オレンジフレッシュ???の肉団? 品? 天上

 ??ンジフ??シュビ?フの肉を独特の製法で??した肉?子

 一口大?作られた??やすい料理。

 アル?ーフが魔物達の為に心を込めて作った。


 BLTDサ?ド ?質 昇天

 パンを??の製法で挟んで作られた??。

 具材の組み合わせが??で、親しまれ、死ぬまで食す事が出来るだろう。

 あるリーフが魔物の為にこrlをgmtった。


 ヴェノや俺が監修したお陰か、目玉焼きトーストよりはテキストを確認出来る代物になっている。

 肉団子と小さく切ったBLTサンド風の料理だったはず。

 この二つは手足が生えていた。


 それを沢山作ってもらい、弁当箱……とは呼び難いパンドラの箱を俺達は下水道の奥深くへと運んで行った訳だ。

 効果は言うまでも無い。

 この毒料理の開発中、ムウが危うく襲われかけた。

 俺がどうにか見張って実験を終える事が出来た訳だけど。

 一応、魔物を狙って行く性質があって、ある程度制御出来たのが幸いか。


『我ながら恐ろしい事を実行させたものだ』


 今更怖気づくなよ、ドラゴン。

 下手すりゃお前の悪さにカウントされる悪行だぞ。


『いやいや……さすがにこれで業が増す事は無いだろう……はは』


 その返答は自分でもヤバイと思ってんだろ。

 どちらにしても箱から飛び出した途端、近くの獲物の体内目掛けて突撃する料理……いや、魔物的な意味合いで食物たべものと呼んだ方が良いクリーチャー達だな。

 なんかどっかの恐怖映画とかでありそう。


『これではないか?』


 ヴェノが俺の記憶の中からそれらしい映画を見つけて来る。

 深海から出て来る魚が寄生能力を持っていて、たまたまバカンス中に立ち寄った若者達を恐怖の渦に落とす映画ね。

 この魚を食うと寄生される、そんな話だ。

 ……別に詳しく思い出す必要は無いんだよ。


「ムウウウウ!」


 叫び声に振り返るとムウに数匹、肉団子とサンドイッチが引っ付いて潜り込もうとしている。

 俺は急いでムウに引っ付く死の料理を振りはらって逃亡を再開した。

 酷い話だ。



「ふう……どうにか脱出出来たな」


 下水道の出口から日の光を浴びながら呟く。


「ムー!」


 耳を澄ますと下水道の中からしばらく魔物達の悲鳴が聞こえて来る。

 とりあえずはギルドの方へ行って、下水道から何か出て来ないかの注意を再三に亘ってしてもらおう。

 って感じで俺達は一旦下水道の中でも汚水が少ない水で汚れをサッと落としてからアルリーフさん達の所へと向かった。

 町の広場、アルリーフさんと合流する。


「あ、ユキヒサさん」

「経過はどう? 何か異変とかあった?」

「いえ……特にこれと言った騒動は起きてません。不思議な位。ただ、一応ギルドには下水道への侵入を一時中止してもらっていますけど、元々割に合わない仕事扱いで請ける人も少なかったからどうにかなっているみたいです」


 魔物に向かって行く性質が何処まで持つかわからない。

 ただ、話によるとアルリーフさんの料理は一応、腐れば動かなくなるらしいのでそれまでは下水道に入らせないのが得策だろう。


「ただ……さっきから私に膨大な経験値が流れて来て、メキメキとLvが上がってきているんです」

「え? 本当?」


 俺もLvを確認する。


 小暮幸久 毒使い Lv33

 所持スキル 憑依リンク 毒吸収 毒放出 毒合成 毒物目利き 毒付与 ハンティングセンス ハンティングマスタリー4

 エイミングショット3 トラップマスタリー3 コールファンガス 見切り フットワーク


 あんまり上がって無いぞ? 一応俺だけ事前にアルリーフさんの料理を食べて経験値アップやスキル習得アップを施しているんだが……。


「あれ? ムウちゃん背中」

「ム? ムウウウゥウ!?」


 ムウの背中にしつこく毒肉団子が引っ付いて、隙を狙っていたっぽい。

 気付いたムウの体に素早く這いずって口に潜り込もうとしている。

 怖いわ。


「おっと」


 毒肉団子がムウの口に潜り込む前にどうにか掴む。

 くそ、手の中で暴れやがる。随分と凶悪な食物だ。


『新たな種の化け物であるのは否定せんぞ』


 ここで解きはなったらどんな混乱を招くかわかったもんじゃない。

 あの下水道を動きまわった肉毒団子だけど、しょうがない。

 俺はポイっと口に肉毒団子を放りこんで咀嚼する。

 相変わらずどれだけ自分が不味いのか、死へ誘おうとするのか身を持って叩き込もうとしてきやがる。

 しかも進化しているのか噛む度に分裂して喉の方へ向かう奴と口の外へ逃げようとする奴の種類に分かれやがった。

 逃がしてたまるかよ!

 そのまま何度も咀嚼して飲み込んだ。


「ふう……」


 毒味が感じる味わいは凄く良い。アルリーフさんも腕を上げたな。

 尋常ではない程、美味かった。


『上がってはならん所が上がっていると我は思うぞ』

「ムウ!」


 助けられてムウが俺に感謝の言葉と喜びを体で表して跳ねまわっている。


「それで話は戻るんだけど、俺やムウのLvは全然上がって無いな。アルリーフさんはどうなってるの?」

「はい。今、Lv44まで伸びてます。継続して経験値が入ってきているのでまだ途中って事だと思いますが……」


 わー……確かエルバトキシンに挑む時に呪術医のLv19だったはず。

 それでエルバトキシンを倒した後、馬車での旅の最中は21になったとか説明していたよね。

 23も一気に上がってんぞ。

 凄いな。しかも継続して経験値が入ってきている……さっきの食物達の動きから考えると獲物を殺したら分裂した食物が新たな獲物を探して下水道内を動きまわっていると見て間違いない。

 少なくとも自己再生能力は所持していなかったはずだからしばらくすれば朽ち果てるとは思うけど、恐ろしい事になっている。


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