WEB小説に誤字脱字なんてものはまずないのです
よく作者欄に「誤字脱字がありましたらお知らせください」と
ありますが実際は当然IMEを使っているため普通に入力している限り誤字脱字はまずないと言っていいでしょう。
誤字脱字は手書きの場合で多く発生するものです。
脱字は入力エラーで起こる可能性はありますが変換時に大抵は気づくはずです。
文章が間違っていればおかしな変換がされるのでわかります。
昔より変換ソフトはまだまだですが大分賢くなりました。
ですから誤字脱字という表現自体が不適切です。
しかしWEB小説に限らず出版された小説でも特にライトノベルと呼ばれる分野には間違った日本語表現が溢れています。
これはワープロ執筆の弱点と適切に校正が行われていないことに起因すると思われます。
ここでは今まで読んできたライトノベルやWEB小説の中で気づいた点をあげていきたいと思います。
1 誤字ではなく変換ミス
日本語は同音異義語が多いですからね。
それにIMEには学習機能があり優先度が変わるためうっかりするとそのまま使ってしまいます。
例えば
若干と弱冠
これ凄く多いんですよね。
一番気になったので最初に上げました
意味なんですが弱冠の弱は古代中国で男子20歳を指し数え20歳になると冠をかぶって成人したことに由来します。
最近では特に20歳に特定せず比較して「年が若い」という意味になってきています。
弱冠9歳とか使われると私のような古い人間には違和感ばりばりですが。
若干は「不特定数ではあるが少ない」で使われ方受け取り方によりニュアンスが異なります。
大匙二杯の砂糖に若干の塩
十名の兵士と若干名の狙撃手
のようにある程度受け手の判断に任せるような使い方をします。
例えば十名の兵士と若干名の狙撃手と言えば若干名とは1~3名位を思い浮かべますが一万名の兵士ならば1~100位を想像します。
ですから若干○歳というのは完全に間違った使い方といわざるを得ません。
弱冠○歳は最近の風潮では許されているようで私が好きな某作家も使っていて少しガッカリしてしまいました。
驚いたのは某有名新聞論説員が小説の解説で若干42歳などと使っていたことです。
もしかするといまにどちらもセーフになるのかもしれませんが今のところはどちらもテストなどでは(若干○歳は完全に)アウトです。
驚異と脅威
敵軍の士気の高さに驚異を感じた 驚異→脅威
竜巻は大自然の脅威であり驚異である
ある数千ページのWEB小説では最初から最後まで驚異→脅威を数十箇所も明らかに間違ったまま使っていました。
意味に似たところがあるのでしかたないところもありますがやはり意味を考えて適切に使って欲しいですね。
この他にも意外と以外、自体と事態とか語句の意味を把握していないために起きる変換ミスが多々あります。
後は単純なミスで「美少女戦死セーラー○ーン」みたいなやつです。
それと知識が無くても漢字を使えてしまうために起こる無駄な変換があります。
良くあるのが「こう言ったことは」「うまく行けばいいのだけれど」というような無変換でいいのについ漢字変換してしまうケースです。
日本語は柔軟性の高い言語ですので迷ったときは無変換の方が無難です。
誤変換を防ぐには国語力を上げる、辞書ソフトをIMEに組み込むとか慎重に変換するとかですかね。
2 厨二な表現に気をつけよう
若いと思われる作家の方に多いのですが無理に難しい表現や漢字などを使ってそれが不適切になっているケースです。
前に読んだラノベで「判子の家紋」みたいな題名の物がありました。
日本語として成立しない題名なのでしばらく読む気がしなくて投げていました。
読んでみると良く出来た小説なのでこの題名は惜しいですね。
10巻以上出版されていたのですが誰もおかしいと思わなかったのでしょうか?
最近目につくのが「鉄火場」を戦場の意味で使うこと。
多分「鉄血」が戦争を指すのでそのへんからの誤用と思われますがこれは賭場のことで博徒が賭場を言い換えるとき使います。
鉄と血は戦争を連想しますが鉄と火なら鍛冶場ですね。
喧噪と熱気から賭場を喩えて表す言葉になったと思われます。
昔の時代劇などではよく使われていましたが久しぶりに聞く言葉です。
文章の間違いでは無いのですが中学生で成績が良くない主人公が突然大学教授でも知らないような中国古典の引用をしたり漢検一級試験に出そうな難読漢字を使って語ったりするのは不自然です。
「故事成語」や引用もいいのですが意味を良く掴んで適切に使われないと逆効果になります。
面白ければそれでいいと言われそうですが累計ランキングや年間ランキング上位の作品は誤変換や誤用が少ないものが圧倒的です。
昔と比べると執筆環境は劇的に良くなっています。
読みやすい文章は大きな武器となりますので執筆者の皆さん頑張ってください。
面白くて読みやすい小説期待しております。
なおこの駄文はまた気がついたことがありましたら加筆訂正する予定です。