表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無し  作者: 猫々
5/27

酒と硬貨

 ある所に二人の酔漢がいた。二人の酔漢は酒のことで言い争いをしていた。一人は「『発酵』して出来たのだ」と言い、一人は「『腐敗』して出来たのだ」と言った。議論は日が暮れるまで続いた。

 そんな時、一人の少女と一頭の白虎が酔漢達の前にやってきた。酔漢達は事情を説明し、どちらが正しいか、彼等に尋ねた。

 それを聞いた少女は、

「違いが分からないわ」

 と言った。

 白虎が「硬貨を投げて決めればいい」と言ったので、酔漢達はそれに従った。しかし、

「こっちが『表』だからな」

「いいや、こっちが『表』でそっちが『裏』だね」

 と、酔漢達はまた議論を始めた。


 闇が辺りを包む頃、少女と白虎は道なき道を歩いていた。

 少女は尋ねた。

「なぜあの二人は言い争いをしていたのかしら」

「さあな。末端に囚われている奴のすることはよく分からん」

「そう」

「結局、是非なんてものは己の価値観を相手に押し付けるだけだしな」

 と言うと、白虎は溜息をついた。そして、

「…しかし、なんでこんな真夜中に歩かなければならないんだ」

「日が出てなくても歩くことは出来るわ」

 少女は問題ないと言わんばかりに、暗闇の中をすたすたと歩いていった。

「それはそうだが……」

 白虎はまた溜息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ