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溺れた犬
喉を渇かした犬が、水を飲もうと川にやってきた。ふと「独り占めしてやろう」と思い、川に飛び込んだが、溺れてしまった。犬が死ぬ前に言うには、
「ああ、俺はなんて馬鹿なんだ。腹一杯の水しか飲めないくせに、川の水全てを欲しがるなんて」
ぱたんと本を閉じると、少女は白虎を起こし、尋ねた。
「もし蟻と象に水を平等に分配するとしたら、白ならどういう割合で分ける?」
寝ぼけた頭を働かし、白虎はこう答えた。
「要は二人とも等しく充足すればいいんだろ。蟻は少量、象は多量にして配る」
「そう」
「それがどうかしたのかよ」
「それだけよ」
と少女は言った。
白虎は、
「……寝る」
とだけ言った。
「お休み」
ある所に一人の少女と一頭の白虎がいた。二人は大樹の陰に座りながら、少女は本を読み、白虎は寝ていた。ある雨の日の出来事である。