表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落日  作者: まいこ
2/2

ゾンビ

お読みいただきありがとうございます。

the day after 1 day


 日本。

 渋谷、ハチ公前で、一人の青年が狂乱し、周囲に無差別に襲いかかった。

 加害者青年は最終的に警官に射殺されたが、それまでに重軽傷者は200名を超えた。


 アメリカ合衆国。

 飛行機の中でしきりに咳き込んでいた男性が、ロビーに出た後狂乱し、周囲に襲いかかった。

 銃社会ゆえかあっさり制圧されたが、それでも重軽傷者は30名を超した。


 中華人民共和国。

 すり替えたサンプルを携行した諜報員は、上海で狂乱し、周囲に襲いかかった。

 加害者は逃走。

 かなりの者が噛み付かれ、死傷者600名を超える大惨事とのなった。


the day after 2 days


 日本、アメリカ、中国で発生した殺人事件は、急激にその範囲を拡大した。

 昨日の被害者が今日は加害者となり、隣人に襲いかかる。

 病院という閉鎖的環境が加害者を劇的に増やす一因となったのは皮肉である。


1 week after


 ゾンビ騒動。

 アレだ、よくあるパニックもの。

 首都圏を中心に、一気に広がったそれは、風聞も含めて荒唐無稽なものばかりだった。

 海外でもあちらこちらで被害が報告されている。

 ただ、日本において、事態はかなり深刻だ。

 何故かと言えば、自衛隊が治安出動したことにある。

 自衛隊創設以来、何度も検討されながら一度も実行されなかった伝家の宝刀。

 自国民に銃を向けてはいけない、ただその一心でなされなかった治安出動をかけた。

 つまり、 

 ① 警察がすでに機能していない

 ② 自衛隊の武器を当てにしなければならない事態が発生

 のどちらか、あるいは両方だろう。

 東京を中心に、かなり死傷者が出ているようだ。

 まだこの地方都市では対岸の火事だけど。


「さーて、今日も頑張るか。」


 退院後、体調はすこぶる良好だ。

 アパートを一歩踏み出す。


 猛烈な鉄臭さ。

 生臭い、生理的に受け付けない臭い。

 ピチャピチャ、グチャグチャという音。

 その方向を見る。


「うおおえっ」


 胃の中の朝食を全部吐いてしまった。

 人の死体を、人が食っていたのをまともに見てしまったのだ。

 慌てて顔を起こし、見ると。


「ひ!」


 目の前にそいつらがいた。

 今の今まで人を食っていた化け物。

 目は真っ赤に血走り、体中血だらけ。

 口の周りは真っ赤で、口元に肉片がついている。

 奴らはしばらく俺を見ていたが、また『食事』に戻った。


 何にせよ、助かった。

 アパートに戻り、スマホで職場に連絡。

 …出ないな。

 メールで事情を書いて送り、行けそうなら出勤すると伝言した。

 アパートに隠っていてもジリ貧だ。

 襲われなかったし、スーパーかホームセンターあたりに行って、いろいろ確保しよう。


(あいつら、当然人間じゃないよな)


 外の様子をうかがう。

 何か人数?増えてね?

 よたよた歩きのまさにゾンビ。

 意を決して外へ。

 普通出ないな。

 でもさっき襲われなかったし。

 何かめっちゃ見られてる。

 でも襲って来ないな。

 むしろ引いてる。


「うー」

「あー」

「おー」 


 最後のは俺。

 すげぇ、モーゼか俺は。

 俺の周り10mくらいゾンビがどいた。

 よし、物資調達に前進だ。

 つーか、もう警察どころじゃないよな。

 ここに100体くらいゾンビいる。

 

 

 ゾンビって言ってるけど、あってるのかね?

 職場の近くに大型スーパーあったな~


ニャンニャン、ニャーン♪


 お、メール。


『こんな状態で仕事もない。互いに生き延びよう』


 短い文章だが、社長だ。

 ネットでは離島が安心とされているけどどうなんだか。

 俺には関係ないな。

 物資調達最優先。


こういう時襲われないのって最高のチートだと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ