22/27
過去と未来
過去が未来の分のお菓子を食った。それを知った未来は立腹し、過去を罵ったが、過去は「他人の迷惑なんぞ知ったことではない、自分が楽しければそれでよいのだ」と言って、未来を顧みることはしなかった。
「――。『将来のことを考えるより、今を楽しもうじゃないか』と謳い、若くして死んだ君にこの物語を贈る。親愛なる友より」
「親愛ねえ…」
「他にも色々あるわね」
「こりゃまた、見事な祭壇だな」
と、手紙や花束などが供えられた墓を見て、白虎は言った。
手紙を戻し、少女は白虎に尋ねた。
「なぜ弔いなんてするのかしら」
「さあな。俺からすれば、そこら辺の石ころが一つ無くなったぐらいにしか思わないが」
「そう」
「ま、故人には関係のない話だな。他人にどう評価されようが、未来がどうなろうと、結局は他人事だからな」
と白虎は言った。
墓を眺め、少女は言った。
「生きることが苦だというのなら、いっそ世界が滅んだほうが、楽なのかもしれないわね」




