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亀と兎と目的地
ある時、亀と兎が競争をすることになった。さて、亀は己の足の遅さをよく知っていたので、休むことなくひたすらに走り続けた。しばらくすると、一人の少女が亀に声をかけた。
「そんなに急いで、何処へ行くの」
走るのを止め、亀は答えた。
「南のとある場所です」
「そう」
と少女は言った。
少女の後ろで控えていた白虎は、話を聞くと、前に出てきいた。
「一つ言っていいか」
「なんでしょう」
白虎は言った。
「こっちは北だぞ」
少女と白虎は、とある道の上をゆったりと歩いていた。
「ねえ」
「ん?」
「果たして、こちらが正しい道かしら」
「さあな。そもそも、正しい道なんてあるのか」
「さあ、知らないわ」
と少女は言った。
白虎は欠伸をすると、こう言った。
「ま、この道が過ちだというのなら、気付いた時に変えればいいさ」
「それもそうね」
と少女は言った。