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リーフモールに到着して初めに向かったのはカフェです。楓さんがお腹空いたってうるさいんですよ。
「……む、失礼な」
「はて何のことでしょう」
なかなか勘が鋭いようです。これは油断なりません。
とりあえず惚けておきましたが、完全に思考を読まれていますねえ……。
「パスタを食べたい」
ほら、やっぱり食い意地張ってます。
…….まだ口に出してないからセーフですよ。だから睨まないで、楓さん。
あ、これとか美味しそうです。
「私はこれでお願いします。えっと……納豆ヨーグルトトースト」
「「「「「えっ?」」」」」
……あれ?
そんな変なこと言いました?
「本気?」
「正気?」
「ちょっと待って、春奈さん料理得意って……」
「ないわ……」
「流石にそれは……」
え? え?
「あれ……外食って、食べたことのないものにチャレンジする場だと聞いていたのですが」
「「「「「それはない」」」」」
お師匠様に聞いたことを伝えると、即座に否定されました。しかも、変な人を見るような目をされます。
「春奈さんって正統派美人だと思っていたら……まさかの残念美人……」
「いやあ、意外性バツグンだね」
お師匠様!?
恨みますよっ!
変なこと言うせいで、私が変人だと思われてるじゃないですかっ。
「むう……しかし、ちゃんとしたレストラン以外は大抵業務用の冷凍食材を使っているので味なんてどこも変わらないと言われていたのですが」
「う……それは否定しきれないかも。業務用スーパーとかで買えるしね」
「だから、そんなところの食事を楽しもうとする方がおかしい。楽しむのだとすれば、それは新しい味を発見することであって、他人の作った料理を楽しむのは料理人への冒涜だと言われました」
「……むむむ。そう言われると筋が通っているのかな?」
楓さんとそんなことを話していると、清香さんが呆れた様子でこちらを見ています。
「どうでもいいけど、ちょっと声落とそうか? ほら、店員さんが凄い感じでこっち睨んでるから」
「なるほど。図星を突かれると人は怒るのでしたね」
「なんでそう、ナチュラルに挑発するかなあ!?」
あれ、挑発なんてしました?
「きょとんとした顔しない。……ああもう、だんだんと春奈さんのことが分かってきたよ……」
「やっぱり残念美人……」
「私はおもしろいと思うけどね~」
瑠璃さん、それはどういう意味なのでしょうか。
ファミレスで、冷たいままのハンバーグを出されたことがありますw