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Noodle obligation ~ヌードル オブリゲイション~

 「おや、やっと来てくれたね。待ってたんだよ~?」


 向き直り、私の視線の先に居たのは、Tシャツとジーンズに身を包んだ普通の青年…しかも人語を話している。私が来る事も知っていたようだが…。

 「貴方がリビング・デッド…?」

 人語を解す不死者など聞いた事がない…ましてキッチンに立って寸胴の鍋を掻き回しているなど…

 「あ、うん。そうだけど」

 当然のように答える『退滅対象(リビング・デッド)』。

 「その様子だと、僕が人間じゃないと言う事は聞いてきているみたいだね。」

 そう言い、手間が省けたと微笑む この不死者は私が自分を殺しに来た…って、もう死んでいるのか。倒しに来たと思っていないの?

 「悪いけど、何をしているか解らないその手を止めていただける?この悪臭は、その鍋から出ているのだろうし…」

 「ん、鍋から悪臭…?あぁ、まぁ海外から来たのだったら慣れてはいないだろうね。フフフ…君にとって、この鍋は地獄を生む元凶なのだから嫌悪するのは仕方ないのかな」

 肩を(すく)めながら言う。やはりあの鍋の中身は、何かの儀式に使う呪物が何かなのだろう。そんな物を世に出させる訳にはいかない!!

 「解りました、では貴方を退滅します!」という宣言と同時に


 『ピーンポーーーーーーーーーーーーーーーーーン』


 と緊張感の無い音が室内に響き渡る。脳裏を過ぎるのは増援が来たのか?という思考だが…味方?それとも敵?考えを巡らせてる間に、頭から何かが覆いかぶさってきた。

 「あー、もう時間だから、それぱぱっと着て来てね!」

 そう言ってヤツは私の顔に目眩ましか何かを放り投げ、キッチンから玄関へ小走りで駆けてゆく。逃げる気!?

 私も顔に被さっている物を両手で引き剥がし、駆け足で追いかける。逃がす訳にはいかない!

 「待ちなさい!!」と言い終わる前に、玄関の扉が開く。

 その扉の開放と同時に聞こえる場違いな声。

 

 「いらっしゃいませ~~~!」

 

 がやがやと様々な人達が次々に部屋に入ってくる。

 訳も分からず立ち尽くす私を尻目に雪崩込む人・人・人。「あ、良い香り~!」と言う人間まで居る始末。あっという間に15疊はあるであろうリビングに置かれたイスは満員なった。人を迎い終えたヤツが私の肩をポンと叩く。

 「じゃあ着替えは良いから、全部の卓にお水出して来てね!」

 そう言い、私に丸いトレーを手渡し、キッチンの壁に掛けてある小さいボードに紙を挟み込み「はーい、お待ちを~」と言いながらテーブルまで駆けてゆく。

 いまだ状況を飲み込めない私に、40代(に見える)の女性が声をかける。

 「あら、素晴らしく美人な店員さんですね~。先週まで居ませんでしたよね?新人さんですか?」

 私が何も言えず困惑していると「そうなんですよー、今日から入った新人ちゃんなので優しくしてあげてくださいね~」と返す私の退滅対象ことヤツ。そうこうしているうちに「おひやまだー?」「こっち注文お願いしまーす」「お姉さん歳いくつー?」と引切り無しに声が飛び交い、私は強制的に前線へと引きずり込まれるのだった。



 ────5時間後、午後14時──────


 「つ・・・・・・・つかれ・・・・・・た・・・・・・・。」

 

 慣れない接客作業、慣れない臭い、慣れない気候…そして何より理解不能な状況…。


 あ、ありのまま私の身に起こった事をありのままに話すぜ…。私は任務で日本の地に降り、退滅対象が潜む場所まで来たのに、気づいたら接客をさせられていた。

 何を言っているか解らないと思うが、私も何が起こっているのか解らない。

 ノリだとか催眠術だとか、そんなチャチなもんじゃ断じてない…もっと恐ろしい物の片鱗を味わった云々…。


 「ありゃー、リビングで死んでるよ。これが本当のリビングデッドかな?」

 円錐状の大きめの器を手にし、ヤツがそう言いながら私が突っ伏して居るテーブルまで来る。

 「生ける(リビングデッド)に言われるなんて、皮肉ね…。」

 そう返す私の前に『ゴトッ』と器を置く。見る限り、お客に出していたのと同じもののようだ。見た目は、白いスープの中にスパゲッティーが入っており、その上に薄切りの肉や茹でた卵のスライスなどがトッピングされている。

 「忙しくてお昼食べれなかったからねー。これは賄い食って事で。」

 どうぞー と言いながら勧めてくる。

 日本人の使う『箸』という物に慣れてないのを見越してか、フォークを差し出してくる。むむ、敵ながら天晴れな心遣い          __私も見習わねば。

 おもむろにスープにフォークを差し込み、パスタの要領で口に運ぶ。その瞬間口に広がったのは、味わった事のない味覚のensemble(アンサンブル)私は思わず「お、美味しい…」と口にしてしまった。「どう致しまして」と返す生ける屍。何だろう、この敗北感。

 空腹のせいもあるのか、あっという間に平らげてしまった。テーブルに備え付けてある紙で口を拭う。

 「えーと…食事を御馳走になった事には感謝します。しかし私の任務は…」

 続けようとする私の言葉を遮るように、ヤツは話し出した。

 「システィ・L・コンフロシア。年齢22歳 女性。独身 イギリス人の父とロシア人の母を持つハーフ…」

 私の個人情報…だよね…?なんでコイツが…!?私の困惑を気にも留めずに続ける

 「退魔師養成学校 通信制を卒業。それ以前は屋内でMMOゲームに没頭する…か。なんか寂しい青春送ってない?」

 「ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 何かが叫んだ。まぁ私しか居ないのだけど、咄嗟の事と言うのは自分でも無意識なのだなーと、叫び終わってから、ふと感じた。

 こちらを見てニヤーっとしながら、その手には小さい紙が握られていた。厳密に言えば、個人情報を握られている。色んな意味で。

 「へー…今や退魔師も通信教育でなれるんだねー。時代は移ろうモノだねぇー」

 紙切れを奪い取ろうとする私の猛攻をいなしながら、物珍しそうに私を観察する目。やめて、こっち見ないで…コッチ見んな!

 「そして任務の内容は…僕を消滅させる事、だよね?」

 目の前の不死者は、先程とは一転し、その目に真剣さを宿らせる。

 「ええ、私が仰せつかった任務は…生ける屍の退滅よ。」


 「ふふふ、やっとだね。」

 嬉しそうに呟く不死者に、私は問いかけた。その問いに対する返答は、私が予想だにしない内容だった。

 「この任務の依頼者は、何を隠そう僕自身だからね。」

 驚く私に、彼はこう続ける。

 「僕の名はニカイア・コンスタンティノポリス。君の任務の依頼者であり、君が消滅させる相手さ。」

 


 私の初の任務は、依頼者自身を消滅させる事だった。

 

おはようございますこんにちはおやすみなさい、どうも皆さん…私です。


「もっとコメディーっぽくしたいのに、何故かシリアスな方向に進んでしまうのは私の頭が残念だからなのでしょうか?」と神に祈りながら、今日もトイレで考える人になっております。止まりません。便通が。


前の話も誤字脱字が割と凄かったので、今回ももしかしたら!あったらゴメンナサイ…という感じです。(勿論見直して修正チョクチョク入れますし!)


大体週1くらいで更新出来るのかなー?という感じですね。


システィはどうなるのか、このゾンビは何者なのか?教会の思惑とは?何故か尻ass…失礼、シリアスになりがちな内容にコメディーな雰囲気を入れれるよう精進したいDEATH。


ではまた会いましょう。see you again ! next to countinue

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