第十三話:試合(1)
これって恋愛小説? と、思われても仕方ない出来になってしまいました…
それでは、そんなこんなの第十三話。いろんな期待はバーナーで燃やしてから、本文へどうぞ。
「え〜第1試合、2年4組と2年6組の試合は21対17で、2年4組の勝ちです。礼っ!」
「「「「「ありがとっした!!!」」」」」
今まさに第1試合が終わった。次は俺達のクラスの試合だ。
「さー練習だ! 気合入れろよ!!!」
ギンジの掛け声とともに、みんな意気揚々とコートに足を進める。
アサコウの体育館は、バスケコートが2面作れるぐらいの広さで、ステージ側が“Aコート”入り口側が“Bコート”となっている。俺達の試合は、さきほどまで第1試合をやっていたAコートで行う。
現バスケ部部長のギンジが指揮を取るこのクラスは、2年生最強と謳われている。対して相手の3年生チームも、元バスケ部を2人有してた強豪チームだ。
…ガコッ! …ガコッ! …ガコッ! …
試合前の練習として、さっきからシュート練習をしているのだが1本も決まらない。そんな俺がスタメンだ。別になりたくってなったわけじゃない。理由だってちゃんとある。
理由は2つ。1つはバスケ希望者が7人と少なかったこと。2つ目はそのうちのスタメン候補だった一人が、放課後の練習中に左足首を捻挫して試合出場を断念。そして残った六人の内の一人はやる気が全くなく、放課後の練習にも来なかった怠け者だったから。そいつは今日も、完璧に仮病であろう“風邪”を口実に休んでいるありさまである。
そんなこんなで必然的に俺がスタメンに成り上がった。そして残ったのが五人ということは、交代のできない危機的状況にあるということでもある。
しかし幸運なことに、球技大会でのバスケの試合時間は前半7分、後半7分、その間に休憩と作戦タイムのための5分、計19分で行われる。この試合時間なら、5人でもスタミナ切れを起こさず最後までやれる、とギンジが言っていた。
周りのメンバーも思い思いの練習をしているが、俺のように1本も決まらない人なんて誰もいない。それどころか、かなりの確率で決めている人だっている。その中でも群を抜いてうまいのは、無論ギンジである。
さきほどからギンジはドリブルの練習をしていた。連続レッグスルーからのロール、さらにはビハインドなど緩急をつけながらリズミカルにボールを突いていた。その様は正に、ボールが手に引っ付いているようだった。
試合当日になってギンジのすごさを思い知った、俺なのでした。
「では、試合を始めるので練習を終えてセンターサークルに集まって!」
感傷に浸っていると、審判ことバスケ部顧問の先生の号令により、全員が集合する。
俺も急いで駆け出し、それに加わる。
「それでは! 第2試合3年2組と2年5組の試合を始めます!! 礼っ!!!」
「「「「「おねがいしゃーす!!!」」」」」
今になって紹介する。俺のクラスは2年5組だ。覚えておくように、テストに出るぞ〜!!
上のギャラリーには応援に来た人がちらほらいる。その中には幸・アリス・紫苑の3人がいた。
そのことに俺は、柄にもなく緊張してしまった。落ち着かせようと何回も深呼吸をし、やっと落ち着いたのと同時に審判の試合開始の笛が鳴り響いた。
公式なルールでの試合開始方法は、事前にコイントスで決めておいたチームのスローインだが、球技大会ではジャンプボールを採用している。
こちらでジャンプボールを飛ぶのは、これまた無論でギンジである。
相手チームのジャンパー(洋服の種類じゃないよ? ジャンプする人のことだよ)は元バスケ部の、身長があわや195センチはあろうかという巨体の持ち主である。185センチの高身長の持ち主ギンジが少し小さく見える……
だが、ジャンプボールを制したのはギンジだった。目一杯ジャンプしたギンジの手によって弾かれたボールは俺の懐に飛び込んできた。
『まずは周囲を確認…よし、誰もいない! じゃあドリブルだ!!!』そう判断した俺は、ダムダムダムとドリブルで前進を始める。
その矢先、相手チームのもう一人の元バスケ部によって、ボールがパシっとはじかれ、スティールされてしまった。
そしてそいつはゴールに向かって一直線。きれいなカウンター速攻が決まってしまった。
「何やっとんねんエイタ! カッコワルイで!!!」
「エックン落ち着いて! 深呼吸!! し・ん・こ・きゅ・う!!!!」
上からアリスと幸の声が聞こえた。
見てみると、アリスは手すりをバンバン叩きながら俺に罵声を浴びせていた。幸にいたっては、オーバーアクションで深呼吸の真似をしていた。
得点は0:2。最悪の出だしだ………
え〜裏話ではありますが、この作品の登場人物の名前は、その時その時の思いつきで決めちゃってます。
紫苑がクォーターっていう設定も、執筆しているときに思いついたものです。
それでは、第十三話を読んでくださった読者の皆様への無上の感謝を、次回まで。