表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/41

15.三つの光

朝日が昇る頃、パールは目を覚ました。

昨夜の出来事が、まだ鮮明に蘇る。

レインの救出。三つの宝石の共鳴。そして、新たに芽生えた絆。


「パール様」

ノックの音と共に、執事の声。

「ヴィクター様がお呼びです」


昨夜、レインの様子を見守るカイトを残し、二人で館に戻ってきた。

その時のヴィクターの背中には、何か言いたげな様子が見えた気がする。


新たな選択肢が浮かび上がる。


①すぐに会いに行く

②朝支度を整えてから

③レインの様子を先に確認する


(昨夜のことを、話したいのかもしれない)


***


パールは①を選ぶ。

今は、一刻も早くヴィクターの話を聞くべきだと感じた。


「今、参ります」


寝間着のまま、上着を羽織って部屋を出る。

廊下の窓からは、アメジストの庭が見える。

紫の花々が朝露に濡れ、静かに揺れていた。


書斎に向かうと、ヴィクターは窓際に立っていた。

銀髪が朝日に輝き、その姿は凛として見える。


「昨夜の力」

振り返ったヴィクターの声は、いつになく柔らかい。

「お前の中で、どう感じている?」


新たな選択肢。


①素直な感想を述べる

②慎重に言葉を選ぶ

③質問で返す


(この問いには、もっと深い意味があるはず)


***


パールは①を選ぶ。

今は、素直な気持ちを伝えるべきだと感じた。


「不思議な感覚でした」

窓際に立つヴィクターに向かって、言葉を紡ぐ。

「三つの宝石の力が、まるで一つのように」


「そう」

ヴィクターが振り返る。

「その感覚は、本来あるべき姿なのかもしれない」


その言葉に、パールは息を呑む。

昨夜、レインを救った時の感覚。

それは確かに、自然な流れだった。


「アメジストとサファイア」

ヴィクターが続ける。

「そしてエメラルド。それぞれの力には、意味がある」


新たな選択肢。


①意味を尋ねる

②自分なりの答えを告げる

③黙って続きを待つ


***


②を選ぶ。

昨夜の経験から、自分なりの答えが見えていた。


「調和があって、知恵が導き、癒しが支える」

パールの言葉に、ヴィクターの瞳が僅かに広がる。

「それは、きっと偶然ではないはず」


「よく分かっている」

ヴィクターが一歩近づく。

「だが、それだけではない」


その時、執事がノックをする。

「失礼いたします。カイト様からの使者が」


新たな選択肢。


①すぐに会う

②ヴィクターの話を優先する

③使者に待っていてもらう


(レインの様子が気になる)

(でも、ヴィクターの言葉も)


パールの迷いを見透かしたように、ヴィクターが告げる。

「行け。続きは、また」


***


使者が待つ応接室に向かう途中、パールは考えていた。

ヴィクターの言葉の意味。

そして、昨夜の三つの宝石の共鳴。


応接室に入ると、翠色の小鳥が窓辺に止まっていた。

カイトからの伝令だ。


小鳥が運んできた巻物を開く。


『レインの容態は安定。

ただし、気になる事態が発生。

できるだけ早く、サンフォード邸まで』


新たな選択肢。


①すぐに向かう

②ヴィクターに報告してから

③準備を整えてから


(気になる事態、とは)

昨夜の出来事が、まだ終わっていないのかもしれない。


パールは②を選ぶ。

今は一人で判断を下すべきではない。

それに、ヴィクターの言葉にも続きがあったはず。


***


書斎に戻ると、ヴィクターは古い書物を開いていた。

「カイト様からの使者が」

パールが巻物を差し出す。


ヴィクターは内容に目を通し、表情を引き締める。

「やはり」


「やはり、とは?」


「宝石の共鳴には、代償が伴う」

ヴィクターが書物を示す。

「特に、三つ以上が同時に」


新たな選択肢。


①詳しく聞く

②すぐにレインの元へ

③ルシアン様に相談


(三つの宝石の共鳴)

(昨夜の出来事は、何かの始まりだったの?)


パールが選択に迷う中、ヴィクターが静かに告げる。

「行こう。全ては、その目で確かめるべきだ」


***


サンフォード邸に向かう馬車の中、パールは窓の外を見つめていた。

朝もやの中、遠くに紅い光が見える。

昨夜のような不安定さはないものの、確かな存在感を放っている。


「ヴィクター様」

パールが声を上げる。

「宝石の共鳴、本当は何が」


言葉が途切れた時、新たな選択肢が浮かぶ。


①率直に不安を告げる

②黙って見守る

③話題を変える


(このまま選択を重ねていくことに、どこか違和感がある)

その思いが、不意にパールの心をよぎった。


だが今は――。

パールは①を選び、素直な気持ちを口にする。


「怖いんです。この選択の連続が、まるで檻のように感じて」


その言葉に、ヴィクターの瞳が鋭く光った。


「どういう意味だ?」

静かな声には、真摯な響きがある。


パールは、自分の中にある違和感を言葉にしようと努める。

「私はいつも、選択を迫られています」

「それは私の意思ではなく、誰かが決めた道筋です」


ヴィクターの表情が、僅かに変化する。

パールにしか見えない選択肢の存在。

それを初めて、誰かに告げようとしていた。


「私の前には、いつも選択肢が現れるんです」

震える声で、パールは続ける。

「そして、その選択が私の運命を、時には生死さえも左右しています」


馬車が揺れる。

窓の外では、紅い光がより鮮明になってきている。


「サンフォード邸に着いたら」

ヴィクターが告げる。

「ルシアンに会う必要があるかもしれない」


その言葉に、パールは息を呑む。

(ルシアンなら、何か知っているの?)


新たな選択肢が浮かぶ。


①詳しく尋ねる

②黙って頷く

③話題を変える


(また選択肢)

その思いと共に、パールの中で何かが揺らぐ。


「私は・・・」


***


パールは①を選ぶ。

今、この違和感について話せる機会を逃すわけにはいかない。


「ルシアン様は、何か知っているのでしょうか?」


「図書館で、古い文書を見つけたと聞いている」

ヴィクターの声は慎重だ。

「聖女の試練について、重要な記述があるらしい」


その時、馬車が止まる。

サンフォード邸に到着したのだ。


窓の外には、昨夜と同じ紅い光。

だが今は、より落ち着いた輝きを放っている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ