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無双剣士の異世界魔王討伐  作者: 紫 魔夜
第二章 邪悪な神々
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不死と死

第三話。謎は深まっていく。

「くそっ……誰か、誰かいないのか」

「誰でもいいんだ。誰でも」

「城にはもう……」

「強い人、強い人、強い人、強……」

 聞き覚えのある単語が、四方八方から聞こえてくる。狼刀(ろうと)はゆっくりと目を開けた。城の大広間のような場所だ。せわしなく人々が行きかっているその光景は、前回と同じだった。

 起点の更新とは、こういうことらしい。

「そこの旅の者」

 声は横からかけられた。

 後ろからばっかりじゃないんだな。そんなことを思いながら、狼刀は振り返った。

「突然、すまない」

 方向が違えども相手は変わらない。金髪隻眼の屈強なる大男。兵士長リヴァルがそこにいた。

「私は兵士長のリヴァル。腕に覚えがあるなら、この城を守るために協力してほしい」

 想定通りの提案だ。

「……わかりました」

 狼刀は覚悟を決めて、頷いた。

「おお、ありがたい。では、王の間へ」

 リヴァルに連れられて、狼刀は王の間へと向かった。


「お待ちくだされ」


 王の頭めがけて振り下ろされていた錫杖は、持ち主が声のしたほうを振り向いたため、王の髪をかすめ床に突き刺ささる。

「約束の御仁をお連れした」

 リヴァルは後ろにいた狼刀が見えるように横へと移動した。

 神官は狼刀を値踏みするように見てから一言。

「なぁんかのぉ間違ぁいだぁろぉ? こぉんな(やぁつ)がぁ最強(さぁいきょぉ)?」

「俺は結城(ゆうき)狼刀。……かかってこい」

 狼刀は挑発するように笑みを浮かべた。

「あぁ? ()る気じゃぁねぇかぁ」

 神官も冗談ではないことを理解したのか、もしくは狼刀の挑発に乗ったのか。錫杖を構え、獰猛な笑みを浮かべる。

 二人がにらみ合う中、リヴァルは冷静に床に倒れる王を玉座へと座らせ、周囲の兵士たちは戦いの行く末を見守っていた。

「いぃくぜぇ!」

 先に仕掛けたのは神官だ。錫杖をバットのように振りかぶり、魔法を唱える。

減速魔法(ネギア)

 狼刀は攻撃を受け流すと、無防備な右腕に向かって突きを放つ。神官は錫杖を振り戻して防ごうとするが、竹刀が届くほうが早かった。

「くっ……」

 神官は右手を庇うようにして距離をとったが、それだけだ。傷がついているようには見えない。

 狼刀が眉をひそめる。

「素早さぁはぁ、なかなかぁ。だぁが、(つぅぎ)はぁ、こぉはぁいかねぇぜぇ!」

 神官は錫杖を突き出した。

減速魔法(ネギア)

 小さな声で魔法を発動させ、神官は跳躍。上から錫杖を振り下ろす。直線的な軌道だ。

 狼刀は攻撃を受け止めると、そのまま滑り込むようにして、相手の胴を打ち据えた。

「ちぃっ……」

 神官が膝をつく。ダメージは与えているのだろう。だが、それだけであった。

「おかしい……」

 狼刀の違和感が決定的な疑問へと変わる。

 今までの敵は、攻撃が当たらないことはあっても当たれば一撃だった。違いがあるとすれば、服装くらい。

 あの服装になにか秘密があるのか。

「てぇめぇ。みぃねうちたぁ、なぁんのつもりぃだぁ?」

 立ち上がった神官が狼刀に話しかけてくる。それは狼刀の予想を否定するものだった。

 神官が何かをしているわけではない。

 狼刀は困惑を浮かべた。

(おぉれ)はぁ、邪神教(じゃしんきょう)ぉ三神官がぁ一人ぃ。ブゥラストォォォ! なぁめてんじゃぁねぇぞ!」

 狼刀の方へ錫杖を向け、

死絶魔法(ラサァァアスゥゥゥ)

 瞳を赤く光らせながら、死の魔法を放った。王だけは殺さないように放たれたその魔法は、その場に集っていた兵士達を跡形もなく消し飛ばす。

 残ったのは、王とリヴァル、そして狼刀だけだった。

「あぁ? てめぇらなぁんで効ぃかねぇんだぁ?」

「さあな」

 狼刀は適当にはぐらかすと、竹刀を構えなおしブラストへと斬り掛かる。

減速魔法(ネギア)

 魔法で迎え撃つブラストだが、狼刀が魔法によって減速しないことがわかると、錫杖でその攻撃を受け止めた。

「ちぃ。こぉいつぁやっかいだぁ。俺ぇもぉ、本気(ほぉんき)で行くぅかぁぁぁぁ」

 ブラストは距離を取ると、錫杖を放り投げる。

分裂魔法(ディジョン)

 その掛け声とともに、投げられた錫杖が数を増し、百をも超える数となったとき、ブラストが技名を叫んだ。

槍時雨(やりしぐれぇぇ)

 錫杖はすべて、尖った先端を狼刀の方に向けて飛んでくる。

 狼刀は最初の数本こそ竹刀で弾いていたが、すぐに弾ききれなくなってしまう。一本、二本と錫杖が突き刺さり、串刺し状態となった狼刀は身動きが取れなくなっていた。


 竹刀では神官を倒せない。


 狼刀はそんな結論に思い至った。

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