隣の席の女子がエロ可愛いうえに無自覚すぎて、俺の精神をゴリゴリ削ってくる件
「ねえねえ、太一くん。この問題、どうやって解くの?」
甘ったるい声と共に、俺のパーソナルスペースにぬるりと侵入してくる影。
隣の席の舞音唯愛だ。
彼女は学年でもトップクラスに可愛い。愛嬌があって、いつもニコニコしていて、誰にでも好かれる犬のような性格をしている。
だが、彼女の真の恐ろしさはそこではない。
その小動物のような可愛らしい顔に反比例するかのような、『圧倒的でけしからんプロポーション』だ。
(……近い。そして、俺の机に何か信じられないほど柔らかいものが乗っかっている……!)
俺、盆乃太一は、必死に黒板から目を逸らさないよう、首の筋肉を限界まで硬直させていた。視線を少しでも斜め下に向けたら最後、ブラウスの隙間という名のブラックホールに吸い込まれ、男子高校生としての理性が塵となって消滅してしまうからだ。
「んー? 太一くん? 聞いてる?」
「き、聞いてる。その公式に数字を代入するだけだろ。わかったら、ちょっと離れろ。暑苦しい」
「えー、冷たいなあ」
不満げに唇を尖らせる唯愛。その仕草すら暴力的に可愛いが、最大の問題は彼女が身をよじったことによって生じる布の摩擦と、これでもかと強調される規格外のシルエットである。
(煩悩退散、煩悩退散……。2、3、5、7、11……素数を数えて落ち着くんだ……)
俺が心の中で必死に読経と素数のカウントを融合させていると、唯愛はふいに「あっ」と声を漏らした。
「消しゴム、落としちゃった」
コロン、と俺の足元のすぐ近くに転がる消しゴム。
「あ、俺が拾うからそのまま——」
「ううん、私が拾うよー」
俺の制止を振り切り、唯愛が無防備に身をかがめる。
(ばっ……!!!)
俺は反射的に目を両手で覆った。
無防備に屈んだ彼女の体勢。張りのあるスカートのシワ。そして、机の下からチラリと覗く白く滑らかな太ももと、上からの……いや、これ以上は言語化してはいけない。
それはもう、男子高校生の理性という名のダムを容易く決壊させる、破壊力抜群の光景だった。
「んしょっと。はい、ごめんね太一くん」
何事もなかったかのように無邪気な笑顔で起き上がってきた唯愛の髪から、ふわりとフローラルなシャンプーの香りが漂う。
彼女はおそらく、いや絶対に、自分の身体がどれほどの凶器であるか自覚していない。無自覚なエロス。それこそが最もタチが悪いのだ。
「……太一くん? なんで顔真っ赤にして汗かいてるの? 熱でもあるの?」
心配そうに覗き込んでくる唯愛の顔が、さらに近づく。
彼女の吐息が俺の頬を撫でた。
「な、なんでもない! 今日はちょっと、教室の冷房が効いてないだけだ!」
「そう? 私は涼しいけどなあ」
俺は裏返った声で叫び、再び教科書の数式に視線を釘付けにした。隣からは「変なのー」とクスクス笑う声が聞こえる。
神様、俺は前世で一体どんな大罪を犯したというのでしょうか。
胸の鼓動がうるさすぎて、先生の声なんて全く耳に入ってこない。
……今日も俺、盆乃太一は、必死に耐える──




