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2・朝の付き纏い

前回のあらすじ。

俺にストーカーができた。


「おはようございます、永瀬くん」

「うおっ」


早速ストーカーになったからか、隠れ可愛い同級生こと花坂さんが、俺の家の前に立っていた。

何故俺の家の住所を知っているのだろうと思ったが、そういえば昨日はあの後一緒に帰ったのだ。


花坂さんは、朝っぱらからハアハアと興奮気味だ。

奥ゆかしい代表の花坂さんが、情動を乱しているさまは悪くない。朝から少々フルスロットル気味な気はするが。


「永瀬くんも無防備ですね!自分から住所を晒すなんて危ないですよ。おかげでこれから私に悪用されますからね」


「え、具体的には?」


「朝に出待ちして、永瀬くんの後をつけさせてもらう予定です!」


「え、普通に一緒行こうよ」


「ふぇっ!?」


花坂さんは、わたわたと顔を赤らめた。

俺が隣に並んで歩き出そうとすると、花坂さんは後ずさった。

5歩後ろに花坂さんが居る。前近代である。女は3歩後ろ歩いたらええ、とかいう某漫画のどぶかすさんじゃないんだから。


「なっ、永瀬くん!私は永瀬くんをこっそり見守りたいのであって、決して隣を歩きたいという烏滸がましい欲はなくてですねっ……」


「え?その割には、堂々と俺に声かけてた気がするけど」


ドア開けたら今朝は待ち構えてたのに。

女子と登校とか初めてだったから、実は俺テンション上がってたんだけど。


花坂さんはもじもじと指を合わせた。


「そ、それは……最初の日くらい、きちんと挨拶した方がいいかと思って……永瀬くんが嫌そうな顔してたら、朝のストーカーは取りやめようと思って反応を見てただけというか……っ、えっと、今のところ嫌じゃない?」


「律儀だな!」


わざわざ許可取ってくるあたり、ただの常識人だ。

『永瀬くんをストーカーする許可をください』なんて言ってたから心配してたが、別に害は無さそうで安心した。


いや、新手のストーカーの手法なのだろうか?


律儀に許可を取って俺を安心させたところで、要求がエスカレートしていく……

だったら花坂さんはとんでもない策士になるが。


「サ、永瀬くんはどうぞ前を歩いてください!私は後ろを護らせていただきますから!背中は安心ですよ!もし永瀬くんの背中に手裏剣が降ってきても弾き落としますから!」


そんなシチュエーションは無いと思うけどね?


「え、ええ……?」


「サッ、サッ」


「ええ」


くそう、女子と登校してる擬似体験をしたかった。

前を歩くことを強く推奨され、俺は仕方なく1人で歩き出す。

足音が後ろから聞こえてくる。

5歩後ろに、花坂さんが居た。


「なあ、花坂さん」


「…………」


「花坂さんー」


「…………」


くそう。


「花坂さん、何か話そうぜ」


「私は永瀬くんを後ろからこっそり見守りたいのであって永瀬くんの私的空間には介入するつもりがなく昨日今日の接触は永瀬くんが嫌な気持ちにならないストーカーになるためであって仕方なく会話せざるを得なかっただけでしてここで返事するなんて御法度モノなので控えさせていただきたいのですが永瀬くんの後ろ姿かっこいいぃぃ!」


なんか、ちゃんとストーカーぽかった。


彼女なりのポリシーなのか、それ以降は一切返事がなかった。

俺はいつも通り1人で歩き、ぴったり5歩後ろに同級生の女子が居るという奇妙な構図を続けただけで、学校に着いてしまった。


くそう。






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