25話 鳴き声
ミオ
「親戚のお姉ちゃんが保育士してるんだけどさ」
ナオ
「うん」
ミオ
「どうぶつの鳴き声について語ってたら、面白いことがわかったのよ」
ナオ
「なに?」
ミオ
「質問です。猫は?」
ナオ
「にゃー」
ミオ
「犬は?」
ナオ
「ワン」
ミオ
「うさぎは?」
ナオ
「ぴょん」
ミオ
「……」
ナオ
「……」
ミオ
「ぴょんとは鳴かないよね」
ナオ
「……あ」
ミオ
「ね?」
ナオ
「待って。今まで何の疑問もなく受け入れてた」
ミオ
「うさぎが『ぴょん』って鳴いてたら怖いよね」
ナオ
「まあね」
ミオ
「夜中の草むらから」
ナオ
「うん」
ミオ
「ぴょん……」
ナオ
「怖いわ!」
ミオ
「ぴょん……ぴょん……」
ナオ
「増えた!!」
ミオ
「楽しそう」
ナオ
「二匹になったら急に怖さ消えたな!」
ミオ
「オスだと野太い可能性がある」
ナオ
「そんなうさぎ嫌だ!」
ミオ
「疑問系で……ぴょん? ぴょん?」
ナオ
「やめろ野太いぴょんで疑問系にするな!」
ミオ
「でも本当に鳴くと」
ナオ
「うん?」
ミオ
「キーッ!!」
ナオ
「怖っ!!」
ミオ
「ぴょん、どこ行ったんだろうね」
ナオ
「最初からいなかったね!」
ミオ
「保育園で先生が『うさぎさんは?』って聞いて」
ナオ
「うん」
ミオ
「園児みんなで」
ナオ
「うん」
ミオ
「キーッ!!」
ナオ
「地獄だよ!!」
ミオ
「正しいのに」
ナオ
「幼児教育には正しさ以外も必要なんだよ!」
ミオ
「じゃあ蝶々は?」
ナオ
「パタパタ?」
ミオ
「それ、鳴き声じゃないよね」
ナオ
「……羽音だ」
ミオ
「しかも近くで羽ばたかれると」
ナオ
「うん」
ミオ
「ガサガサ」
ナオ
「やめろ!」
ミオ
「ガサッ、ガサガサッ」
ナオ
「夢を壊すな!」
ミオ
「蝶々は悪くないの」
ナオ
「わかってるよ!」
ミオ
「でも、パタパタって誰が決めたんだろうね」
ナオ
「まあ……確かに」
ミオ
「かなり盛ってるよね」
ナオ
「擬音に盛るってある!?」
ミオ
「蝶々側からしたら」
ナオ
「うん」
ミオ
「『ワテらそんな可愛い音してませんけど』」
ナオ
「本人代表みたいに言うな! ワテとか言うな!!」
ミオ
「ガサガサ」
ナオ
「もういいよ!」
ミオ
「今のは黒いアレ」
ナオ
「もっとやめろ!!」
ミオ
「じゃあ犬」
ナオ
「ワン」
ミオ
「今のはチワワです」
ナオ
「……キャン?」
ミオ
「ね?」
ナオ
「確かに、サイズで違って聞こえる!」
ミオ
「大型犬なら」
ナオ
「うん」
ミオ
「バウワウ」
ナオ
「急に英語圏!!」
ミオ
「柴犬は?」
ナオ
「ワン?」
ミオ
「ポメラニアンは?」
ナオ
「キャンキャン?」
ミオ
「グレートデーン」
ナオ
「……バウワウ?」
ミオ
「犬種で国籍変わった」
ナオ
「お前が変えたんだろ!!」
ミオ
「海外の犬って『ワン』って言わないのかな」
ナオ
「犬は人間の言語で鳴いてないから!」
ミオ
「空港に着いた瞬間」
ナオ
「なに?」
ミオ
「バウワウ……」
ナオ
「うん」
ミオ
「ワン」
ナオ
「入国審査みたいに切り替えるな!」
ミオ
「日本に慣れてきた」
ナオ
「適応力高いな!」
ミオ
「逆に日本の犬が海外旅行したら」
ナオ
「うん」
ミオ
「ワン……ワ……バウワウ」
ナオ
「覚えたてみたいに言うな!」
ミオ
「発音いいね」
ナオ
「犬に語学力持たせるな!」
ミオ
「じゃあ猫は?」
ナオ
「にゃー」
ミオ
「これも怪しい」
ナオ
「猫は結構にゃーじゃない?」
ミオ
「ミャー」
ナオ
「まあ」
ミオ
「ニャーン」
ナオ
「うん」
ミオ
「アオーン」
ナオ
「発情期入った?」
ミオ
「ウニャニャニャニャ」
ナオ
「それはいる!」
ミオ
「あかなーい、あかないねー」
ナオ
「それは特殊な猫だ!」
ミオ
「猫だけ語彙多いね」
ナオ
「鳴き声に語彙って言うな!」
ミオ
「じゃあ牛」
ナオ
「モー」
ミオ
「これは強い」
ナオ
「何が?」
ミオ
「かなりモー」
ナオ
「評価するな!」
ミオ
「牛はちゃんとしてる」
ナオ
「他の動物がちゃんとしてないみたいに言うな!」
ミオ
「羊」
ナオ
「メェー」
ミオ
「かなりメェー」
ナオ
「また始まった」
ミオ
「ヤギ」
ナオ
「メェー」
ミオ
「被ってる」
ナオ
「仕方ない」
ミオ
「キャラ分けしてほしい」
ナオ
「動物に芸人みたいな要求すんな!」
ミオ
「じゃあセクシーなお姉さん」
ナオ
「待て」
ミオ
「うっふーん」
ナオ
「動物じゃない!」
ミオ
「あっはーん」
ナオ
「言わないよ!? たぶん!」
ミオ
「言うよね」
ナオ
「言わないよね!?」
ミオ
「言わない」
ナオ
「じゃあ誰が決めたの!?」
ミオ
「昭和」
ナオ
「時代のせいにすんな!!」
ミオ
「セクシーなお姉さんが歩いてきて」
ナオ
「うん」
ミオ
「うっふーん」
ナオ
「鳴かないから!」
ミオ
「振り返って」
ナオ
「うん」
ミオ
「あっはーん」
ナオ
「連続で鳴かすな! 不審者だよ!」
ミオ
「じゃあセクシーなお姉さんの正式な鳴き声って何?」
ナオ
「正式な鳴き声を設定するな!」
ミオ
「ないの?」
ナオ
「人間だからね!?」
ミオ
「でも赤ちゃんは」
ナオ
「オギャー?」
ミオ
「ほんとに?」
ナオ
「……」
ミオ
「オギャーって言う?」
ナオ
「待って」
ミオ
「ね?」
ナオ
「言わないな」
ミオ
「また一個見つかった」
ナオ
「もう嫌な予感しかしない!」
ミオ
「赤ちゃん、産まれた瞬間」
ナオ
「うん」
ミオ
「オギャー!」
ナオ
「漫画だよ!」
ミオ
「実際はもっと」
ナオ
「やめろ!」
ミオ
「うぇあああああ!!」
ナオ
「リアルに寄せるな!!」
ミオ
「人類も盛ってた」
ナオ
「何の結論だよ!」
ミオ
「つまり」
ナオ
「うん?」
ミオ
「動物の鳴き声って」
ナオ
「うん」
ミオ
「かなり人間が勝手に決めてる」
ナオ
「まあ、擬音だからね」
ミオ
「猫はにゃー」
ナオ
「うん」
ミオ
「犬はワン」
ナオ
「うん」
ミオ
「うさぎはぴょん」
ナオ
「鳴いてない」
ミオ
「蝶々はパタパタ」
ナオ
「それも鳴いてない」
ミオ
「セクシーなお姉さんはうっふーん」
ナオ
「人間!!」
ミオ
「赤ちゃんはオギャー」
ナオ
「だいぶ怪しい!」
ミオ
「ナオちゃんは『なんでだよ!!』」
ナオ
「私だけ鳴き声がツッコミなの!?」
ミオ
「違う?」
ナオ
「違わないのが腹立つ!!」
ミオ
「じゃあもう一回」
ナオ
「何を?」
ミオ
「ナオちゃんはぺったんこ」
ナオ
「なんでだよ!!」
ミオ
「ほら」
ナオ
「実証すんな!!」
ミオ
「よく鳴くね」
ナオ
「動物扱いすんなァァァ!!」




