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Working of the Dead ~働かざるもの食うべからず~

  (「僕の名はニカイア・コンスタンティノポリス。君の任務の依頼者であり、君が消滅させる相手さ。」…か…。)

 私は、任務の退滅対象である男の言葉を頭の中で反芻しながら、そのニカイアに頼まれた″お使い″のため、地元の商店街に足を運んでいた。

 「はい!ありがとね~!長ネギと生姜ね!」

 気風の良さそうな八百屋の店主に野菜の代金を払い、野菜の重さで縦にシワを沢山作った袋を受け取る。渡されたお使いメモに目を移し、次の店へを足を運ばせる。

 (次は肉屋…か。)

 メモに書いてあるのは『豚バラブロック1kg』…やはりこれは本人が食べるのだろうか?人語を解すとはいえ、彼がリビングデッドなのは間違いないのだ。あの料理で人を誘き寄せて食べるのかと思っていたのだが…あの時、彼は真摯に接客を楽しんでいた。ならば、他の物で貪食衝動を満たしているはずなのだけど…。

 (…それにしても…)

 周りに目線を配る。自分の視線に気付かれたのが気まずいのか、視線を逸らす者や目を輝かせて小さな携帯機器をこちらに向け音を鳴らす者…、私の周りには一定距離を空けて丸い円を描くように人だかりが出来ていた。 

 修道服がそんなに珍しいのだろうか?あまり視線を向けられるのは好きではないのだけれど…。 

 軽く嘆息をする。…私が何故商店街でお使いをする羽目になったか…それは3時間前に(さかのぼ)る。


 ───3時間前、午後14時 38階ニカイアの部屋───

 

 「貴方が依頼者?自分を消滅させろと依頼した…の?」

 「そうだよ」と、ニカイアと名乗る不死者は笑顔で私の問いに返す。

 「何故自ら依頼を?」と続ける私に「企業秘密♥」と唇の前に人差し指を当てて答えるあたりに、多少の苛立ちを覚えた。

 その苛立ちとほぼ同時に、私の懐に入れてある『刻印板(ルーン・ボード)』が新着メッセージの着信を知らせる。

 私は、「失礼」と軽く会釈し刻印板に目を移す…「(任務内容を…退滅から護衛に…?)」

 「あー…やっぱり変更されたかい?」見透かしたように彼が問い掛け、こう続ける。

 「まぁ、教会の人達は僕を滅したくないだろうからねー。さて、この話もここいらで切り上げて明日の準備しよっか!」

 「いえ、ちょっと待って下さい。まるでこうなる事が解っていたような口振りでしたが…まさか何回か依頼をしているのですか?」堪らず私は問い返えした。

 「あー、うん。君で5人目くらいかな?」

 「なっ…!」5人目…つまり、私の前に4人の先輩方が同じ任務にあたっていた…と。しかし一つ腑に落ちない…。『退滅任務』から『護衛任務』になったのは解った…しかし、同じように変更になった先輩達が何故今ココに居ないのか?任務を辞退したのか?それとも任務中に…。

 「ニカイア・コンスタンティノポリス、一つお伺いしても構いませんか?」

 笑顔で「どうぞ」と返すニカイア。

 「この任務の前任者…私の前にこの任務に就いていた先輩方は、もしかして護衛任務中に殉職されたのですか?それとも任務辞退で本部に帰還を?」

 不死者ニカイア・コンスタンティノポリスは、クスっと笑い面白そうに口を開く…。


 「ふふ、それはね…。」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「任務辞退してまでラーメンの暖簾(のれん)分けして貰うなんて…先輩方ェ…。」

 私は夕陽に染まる商店街を歩きながら、我らが先駆者達4人に想いを馳せていた…というか「そんなんで良いのか退魔師…」といたたまれない気持ちになっていた。確かに美味しかったけども…美味しかったけどね!?

 そんな先駆者達の任務辞退理由(末路?)を聞かされ、愕然としている私に彼はエコバックを渡し「僕は部屋から出れない身体なんだ。だからお願いね~」と良い放ち、台所へ消えていった。

 

 そして私は、今商店街にある肉屋「ジャストミート清水」で豚バラ肉を買っている…と。何か、いつか私も気づいたらあの店のアシスタントになっていそうで…内心恐ろしい…というか、買い物をしている時点で既にアシスタントなのでは!?

 そんな考えを巡らせて居ると、大きな橋の中央付近を歩いていた事に気づいた。

 ここ、御見苗市は西と東に別れていて、その間を川が流れており、その川を跨いで2本の橋がかかっている。今私が渡っているのは海側に架かっている『漆橋』という橋だ。時刻が17時を回っているという事もあり、夕陽が腹の辺りまで湖に浸かっているかのように見える。何とも言えない感動が心に残る。

 湖に浸る夕陽に負けじと、感傷に浸っているのも束の間、刻印板に連絡が入る。赤字のルーン…一刻を争う事態のようだ。私は急いで内容を確認する。


 『至急護衛対象の元へ戻り、敵性勢力の排除を遂行せよ。』


 どうやら、私に気の休まる時間はないらしい。


 私は護衛対象ニカイアの居る分譲マンションへ足を急がせた。



 おはようこんにちはこんばんは、私です。

 本来は先週の土曜日にアップするつもりだったのですが、諸事情により(ガンダムバトオペだなんて言えない)遅筆になっておりました。楽しみにして下さっていた方々、大変申し訳ございませんでした…。

 次は土日か月火辺りにはアップ出来るかな?と思っております。

 ではでは、暑さが厳しくなりますが皆様夏バテに気を付けて下さい。

 See you next time !

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