第七話:動揺
お久しぶりです。
今日、ついに学校が始まってしまいました。そして昨日・一昨日は課題を急ピッチで終わらせていたため、次話投稿ができませんでした。すいません。
最近思いました。『この小説コメディ要素低くね?』
…はい、そんなこんなの作者が書いた第八話。期待を持たずに読んでください。
教室に入って、廊下側の1番後ろの自分の席に座った俺はまず、いつものように窓側の1番後ろで外を眺めている“アイツ”と話す。
(おはよう、ギンジ!)
(よっす、エータ!)
“アイツ”ってのは、俺の物心ついたときから一緒に遊んでた友人つまりは幼馴染、そして俺の秘密(多重人格)のことを知っている数少ない人物の1人である、浅峰 銀之次のことだ。
〈なんでこんな昔の人みたいな変な名前がついてるか〉ってのは、それもそのはず。柔道で小・中・高の12年間、全国の玉座に座り続けたという、正に怪物武道家ともいうべき銀之次の御祖父ちゃんがつけた名前なのだ。さらに、その御祖父ちゃんがこのアサコウの理事長ってんだから驚きだ。
俺も含めて、周りのみんなはめんどくさいので銀之次のことを“ギンジ”と呼んでいる。
不思議なことに、長年の付き合いのせいなのか俺とギンジは、目を合わせただけで会話ができるようになってしまった。この能力を使って話すときは、心の中の“栄太”がしゃべる。
目立ちたくないことを知ってか知らずか、ギンジは学校で俺と話すとき極力この能力を使って俺と話すようにしている。さっきの会話だってそうだ。
(知ってるか!?今日転校生が来るらしいぜ!しかもこのクラスに!!)
ギンジが自慢げに言ってきた。もちろん目で。
それが誰だか見当がつく俺だが、何かと後で質問攻めに遭いそうなので知らないふりをした。このクラスに来るってことは知らなかったけど・・・。
(へ〜そうなんだ、知らなかったよ!男?女?)
その人物が美少女ってことを知っている俺だが、まぁ一応聞いてみた。
ギンジは、御祖父ちゃんから仕入れた学校の情報を人にしゃべるのが大好きだ。
(あぁ、2人ともスゲー可愛いらしいぞ!!)
2人とも?? それじゃあまるで『転校生は2人いますよ』的な口ぶりじゃないか!?
(転校生2人いるのか??)
(あ〜そうだよ。言ってなかったっけ??)
言ってな〜い!!! とツッコムところだった俺は、すんでのところでその言葉を飲み込む。
それよりも“もう1人の転校生”に興味が湧いたのだ。
しかし誰だか分かってるほうの転校生、つまり幸のことを知っているってことを気づかれずに質問しなければならない。
(その2人ってどんな感じ??)
(う〜ん・・・詳しくは知らないけど、1人は小さくてかわいい子で・・・)
幸のことだろう。
俺が知りたいのはもう1人のほうだ!!
(もう1人は“ガラっ!!”……)
急に教室の前の扉が開いて、そこから新担任である後藤田 幹春先生が入ってきた。幹春先生のニックネームは“ミッキー”だ。なんともヒネリの無い…
女子からはその爽やかなルックスで、男子からは下ネタ話でもノってくるそのノリで、そして大半の生徒からは解りやすい授業で、全校生徒からの人気NO.1だ。
しかし俺の中では、今殴りたい奴NO.1だ。あとちょっとで転校生のこと聞けたのに…まぁ、これから実物がおがめることだろーから良しとしよう。
ミッキーは少し雑談した後、(俺の中での)本題に入った。
「さて、知ってる人も多いかと思うけど、今日からみんなと高校生ライフを一緒に送ることになる転校生2人が、今(前の)扉の向こうで待ってる」
さっきから俺の人格が“暗太”から“栄太”に変わっていることから、1人は幸だと断定することができた。
「ミッキー!! その転校生は男? 女?」
クラスメイトの誰かがミッキーに、さっき俺がギンジにしたのと同じ質問をした。
「女の子だ! しかも2人ともかなりの美女だぞ!!」
「「「「「おぉ〜!!!!!!!」」」」」
クラス中に、ムサイ男どもの声が響き渡った。
「じゃあ早速…お〜い、入ってきてくれ」
クラス中の視線が前の扉に注がれる。そして扉が開く。
最初に入ってきたのは幸だ。“美女”っていうより“美少女”って感じじゃないか?
周りを見てみると、早くも男子たちの顔がにやけている。はっきり言ってキモい…
幸は教室に入ってすぐに立ち止まると、クラス中を見渡し俺を見つけて100万ドルの笑顔になった。そして俺に向かってウインクをした。カワイイじゃねぇか…
男子たちは、それが自分たちに向けられていると勘違いしていてメロメロだ。うん、キモい…
次に入ってきた転校生に俺までもが口をあんぐりさせた。
入ってきたのは身長170センチぐらいの、女性の理想体型である“ボン・キュ・ボン”のナイスバディをした金髪の女の子だった。よく見ると瞳がエメラルドグリーンだ。しかし、日本人的な雰囲気も伝わってくる。ハーフなのだろーか?しかし美女だということに変わりはないのだけれど。
金髪美女は幸とは違い、止まらずにスタスタと歩いて行って、教卓の前の幸の隣で止まってクラスメイトのほうを向く。
『あれ?どっかで見たことあるよーな・・・』そんなことを思いながら俺は、その金髪美女を見ていた。
すると、その視線に気づいた金髪美女は俺のほうを向いた。目が合ってしまった。
しまった!!っと思い下を向いたが時すでに遅し。金髪美女はなぜか笑顔になった。またもやその笑顔に、周りの男子はデレデレだ。
次の瞬間、金髪美女が歩き出した。しかも、俺のいるほうに向って。
『ヤバいことしちまったか!?』などと思いながらその歩みをみていると、案の定、金髪美女は俺の机の横で止まった。
そして、笑顔のまま指先でチョイチョイと俺に“立て”と合図する。
素直に立った俺に、金髪美女が突然抱きついてきて言った。
「会いたかったよ〜エイタぁ〜」
はいぃぃぃぃ!?!?!?!?
何人かの読者様方、感想・評価ありがとうございました!!
まったくもってそのとおり、と思う意見ばかりでした。これから気をつけていきます。
それでは、第七話を読んでくださった読者の皆様への無上の感謝を、次回まで。